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INTERVIEW

Japanese

the twenties

2017年11月号掲載

the twenties

Member:タカイ リョウ(Vo/Gt) ウルマ ヒロユキ(Gt) 野菜くん(Ba) アンソニーダイナソー(Dr)

Interviewer:岡本 貴之

-サウンドはノスタルジックな印象も受けるんですけど、あえてそういう音作りにしたのでしょうか、それとも実際タカイさんにとってそのころのことがノスタルジーになっていっているのでしょうか?

タカイ:う~ん、どっちかというと、曲の雰囲気に合わせていった感じですね。結構今までは、ハッピーじゃない歌詞でも曲はアップ・テンポですごくノリのいい曲をわざと作っていたんですけど、「園の子」に関してはそれも違うなと思って、どうせならサウンドも思いっきり謎めいた感じにしようかなって。結構他にもいろんなアレンジがあったんですけど。エンジニアさんがすごくアイディアマンでいろいろ案を出してくれて、そこが噛み合ってこうなった感じですね。ギターのサウンドとかも意図的なところはあります。アコギを入れたのも初めてなんですよ。

-なるほど。サウンドがこういう感じなので、こういう生々しい歌詞ではあるんですけど、聴くのが重たくないんですよね。

タカイ:嬉しいっすね。それは今まで作ってきたやり方が功を奏したというか。たぶん、ひとりで作ってたらめっちゃどん底みたいな感じになってると思うんですけど(笑)。でもこのメンバーだからできたというのはありますね。バンドとしてもこの曲をアルバムに入れられたことは良かったです。

-この曲はメロディをふたつの声を重ねて歌ってますよね? これはどうしてですか。

タカイ:あれは、俺の闇の部分、過去の自分と今の自分を表しています。

-メンバーのみなさんはこの曲についてどうとらえていますか。

ウルマ:シングルで出した方より、今回のアレンジがすごく好きで。この10曲の中で一番聴いてるのはこの曲ですね。素直にいい曲だなって。メロディや楽曲の雰囲気とか、シュワっと溶けるように聴けるいい曲だなって思います。

アンソニー:この曲は一番小説とか映画っぽいというか。聴いたときに、"なんかこの曲違うぞ"って、ハッとさせてくれる曲でもあって。優しく包み込んでくれるような部分もあって不思議な曲なんですけど、シングルのときからブラッシュ・アップしてこうやって表現できたことが嬉しいですし、聴いてほしいですね。

野菜くん:全楽曲の中でも核になる曲ですし、タカイにしか書けない曲だから、それをどう伝えるかというのは考えましたね。だからこそ、シンプルな音使いにして、歌と歌詞にハッとしてもらえるように作れたと思います。

-その前の「Guilty」が激しいので、よりコントラストが感じられますね。

野菜くん:キックとスネアだけでもガラッと変わるので。それも狙いではありますね。

-「園の子」から後半までミディアムやスローな曲が続いていきますね。

タカイ:個人的に、もともとアップテンポよりスローな曲が好きなんですよ。たぶん、俺らのライヴに来てくれる人からするとちょっとビックリするかもしれないですね。"えっ、こんな曲やるんだ?"って。バラードも初めてなので。でもある種、お客さんに合わせることはしなくてもいいしっていうのもありつつ、今までの俺らを好きって言ってくれる人たちが聴いても"あ、いいな"って思ってもらえるような作品になったらいいなと思ってたので。

野菜くん:寄せて作ろうとは思ってなかったよね。

ウルマ:寄せきれないしね(笑)。

タカイ:やりたいことをやろうっていう。今の気分がミディアムな気分だったので、これを聴いてダメな人はそれでいいやくらいの感じで、自分たちのやりたい曲を入れました。だから後半はガラッと一気にテンポを落としました。

-「Day out」で"感情が音へとなり/平然と嘘になって 歌っていた"と歌っています。これはとても興味深い歌詞だったんですが、どういうことなのか教えてもらえますか。

タカイ:僕は歌詞については聴いた人が勝手な解釈をしてほしいんですけど、これは言ってしまうと、生きていていろんな出来事があっていろんな感情が出てくるじゃないですか? でも結局、曲を作るときライヴで歌うときって、その感情が全部"あれ? あの気持ちって本当だったのかな?"ってなるんですよ。歌詞って基本的にノンフィクションなんですよ。それが自分で書いて歌ってるのに、自分の中で本当の自分じゃないもうひとりの自分が歌っているような感覚があって、それを表現した歌ですね、「Day out」は。

-それって、ライヴでは違う自分になっているっていうことですか?

タカイ:それはめっちゃありますね! ライヴは明らかに人が違ってます。もとはめっちゃ暗いですし、家からも出ないような人間なんですけど、ライヴはどっちかというと"パッカーン!"みたいな感じになるので、全然違いますね。だからライヴだけ見ている人にとっては俺のイメージは超ヤバいやつみたいな感じだと思います(笑)。まぁそう見てほしいというのもあるんですけど、でも実際に自分の中にある本質って全然真逆なので、それがいざ素になって曲を書くときに、すごく不思議な感覚になりますね。

-それがこの一節に表れているんですね。あと、いろんな曲の歌詞に"雨"が出てきますよね。

タカイ:あぁ、そうですね。今回雨のときの出来事が多いのと、雨のときの気持ちの下がりようがハンパないんですよ。

-今日も?(※2日連続の雨)

タカイ:そうっすね(笑)。まさに昨日の夜もかなり病んでて。雨の日ってすごくやられるんですよ。だから自然に歌詞に出てきますね。逆のパターンで"光"っていう明るいものにすがってる部分もあるので、光も歌詞に多くて。あとで気づいたんですけど、今作は自分の2年間の素の状態を歌詞に書いたので、結構同じ言葉が出てきてますね。それを直すこともできたんですけど、単純にそう思って書いているんだからそれはそれでいいかって。ただ、雨はやられます。

一同:ははははは!