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INTERVIEW

Japanese

コレサワ

2017年08月号掲載

コレサワ

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

-そういう、外見にまつわるコンプレックスって今でも拭えないものなんですか?

いや、大人になったら人って外見もそんなに見ないじゃないですか。だから、自分の外見のこともそんなに気にすることはなくなりました。

-それって単純に歳を重ねたからではなくて、歌うことによって自分のコンプレックスを武器にできるようになったからだと思うんですけど。

うーん、それはあんまり思ったことないかも。だって私、すっごい標準なんですよ。全部が。

-いや、少なくとも音楽においてはそうじゃないと思いますよ。"「生まれ変わっても一緒」「この手は離さない」とか/ダサイからマジでいらない"なんて、J-POPの定型句をブッ壊しにかかるようなフレーズじゃないですか。

あぁ、それはたしかに。こんなこと歌ってる人はいないなって思う。ていうか、ありふれた歌がめっちゃ嫌いなんですよ。"光が射した"とか"友達は大事だ"とか、そういうことを歌ってる人が多すぎて、自分が同じことを歌っても絶対聴いてくれへんと思うから、そうならないようにしてるだけです。

-"じゃない方へ"という意識なんですね。

そう。"じゃない方"を選んだらこうなっちゃったんですよ。

-このアルバムには入ってない曲ですけど、「バックアップ」(『ジエイポップ』収録曲)に"可愛いだけならいつでもできるけど"っていう歌詞があって。

そうですね、できるとは思います。でも、友達とかと接してるときに思うんですけど、昔かわいかった女の子も実はかわいいだけだったというか、大人になったときに、"あ、この子中身ないんや"ってすごくつまらない子に見えちゃう場合があるんですよ。大人になったらその人が今まで生きてきたなかで培ってきた考え方が顔とか態度、話し方に出るじゃないですか。そういうのを見て、薄っぺらい人というか、面白くない人とは関わらなくてもいいかなって思っちゃうし、そうすると、自分が面白いと思う人としか関わらないようになるんですけど、たぶん自分も他の人にそうやって見られてて。だから外見よりも考え方というか、自分のポジティヴさとか、そういういいところを信じたいな、見せたいなっていうふうに思います。

-つまり、"かわいく取り繕うこともできるけどそうはしない"っていう選択をしてるのがコレサワだっていうことじゃないですか。それって自覚的に武器を作ってるということになると思うんですよ。

あぁ、なるほど!

-自信のなさゆえに付き合う前に前提条件を掲げるような曲を作ったりもするけど、そういう視点で歌ってる人が周りにいないのならば、いくらコンプレックス由来だろうと、それはあなただけのかけがえのない武器であって。そういうのを持った状態で世に出ていくんだという意味で、メジャー・デビューはコレサワさんにとっての"戦い"なんじゃないかなと、私は思ってました。

そっか、そういうことか。そう考えると、たしかに武器やとは思ってます。人の心に刺していくような音楽を作りたいっていうのはありますし。

-だから自分自身が多少苦い思いをしようとも、過去の出来事は良いことでも悪いことでもどんどん自分の中に保存していくんですよね。それを歌うことによって、幼少期からのコンプレックスも少しずつマシになっていって。

そうですね。音楽をやり始めてから、そういう嫌なことも"ネタにできる"って思えるようになったので、すごく楽になりました。それはありがたいなって思ってます。

-それって天職じゃないですか。

あぁ、たしかにいい職業ですよね。悲しいことがお金になるなんて(笑)。なんか、いいことも悪いことも全部受け入れるような芯の通った女の子が自分は好きやから、コレサワにはそういう女の子でいてほしいんですよ。

-そういう女の子でいてほしい?

うん。本当の私は落ち込むときは落ち込むし、結局ワガママなところもあるんですけど、コレサワにはちゃんとブレないでいてほしい。好きなことも嫌なヤツも全部受け入れたなかで、自分にとって必要な人/必要じゃない人をスパッと分けられるような女の子でいてほしい。"女の子だからこう"、"男の子だからこう"みたいな考えがめっちゃ嫌いなんですよ。"その女の子って誰のことを言ってる?"、"どの女の子にアンケートとって調べたん?"、"普通ってどれ?"って思っちゃうので。だから私は、"私はこうよ!"みたいな部分がすっごく強くて、それでウザがられることも結構あるんですけど、"私はこうだから、みんなもそれぞれのままでいいんだよ"っていうことを一番伝えたいんです。"自分の意志が一番大事だよ"っていうことを私が歌い続ければ、ちょっとでも自信を持ってくれるかな? っていうのがあります。

-もともと歌以外は自分に自信のなかった人が、今は誰かに自信を与えたいがために歌ってると。

ははは、そうですね!

-だからこそコレサワさんの歌はグッとくるんですよ。

そうか。嬉しいなぁ。「これから」っていう歌に"こういうスタイルでメジャーに行きたい"っていう私の決意を込めたんですけど――例えば面白い歌を書く人もいるし、ダンスが上手なかわいい女の子もいるし、何も考えなくても良い歌詞を書けるような人もいるし......いろいろな音楽があると思うんですけど、私はそんななかでも、言葉で勝負したいっていうのがあって。

-要するに、"言葉にできない"という言い訳を振りかざしながら、自分を誤魔化して逃げるようなことをしたくないんですよね。

うん。嫌です。私は、ちゃんと自分の話を聞いてほしいし、恋人とかに対しても"ちゃんと好きって言ってほしい"って思うタイプの女の子やし、そうやって愛してほしいし......。それと同じように、私の歌もサボらず聴いてほしいんです。"そんなあなたでもいいよ"って言ってくれる人とスタートした方が楽しく付き合っていけるし、そうすればたぶん、ずっと続くんじゃないかなって思います。