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INTERVIEW

Japanese

カフカ

2016年09月号掲載

カフカ

Member:カネココウタ(Vo/Gt) ミウラウチュウ(Gt) ヨシミナオヤ(Ba) フジイダイシ(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-なるほど。

カネコ:そうなってきたときに、最近のシティ・ポップや80sとか、あえて古い音楽からのグルーヴを意識すると、すごく新鮮になるんじゃないかって全員で話し合って。もっと"音楽人"として、やりたいことをやっていこうっていう話をしたら、自ずとギター・ロックだけじゃないところにいったんです。

-それはギター・ロック・バンドとして表現したいことはやり切ったということ?

カネコ:いや、そんなことはないです。やっぱりギター・ロックは、僕らの核みたいなものなので。切っても切れない部分ですよね。

ヨシミ:ギター・ロックっていう核があるからこそ広げられるんです。今回もギター・ロックの曲は入ってますし。核にあるからこそ可能性を探れたなと。

-あくまでギター・ロック・バンドのカフカでありながら、ギター・ロックだけに囚われない広いサウンド・アプローチにチャレンジしたかったんですね。

カネコ:そういうことです。

-さっきの話だと、デモの段階から歌詞も書いてたということですか?

カネコ:そうですね。でもそれも書き直しました。もっとちゃんと言わなきゃいけないことがあるなと思ったんです。包み隠したものとか、相手に想像を委ねるものっていうのは、言い訳というか、愛から逃げてるのかもしれないと思ったんです。自分なりの愛を提示して、そこにリスナーが"私は違うと思う"っていうことを言えるぐらいじゃないと嫌だったんですよ。"自分なりの愛の輪郭をはっきりしなきゃいけないな"っていうのがあったんです。

-でも、"愛"っていう"わからないもの"をはっきりさせるのは難しいですよね。

カネコ:だから最初にできあがったものはちょっともやもやしてて、"愛ってそんなものかな"とも思ったんです。でも愛って、汚かったり、ドロドロしてたり、淡い恋だけじゃないことを伝えたいなと思ったんですね。だから今回はサウンド的には明るい印象があるんですけど、歌詞には怨念がこもってる感じ。愛を賞讃してないっていう。それも1回作ったデモを壊さなかったら、ここまでエグいことは言えなかったなと思います。

-愛に答えを出そうとする感じは、Track.8「heartbreak」とかに出てるなと思いました。"共に誰かと生きていくのは/きっと奇跡みたいな事だよ"とか、すごく普遍に向かってますよね。

カネコ:そうですね。例えば「LOVESICK」みたいな(恋愛の)ど真ん中にいる曲って、どうしようもないほど、"LOVESICK(恋煩い)"になってる。でも、「heartbreak」の方は、失恋して、終わったあとの話なんです。誰かを失くした虚無感っていうか。そういうときの人間ってすごくかわいいなと思うんですよ。どんなに怖い人でも失恋したら、きっと泣いたりするんだろうなっていうのも考えると、悲しいのは自分だけじゃないんだなって。基本的には"ひとりじゃないんだよ"っていうことを言いたかったんだと思います。

-わかります。今回のアルバムを聴いてて、すごく人間ってかわいいなって思いました。傷ついても健気に生きてる。それが愛しいなって。

カネコ:今回はテーマが愛なので、周りの人たちの話もいろいろ聞いたんです。そうすると、やっぱりみんな愛に関しては、いろんな想いがあるんですよ。それぞれ違ってるんだけど一貫してるのは、"愛がないとダメなんだな"っていうことですよね。

-周りの人にもいろいろ聞いたっていうのは、メンバーも含まれるんですか?

カネコ:そうですね。僕ら4人でツアーを回ってたら、移動車の中ではだいたい恋愛の話ですから。仲が良いからどうしても男子校みたいになっちゃうんですよね。でも、そういうところから生まれた曲がすごくあって。もう付き合いが長いのでお互いのことは詮索しないんですけど、たまに話すとちょっと嬉し恥ずかしみたいな部分があるんです......(笑)。

-いいですね(笑)。やはり愛というテーマにはメンバー全員で向き合う必要があった?

カネコ:自分が曲を書くからって、何も言わずに"できました"じゃなくて、歌詞を書くうえで、メンバーそれぞれの愛の考え方も知っておきたかったんです。今回みたいなことをふざけずに、愛や恋の話を真剣にしたのも長いバンド生活をしていて初めてのことですね。

ミウラ:やっぱりバンドって4人の共同体なわけだから、4人の生活とか何気ない嬉し恥ずかしみたいな気持ちは、音に出るべきだなと思うんですよね。

フジイ:仲が良いので、いつも話はしてるから、その延長でもあるんですけど。今回はさらにクリエイティヴな感じで話せたかなと。

ヨシミ:そういうことをやったおかげなのか、このアルバムを聴くとメンバーへの愛が深まるんですよ(笑)。違う誰かに会いたくなるんです。ちょっと不思議な感じですね。

カネコ:たしかにメンバー愛は多分にあるね。