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DISC REVIEW

Japanese

空を継ぐものたち

ドイツ語作家Franz Kafkaの名前を冠する3ピース・バンドのタワレコ限定1stミニ・アルバム。Kafkaの代表作“変身”からイメージするような病的さはあまり感じられないが、日常を再構成して創り出される非日常の物語はまさに“カフカ”である。抒情的なメロディと繊細なギターのアルペジオが、どこかで聞いたような話だという既視感を煽るのだが、そこに在るのは何かが決定的に違う。「アルジャーノンに札束を」に至っては誰もが知る有名作を発想源に、シニカルな物語を新たに創り上げた大胆不敵さが面白い。1枚のアルバムというより1冊の短編集を読んでいるような文学的な今作。音楽は大好きだけど文学にはあまり馴染みがないという方も、アフタヌーン・ティーと共にゆったり楽しんでみてはいかがだろうか。(石井 理紗子)