Japanese
ジョゼ
2016年01月号掲載
Member:羽深 創太(Vo/Gt) 吉田 春人(Ba) 中神 伸允(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
-年齢的には迷う時期かもしれないですね、30代というさらに大人に向かっていく時期にも近いし、20代前半のはしゃいだ気持ちだけではいられないし。でも何がしたいかというと、自分が持っているものはまだ足りないんじゃないかという気持ちが大きくあったり、すごくグレーな時期ではあるかもしれませんね。
羽深:そういった年齢論は、今は時代的に通用しないんですけどね。あとは、ジョゼというバンドはまだまだこれからだと思ってるのに、完成されている形として見られるんです。でもそれがイヤだったんです。もっと、不器用なところを突き詰めていきたかったんですよね。『YOUNGSTER』というアルバムのタイトルも、"若者"とか"少年"とか、"活発な"という意味合いがあるんですけど、それが今の自分たちにもリンクしていると思ったんです。だから、難しいんですけど、器用なようで不器用な僕らというか。それが詰まっていると思います。
-吉田さんはベーシストですが、そのあたりで今回の制作で試されたことはありましたか。
吉田:まずは根岸さんが横にいるということで、すべてが試されている気がしました(笑)。自分が試されているというのもそうですけど、今も話を聞きながら思ったのは、制作過程から葛藤しながら、どうすればいいんだろう?って思ってでき上がったアルバムということですね。はぶちゃん(※羽深)から出てきた歌詞も、そういう葛藤や、どう変わればいいんだろう?っていう言葉が出てきて。この1枚に少年が大人に変わる瞬間が収められている。全部がシンクロしてでき上がっていったんですよね。作りながら歌詞を聴いていたときも、"これは今の俺だな"と思ったし、それはなかなか面白いなと思いました。
-まさにみんなが思いを共有して作っていたと。
羽深:みんな同じ焦りがあったしね(笑)。
吉田:そこで根岸さんの存在はすごくデカかったと思います。"プロデューサー"と聞くと、ああしろとかこうしろとか言うイメージがあるとも思うんですけど、根岸さんは僕らがこうしたいけど、どうしたらいいのかわからないというところを、"俺だったらこうするかもな"って背中で見せてくれるんですよ。僕らがうまく言葉にできない、方法としてできないところに対して、それだったらこんなアプローチがあるよって、あくまで一緒に進む手助けをしてくれたんです。その根岸さんのスタイルは、すごく嬉しかったし、よかったんですよね。
-後ろにいてくれる安心感、心強さもありますね。
吉田:まあ、その2倍のプレッシャーは感じましたけどね(笑)。
-いわゆる少し角度を変えて見るお手伝いをしてくれたんだと思うんですが、目から鱗みたいなことは多かったんですか?
羽深:それはかなりありました。僕たちが1番足りなかったのは経験値なので。根岸さんは、いろんな経験もされてバンドのプロデュースもされているし、いろんな大物ミュージシャンのバンドでもプレイしていますからね。教科書は当たり前のように消化しているというか、僕らは教科書をバーッと飛ばし飛ばしで読んで、知った気になっていた部分が大きいんですよね。それでなんとかやっていたんですけど。間違って覚えていた音楽理論を――数学で言えば公式だったり、漢字の読み方だったりっていうのを、全部正してくれたと思います。理論にしても、わかったうえであえてハズしているならいいけれど、わからずにやっているならそれは間違いだと。それを間違って覚えてると、お客さんにも間違って伝わっちゃうんだっていうのを、強く教えてくれたんです。ミュージシャンとしてもそうですけど、人間としてもいい経験になったと思いました(笑)。
中神:ドラムに関してはそこまで、アドバイスをもらうということではなかったんですけど、全体的なノリの部分とか、ドラムとしての大きな役割というのは伝えてもらいましたね。そういうことに関しては自分でも発見した部分も多かったです。
-アルバムの幕開けとなる「ハートソルジャー」(Track.1)の、冒頭部分のドラマティックなドラミングはすごく印象的ですよね。このドラムが曲の加速感に繋がっていますよね。あのあたりは、最初からあったところだったんですか。
中神:そうですね。はぶちゃんから原曲をもらったときに、曲のイメージからタムを使いたいっていうのはすごくあったんです。ただ当初は、完成されたものに比べて、そんなに疾走感はなかったんです。でも根岸さんとのスタジオ・ワークで、もっとキックを入れるとか、足を踏みっぱなしにするとか――せっかく根岸さんがスタジオにいるから、ドラムを見てもらいたくて。そういうちょっとしたことをいろいろやっていたんですよ(笑)。
羽深:たしかにそうだった(笑)。
中神:ちょっとやってみては、ちらりと根岸さんを窺ってみたり(笑)。そのときに、ちょうど今の音源になったパターンをやってみたら、"それ、結構いいね"って言ってもらって。"よし、これだ!"って思って(笑)。タム自体はもともと自分が使いたくてやっているんですけど、全体的なノリっていうのは根岸さんにヒントをもらったところは大きいですね。
-そういった勢いのある「ハートソルジャー」が1曲目になることで、このアルバムのトーンだったりバンドのやろうとしていること、こういうストーリーを持った作品ですよというのを端的に伝えていますよね。今までの話を聞くとより思います。
羽深:ありがとうございます。
-迷いの中を突き進みながらも、それを乗り越えていく歌になってる。アルバムの幕開けとしてもそうだし、リード曲にもなりましたが、意図はしていたんですか?
羽深:うーん、僕は実はこの曲以外のものがアルバムのリードになるかなと思っていたんですよ。いつもリード曲は迷うタイプなんですけど、今回はスタッフも根岸さんもみんな、どの曲がリードに向いているか話したとき、"「ハートソルジャー」でしょ?"ってすぐ出てきたんですよね。それは自分では気づかない感覚だったんです。僕は全曲気に入っているので(笑)。「パステルカラー」になってもよかったし、「Friday」になってもよかったと思っている、というくらいだったんです。でもその中でも、曲の持ってる強度が「ハートソルジャー」はダントツだったのかもしれないですね。歌詞にしてもサウンド面にしても、新しいジョゼを1番提示できる曲だったので、1曲目であり、リード曲になったんじゃないかなと思います。
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