Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

ユビキタス

2015年11月号掲載

ユビキタス

Member:ヤスキ(Vo/Gt) ニケ(Ba) ヒロキ(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-それができるようになったら3ピースとしての精度も上がりそうですね。3ピース特有の音の空白を音源で効果的に用いているのはファンク色のあるTrack.7「ボクノウチュウ」が代表格では。

ヤスキ:今回のレコーディングの前に、スタジオでプロデューサーとアレンジを練る時間があったので、ギターのコード進行とかもすごく変わって、おしゃれになって(笑)。いつも使わへんコードが入ってる。そういう部分でもユビキタスのレンジが広がった印象はありますね。80'sとかEARTH, WIND & FIRE、KOOL & THE GANGが大好きなうちのおとんがこの曲めっちゃ好きで。めっちゃ上から"お前めっちゃいい曲書くな"と褒められました(笑)。僕もファンクとかフュージョンは好きなので、父親の影響はあるかもしれない。

-たしかにその好みを持つお父様は気に入る曲ですよね。コードもおしゃれで、ファンクな要素もあるし、ヤスキさんの裏声もアクセントになっています。

ヒロキ:これはうちの弟も好きですね。この曲をやるならライヴ観に行く言うてて。

ニケ:でもこの曲は僕が作ったフレーズをプロデューサーが全部変えて。弾いたことのないスケールやコードなので、ゼロからのスタートみたいな感じやったんです。ベーシスト大変ですよ! 1番苦労しました。

ヒロキ:苦労した言うたら、俺はTrack.4「奇跡は僕の街で」かなあ......。これはドラムもベースも、こんなんしたことないで!?って感じの曲なんで(笑)。

-そうですね。「奇跡は僕の街で」は展開が激しい。ポスト・ロック風のドラム、サビはパンキッシュで、間奏にはシブめのギターなどなど......。

ニケ:「奇跡は僕の街で」は1曲に自分たちができる要素が全部詰まってて。

ヤスキ:普通の感じでいきたくなかったんです(笑)。最終的にミックスも左右に振ってたりして、遊んでる曲なんですけど。

ヒロキ:頭こんがらがって......内緒でめっちゃ個人練習しましたもん! 僕が1回どっか行ったら帰ってこれへん(笑)。そんな感じで大変すぎたから、この曲を制覇すれば全体的にドラムはいける!と思ったんですよね。

ヤスキ:僕の場合、歌詞にはドラマ性をつけたいしサビに強い言葉を持っていきたいから、「リフレイン」みたいな歌詞の意味があんまりない曲を作るのが大変でしたね。ユビキタスの前にやってたバンドはリフレインを多様するタイプやったんですけど、そのときから僕そういうの苦手やったんですよね(苦笑)。だから「リフレイン」て曲名やけど、リフレインさせる歌詞の使い方になってるかというとそうではなくて......。キャッチーなメロディには、どうしても意味のある言葉をつけちゃうんですよ。そうするとお客さんは自然に楽しむんじゃなくて聴き入っちゃうんですよね。そういうのもあって意味のある言葉をつけないようにつけないように......ユビキタスでも歌詞を聴かなくてもサウンドだけで踊れるような曲をやりたいなと思って。意外と1番苦手なジャンルです(笑)。

-メンバーそれぞれに苦手な部分、未知な部分に挑戦する箇所があったんですね。

ヤスキ:そういう意味での"進化と退化"というアルバム・テーマでもあります。"退化"という言葉は意味的にはちょっとずれてるかもやけど(笑)。今回は自分の苦手なこともちょっとストイックに挑戦しようと思ってやりました。これまでのアルバムはバラードで終わってたんですけど、今回はあえてバラードを真ん中に持ってきて。

ニケ:それで最後の「メランコロニー」みたいな昔のユビキタスっぽい曲もあって。

ヤスキ:Track.1「空の距離、消えた声」から始まって、「メランコロニー」で終わるという。

-「空の距離、消えた声」は今のユビキタスを切り開いてる曲で、バンドにとってもこれを完成させられたのはとても大きいと思います。

ヤスキ:今ではライヴのマスト曲になってます。でも結成当初は、こういう疾走感のあるギター・ロックをやるイメージはなかったんですよ。どっちかというとTrack.8「透明人間」みたいな爽やかすぎない中性的なイメージで結成してたので、突き抜ける爽やかな曲が自分らのマストの曲になるとは思ってなくて。でもいろんなサーキット・イベントにお世話になるようになって、"こんなライヴがしたいな"というイメージがいろいろ湧いてきて、気がつくと俺も普通のTシャツになって、ヒロキはタンクトップになってて(笑)。

-ははは。当初から"このバンドではできるだけ普通の僕でいたい"とおっしゃっていたから。

ヤスキ:良くも悪くもわがままですね......。お客さんも"ん!? また変わった!?"みたいに思ってるんかなー......と考えたりするけど、まあいいやん、ユビキタスやし!という(笑)。"自分たち"でいたいから。1枚目がすごく初期の感じ、2枚目がポップな感じで作って......ポップに寄せていくしていくのが自分たちにとっていいことなのか、全員がすごく考えたんです。今回はそれを踏まえて作ったものやから、その中間というか。今は迷いがないし、今の自分たちにはこれが1番気持ちがいいんです。本当に自信があります。

-そう考えると「ヒーローのつくり方」は「空の距離、消えた声」の延長線上というか。

ヤスキ:そうですね。2015年はこのアルバムのために動くという意志はあったんですけど、「空の距離、消えた声」ができたときに、僕自身こういう曲で今年1年は勝負したいなと思ったんです。"僕のヒーローアカデミア"を読んで書いた曲でもあるんですけど、自分たちと繋がるなとも思ったから自然とそういう歌詞になって。......でも僕は昔からそうなんですけど、そのときそのときの感情で書いていくんで、あとから読み返すと"あ、これ俺が書いたんや?"と他人事みたいになるんです(笑)。その視点で見てても1枚目と全然違う歌詞やなと思う。昔の歌詞は捉え方は自由やったけど、今回はメンバーや家族、友達、恋人に歌ったりして書いていたのもあって、すごく1対1で会話をしているような歌詞が多くなっていると思いますね。