Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

HaKU

2015年06月号掲載

HaKU

Member:辻村 有記 (Vo/Gt) 三好 春奈 (Ba/Vo) 藤木 寛茂 (Gt) 長谷川 真也 (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

"共生"をテーマに掲げたフル・アルバム『シンバイオシス』から1年強。この期間でHaKUは新たな自分たちの居場所を開拓した。同期やシンセを導入しないなど、自らに課していた制約を取り払い、この1年間、自由かつ果敢にライヴを繰り返してきた彼らは、これまでのダンス・ロックからクラブ・ミュージックとしても深化を遂げ、それによって彼らがもともと持っていたHR/HM要素が効果的に響くようにもなった。加えて『シンバイオシス』から見受けられた歌としての側面もよりキャッチーに。新作『I HEAR YOU』、移籍第1弾に相応しい新生HaKUを感じられるはずだ。1年以上ぶりのインタビュー、メイン・ソングライターでありフロントマンである辻村有記の晴れやかな表情がとても印象的だった。

-前作『シンバイオシス』からこれまで、バンドにとってはどんな期間でしたか?

辻村:次のステップに行くための準備期間というか。『シンバイオシス』がひとつの集大成であったことは間違いないので、そこである種今までやってきたことを出し切ったというか。だからこそ僕らは"それを糧にして何ができるかな?"と話し合う期間が必要だったんです。それと同時進行で新しい音を制作していた......という感じです。ちょうどそのときに70分ノンストップ・ミックス・ライヴ"Reincarnation Lev.1 ~out break~"(2014年8月30日、渋谷gladにて開催)という、MCもなしで、音もDJセットみたいにして、ライヴハウスじゃなくてクラブでやる......という勝負をしてみたいなと思って。やってみたらすごくよかったので。

全員:うんうん。

辻村:個人的にもエレクトロやクラブ・シーンの音楽が好きで、それは少なからずHaKUに活かされていた部分もあったんですけど、それをもうちょっとバンドにどどどっと入れたものをやってみようかなと思ってやったら、それがすごく良くて。お客さんの表情を見ていると、自分たちの伝えたいことが、すごくナチュラルに伝わってたと感じられてすごく嬉しかった。"Reincarnation"は全部リミックスして書き直したんですよね。普通なら知らない音はわからなくてノリにくいと思われるかな、と思ったんですけどそういうこともなく、鳴ってる音に対して(観客の)身体が跳ね上がっていて。作った音がそのまま届いた経験は今までになかったので、『シンバイオシス』から次のステップに向かうための肝がそこでできて。そこから新しい音源を作っていくことになりました。

藤木:"Reincarnation"のころには『I HEAR YOU』をちょっと作り始めてました。今までやってきたことに違うエッセンスが加わるようになるから、俺らも"どういうふうになるのかな?"という不安ももちろんあって。でも"同じことしても面白くないから、新しいことをやっていこうや!"という話はずっと4人でしてて。なのでいい意味で一方通行で新しいことを考えられたかなという気がしてますね。

三好:同期音源を入れる手法が当たり前になっている今の時代に、私たちは4人の音だけのリアルタイムでどこまでできるのかをライヴでもずっと突き詰めて。『シンバイオシス』はそのために音をシンプルに、"ほぼライヴで再現できるものしか入れないでおこう"というところでできた作品だったんです。"Reincarnation"で全部リミックスして全部音を変えたときに、やっぱり音はすごくシンプルで。曲の構成とかも原曲より削ぎ落とされた感じのものになったり......よりそのひとつのものを磨いていくことに対してもすごく考えるようになりました。"Reincarnation"では動きを決めたり、普段のライヴでやらないようなこともいろいろやってみて、"これもできるやん、あれもできるやん!"というのが見えてきて。それが『I HEAR YOU』という作品になったので、そういう新しいわくわくが伝わったらいいなと思います。

長谷川:"Reincarnation"で必然と"お客さんも僕らも楽しめて、リミックスした楽曲がストレートに伝わりやすいようにアレンジしよう"というのは、僕らが今までやってきた道と別のところで、ある種の企画モノみたいにコンセプトがしっかり決まってたんです。でも今までと違う手法でありながら、みんなと同じ方向に向けてやれたのは、すごく大きくて。『I HEAR YOU』は、もともと僕たちが持っていたものと"Reincarnation"という別のルートでできあがったものをうまいことドッキングして、ひとつのものになってできた感じがあります。なのでHaKUのカラーを残しながら、新しいものを取り入れてできた作品だと思います。

-辻村さんもブログで"バンドを結成して初めての音源『WHITE LIGHT』を作ったときの雰囲気が8年の時を経て甦った"と書いてらっしゃいましたね。

辻村:そうですね。"HaKUはこういうバンドだからこういうことをする、これは似合わない、これはだめだ"とか、僕たち自身が勝手にHaKUというものを決めちゃってた部分もあると思うんです。でも『シンバイオシス』が出せたことによって次に行こうとも思えて、今はある意味むちゃくちゃできるというか、決められたルールがないところに一旦立ち返ったというか......1回まっさらなところに戻れた感覚があって。踊れるし、歌えるし、悲観的な言葉以外の言葉も歌えるんじゃないか? と考える機会があって。この8年間の経験が自分たちにはたくさんあるので、それをもっと大きいものにできたのは今回からだと思いますね。