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INTERVIEW

Japanese

カラスは真っ白

2015年01月号掲載

カラスは真っ白

Member:ヤギヌマカナ (Vo/Gt) シミズコウヘイ (Gt/MC) タイヘイ (Dr)

Interviewer:天野 史彬

-今回、歌詞を読んでいて改めて思ったんですけど、ヤギヌマさんの書く歌詞って、基本的に他者に何かを期待していく言葉遣いが多いなって思うんですよ。"~してほしい"みたいな。だから"HIMITSU=秘密"という言葉に関しても、隠しながらも最終的には誰かに暴いてほしいっていう気持ちがあるのかなって思ったんですけど、どうですか?

ヤギヌマ:まえまでは、じぶんのなかだけでかんけつしてたのが、こんかいはかしにすとーりーせいをもたせてみたり、ちょっとそとのせかいにきょうみをもってきたのかな、とはかんじます。

シミズ:客観的に歌詞の変化を見ると、おっしゃられたように"~してほしい"っていうのは今回も結構あるんですけど、今までもにも結構あって。そのうえで"~してあげるわ"みたいな、自分から行動する発言が歌詞において増えてきてる感じがしますね。それも今回のアルバムでは注目してましたね、僕は。

-前回のインタビューのときはヤギヌマさんとシミズさんのおふたりが相手だったんですけど、あのとき喋っていて感じたのは、ヤギヌマさんとシミズさんはまったく違ったタイプのアーティストで、その差異がカラスは真っ白の面白さに繋がっているのかなってことだったんです。先ほど"隠したい"っていう話がありましたけど、でも、シミズさん個人は包み隠さずラヴ&ピースを叫べる、というか率先して叫びたい人ですよね。

シミズ:あぁ~、そうですね(笑)。

-でも、ヤギヌマさんは感情的な部分は隠したい人で。そのギャップが面白さでもあったんだけど、ただ、今のカラスは真っ白はそのギャップで見せていくんじゃなくて、バンドとしての一体感、ひとつの塊としてのカラスは真っ白を提示できるようになってきたのかなって思うんですけど、どうでしょう?

シミズ:やっぱり、カラスは真っ白においてすべてを発信する根源はヤギヌマカナで、それを代弁しようとしてできてないのが僕なんです(笑)。ただ、今までは僕が"一緒に楽しみてぇ!"ってベタにストレートに伝えるんだけどヤギヌマちゃんは上の空、って感じだったのが、ちょっと変わってきてるのかもしれないです。結局はヤギヌマちゃんが笑ってくれればそれですべて解決で、お客さんを含めて、彼女を中心にみんなで楽しんで踊ってるっていうのが最終的な目標なんですけど、それにちょっと近づいてきてるというか。そこは、道化の僕としては嬉しい限りだなぁと思っていて(笑)。で、そんな中でも、ヤギヌマには"させている"っていう感じが今までは強かったけど、今は"している"も強くなってきた。彼女自身から少しずつ少しずつ楽しみ始めているんですよね。その過程を楽しめている僕は幸せだし、お客さんにもそういうところを見ていただきながら、お互いぶつかってどっちも楽しいっていう環境を作っていく、その成長の過程にいることがすごく楽しいですね。

-ヤギヌマさんに対するシミズさんのスタンスってすごく特殊で面白いと思うんですけど、これって男性メンバー全員に共通してるものなんですかね? タイヘイさんも、ヤギヌマさんに対する見方って今シミズさんがおっしゃったのと同じような感じなんですか?

タイヘイ:いや、ベクトル的にはちょっと違いますね。シミズは、ポジション的にはヤギヌマの代弁者というか、ヤギヌマを世間に伝えるインターフェイスみたいな(笑)、そういうポジションなんですよね。ヤギヌマも自分で発信していってるし、それは段々強くなってるんですけど、そこにワンクッション挟む人、みたいな。

シミズ:変換効率めっちゃ悪いけどな(笑)。

タイヘイ:でも、自分はそういうスタンスではないですね。どちらかと言えば、シミズを巻き込んで後ろ3人は3人としての塊で発信してる、というか。だから、シミズは役割多いんですよね(笑)。

シミズ:ライヴのMCは基本的には全部僕がやってるんですけど、他の3人は全然聞いてないんですよ(笑)。みんな遊んでるんです。僕が喋ってる間、ヤギヌマはシャボン玉の銃を撃ってたり......。"話聞いてる?"って訊いても、答えが返ってこないんですよ。まぁ、いつかその輪の中に入れてくださいって感じで(笑)。

ヤギヌマ:ふふふ(笑)。

-ほんと、面白い距離感のバンドですよね。

シミズ:そうですね。でも、音楽的な面では男3人はガチガチに固まっていて。同じグルーヴの中で、同じ方向に突き進んでるっていう意識があるんです。でも、今まではヤギヌマカナは男3人とは違うベクトルにいるかもなっていう感じだったんですけど、この『HIMITSU』っていうアルバムを通して、最近は少しだけベクトルが合ってきたかもっていう瞬間が増えてきて。そういう意味で、グルーヴっていう音楽の根源にあるものに関してはどんどんどんどんカラスは真っ白は進化してきてるなって思ってます。例えば、ヤギヌマがバックに合わせてメロディの譜割りを変えてきたり、リズムの取りかた、メロディや歌詞の乗せかたを彼女から提示することが増えてきてて。それによって"あ、気持ちいい"っていう瞬間がどんどん増えてきているので、音楽面でのベクトルはどんどん研ぎ澄まされていってるなって思いますね。MC中は全然ベクトル違うんですけど(笑)。

-それって、ライヴで見せたいものと音源で見せたいものが合致してきたっていう側面もあるんじゃないですか?

シミズ:イメージ的には、ライヴはライヴの音で楽しみたい、音源は音源で楽しみたいっていうのが、自分たちのそもそもの思いとしてあって。一緒の場合も一緒じゃない場合も全部楽しい、全部面白いっていう方向に行けばいいと思ってるし。でも、音源にはないライヴのよさ、ライヴにはない音源のよさっていうのがそれぞれある中で、カラスは真っ白はやっぱりショウとしてお客さんと一緒になって楽しむっていうスタンスは絶対に崩したくないので、ある種模索中かもしれないんですけど......だからベクトルが合ってきたっていうよりは、どっちもが高くなってきたかなっていうのは思いますね。例えば、ライヴは4人だけでやってますけど、今までの音源はサポート・ミュージシャンを入れてキーボードを弾いてもらったりしてたんです。でも、今回はそれを一切なくして、完全に4人だけで楽曲を作って、キーボードとかも全部自分たちでやって作れたんです。そういう意味では、ライヴの4人感と音源の4人感は合ってきたかもしれないです。