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INTERVIEW

Japanese

ユビキタス

2014年01月号掲載

ユビキタス

Member:ヤスキ (Vo/Gt) ニケ (Ba) ヒロキ (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-ユビキタスの曲は歌詞と曲のリンクの仕方が絶妙だと思ったんですよね。明るい歌詞だから明るめだとか、暗い歌詞だから暗めだとか、そういう単純なものではなくて。特にTrack.2「SNS」は象徴的だと思うんですけど、現代の主流であるSNSを題材にした詞に、現代のロック・キッズが好みそうなラウド寄りのキメが盛り込まれたアプローチがあって。

ヤスキ:僕はもともとギタリストで、LIMP BIZKITとかKORNとかのコピバンからスタートしているのでミクスチャーが大好きだったんです。だから歌ものだけで終わらへんような曲を作りたいというのが強くて。メンバーには無茶振りしちゃうんですけど、できあがったら全員納得できてる。自分が聴く側だと"こここうしてほしいな"と思うことが音楽を聴いていると多くて......聴く人によると思うんですけど、感覚的にユビキタスは(音も詞も)全部ドンピシャやろ、というか(笑)。"ここでこういうキメが欲しいやろ""こういうリズムが欲しい"と自分らの曲にないリズムを想像して、そこから曲を作っていくんで。インストでもいけるんちゃうか、くらいの曲を作るのが理想です。

-Twitterで拡散されていったバンドとしてはSNSを題材にするのは避けては通れなかった?

ヤスキ:んー......この歌詞大丈夫ですかね?トゲトゲしてる感じなんで。多分そのときの葛藤や不満があったんでしょうね。僕、曲作ったあととか、レコーディングした後とかいつも"これ誰が書いたんやろ?"って感じになるんですよ(笑)。その曲はそのときの自分しか書けなくて。だから常に残していかないと......という感じ。

-個人的には"また僕の相手して/暇なときでいいから/適当に待つよ"という歌詞にゾクッとして。

ヤスキ:それを聞いていま僕がぞくぞくっとしました(笑)。そのときにSNSだけでなく、自分の私生活とか、このバンドやもうひとつのバンドとかでも似たようなことがあったのかもしれない。ニケに連絡して連絡が返ってこないとか、そういう些細なことがあのときは続いていたというか。"変わりたい"と思っていたときに吐き出した言葉というか。僕は常に音楽のことばかり考えているから(笑)。自分に間があるとき、すごいもやもやしてしまう。それを全て音に変換するというか。

-感情が昂ったときに曲ができる。その昂ぶりは反発心みたいなところから来るものなのでしょうか。

ヤスキ:んー、自覚がない(笑)。でも行き詰ってるときこそ僕はギター弾いてる気がするから......それもあるんかなぁ。しんどいのが好きゆうたら気持ち悪いかもしれないですけど(笑)、しんどいことはいいことだと思ってるんで。それは全部自分の財産になるんで、そういう思いはいっぱいしようと。わくわくしてます。

ニケ:(ヤスキとは)めっちゃ仲良くて3日に1回くらい電話するんですけど、波激しいんですよ。楽しいときは楽しい、悲しいときは悲しい。曲を持ってくると"ああ、これむっちゃ疲れてたときの曲やな""ちょっと病んではるなぁ"とか、歌詞を見ると"あ、これ先週のヤッちゃんや"とか、それがリアルにわかるから一緒にやってて面白いですね。そのときそのときの彼が出ているから。

-さっきおっしゃってた"そのときの自分にしか書けない"というのと繋がりますね。日記みたいな感じなのかな。

ヤスキ:あー、そういう感じですね。ユビキタスではそういうものを意識してやっているかも。もういっこのバンドがキメキメやから、このバンドではできるだけ"僕"でいたいんですよ。

ヒロキ:(もうひとつのバンドでは)こいつめっちゃくちゃかっこつけてるんですよ(笑)。でもどっちが素かゆうたらこっちなんで。だからお客さんにも受け入れてもらいやすいってのもあると思うんです。

-ストレートのようでいて意味深な言葉が並んでいるから、さっきおっしゃったタイトルの話と繋がるかもしれないですけど、聴いているほうも"どういうことなんだろう?"と入り込むのかも。

ニケ&ヒロキ:そうそう、そうなんですよね。

ヤスキ:(笑)僕はクサい言葉が苦手というか使えなくて。僕は比喩が好きで、メロディに乗って気持ちがいい歌詞を意識して書くので......その結果ちょっとひねくれちゃいます。聴いている人が"こう言ってほしいな"と思うことを敢えて言わない。例えば"好き"やったら、敢えて好きとは言わへん、向こうが好きって言うまで待つ(笑)。音楽でもそういう駆け引き的なコミュニケーションができたら楽しいなぁって。

-弾き語りで始まって開けていく王道かつひたむきな、アルバムのラストを飾る「再生」では"再生押せばいつでも会いにくるよ"というフレーズがあって......これはリスナーの皆さんへのお手紙ですよね?

ヤスキ:恥ずかしいですけど(笑)、そうですね。また再生を押すことでTrack.1になるわけじゃないですか。何回も聴いてほしいし、しんどいときにいつでも頼ってほしい。聴いている人たちの素を引き出したいというか。......僕最近ようライヴで泣くようになったんですよ(笑)。このレコーディングが終わって帰りの車で録ったのを聴いたときに、いままでそれぞれが音楽をずっとやっていて、それがようやく形になったことで熱くなって、3人揃って大号泣して。その後の神戸のライヴのときにMCでその話をしたらいままでの自分らのこと考えて全員感情的になって、歌も歌えへんくらいに泣いて。