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INTERVIEW

Japanese

凛として時雨

2013年04月号掲載

凛として時雨

Member:TK (Vo/Gt) 345 (Vo/Ba) ピエール中野 (Dr)

Interviewer:吉羽 さおり


-音はものすごくソリッドになって、音楽の世界、匂い、が生々しく立ち上ってくるものになりましたが、歌詞の面でも完全/不完全、あるいは生きているものとそうでないもの、といった対比がより色濃く打ち出されていますね。

TK:一貫したテーマはないんですけど、基本的には歌詞の書き方もちょっと特殊だったりして。歌詞とか言葉とかは、思いついたときに書きためるようにしているんですけど、オケだったりAメロだけ出来た時とかに、先に歌を録っちゃうんですよね。言葉を書くより先に、音を聴きながらマイクの前に立つと、なんとなく言葉が出てきたりすることがあって。1回勢いでそれで作ってしまって、そこからちょっと巻き戻すみたいなことが今回は多かったんです。わりと衝動的な歌詞だったり、意味が強い部分も凄く多いですし、いつもより語感を楽器として捉えているところも多いですし、そこが両極端というか。結構むき出しな感じは、今回はしていますね。ソロをやって、少し裸になったような歌詞に自分自身が慣れたところがあるのかもしれないし。結局オブラートに包んでいるものは、オブラートにしか見えなくて。その奥を伝えたいなら、その奥だけを見せるしかないんじゃないかなっていうのは、最近はよく思うんですね。

-そこを書く道筋が、ソロをとおして出来たところですかね。

TK:思い描いていることを書くっていう作業に、少しだけ、恥ずかしさを取り除けているのかなっていう感じはしますけどね。割と赤裸々な感じだねと言われましたね、今回は。

-内からすっと出てしまった言葉たちですしね。

TK:そうですね、ヒリヒリとした感じで。

-というのを、どこかで体感していたからこそですか。

TK:「abnormalize」のマスタリングでイギリスに行ったんですけど、結構飛行機で何もしてない時とかに普段自分が思ってることを思い返してみると、違った角度でその物事を捉えられたりするので。何かしら、自分の中でイメージが見えた時には、忘れないように書いて、そういうのをあとで曲に散りばめたりしていますね。......何かを思うことがたぶん少ないんですよね。これってこういうことなんだろうなとか、そういう感受性が人よりもしかしたら少ないのかもしれない。

-普段音楽、音のことがウエイトを占めているから、ですかね。

TK:普段、ずっと音楽のことを考えてるわけじゃないと思ってたんですけど、最近、考えてるかもしれないなってちょっと思いハじめ始めてる。人と例えば食事をしていたりとか、音楽と関係ないことをしていても、体の半分では音楽のことを考えてるというか、何かを音楽に変換しようとしてるんですよね。常日頃から、そういうのを考えているタイプではないと思ってたけど、でもよく考えたらずっと探し物をしてるかもしれないなっていうのは、ありました。2年半かかりましたけど(笑)。

-345さんはより生々しくなった言葉を歌にするわけですが、感触のちがいはあった?

345:歌詞として渡されるわけじゃないんですよね。音として伝えられて、文字を見ないで歌ってることも多いので。表記の仕方とかでも、雰囲気とかって変わるじゃないですか。なので、出来上がってみて、おお!って思う感じで(笑)。

TK:2人はたぶん、録ってる時は何をやってるのか全然わからないと思うんですよね(笑)。絵の具を1色だけ渡して、それでいちばん最高の絵を書いてくれって感じだと思うから。

中野:まあ、それがいい絵の具をくれるので。

TK:なかなか売ってないやつね。

345:そう、もういい感じになってる。頭のなかでこういう感じにしたいっていうのは、TKの中であると思うので、それが出来たらいいなと思いながらやってます。

-自分のいろんな引き出しをあけていく作業になりますね。

345:その引き出しも結構引き出してくれる感じで。

TK:泥棒ばりに引き出し漁りますからね。

-それぞれすごい可能性を秘めているってことですね(笑)。

TK:可能性の宝庫ですよ。

-4月からツアーがはじまって、6月には武道館公演も決定しましたが、ライヴが非常に楽しみなアルバムでもありますので、そこも期待してます。

中野:今回は、ライヴで見てみたいような曲ばかりだと思います。まだライヴ用に音を3人で出してないので、僕も予想はつかないんですけど、すごく楽しみであることは間違いないですね。

-ソリッドながらもディテールの細かいサウンドだし、これを3人で生の、ライヴの形に再構築していくのも大変ですかね。

中野:いやもう、個人練習の時点で大変ですよ(笑)。