Japanese
lego big morl
2009年07月号掲載
Member:カナタタケヒロ(Vo.Gt)、タナカヒロキ(Gt.)、ヤマモトシンタロウ(Bs.)、アサi?
Interviewer:遠藤 孝行
昨年の今頃は観客が10人にも満たなかったバンドが、今年の5月のワンマンツアーでは軒並みソールドアウト。ドラマ「赤い糸」での挿入歌としての大抜擢はあったものの、ライヴバンドとしての実力と地道な努力がこの結果に結びついたのだろう。lego big morl。3年前に結成されたとは思えないほどの曲の完成度と存在感。変幻自在のリズムと伸びやかなボーカル。今後もっとも注目を浴びるバンドの一つになるのは間違いない。今回発売される渾身の2ndシングル「溢れる」を中心に、メンバーの過去や、曲作りまで。メンバー全員に語ってもらいました。
-まず最初に、バンド結成時の話をお聞きしたいんですが。高校の同級生で大阪出身のカナタさん(Vo&Gt)、タナカさん(Gt)、ヤマモトさん(Ba)3人と熊本出身のアサカワさん(Dr)が出会って結成されたそうですが、出会いはどのような形だったのでしょうか?
アサカワヒロ(以下:アサカワ):熊本から大阪の専門学校に出てきて、最初はそれぞれバンドをやっていて対バンをしたりはしていたんですけど、3人とはそんなに親しいわけでは無かったんです。その後、同時期にバンドが解散しまして、でも、まだ音楽をバンドをやりたいと気持ちがあって、それでカナタに「一緒にバンドをやろう」と電話をかけたんです。
カナタタケヒロ(以下:カナタ):電話をもらった時はびっくりしました。前にいたバンドのジャンルが「オルタナ」と「パンク」というくらい違っていたので。でも対バンでお互いのライヴは知っていたので、結構すんなり決まりましたね。
アサカワ:僕は前のバンドでやれなかった事が、この3人となら出来ると思って。
-高校の同級生の3人にドラムのアサカワさんが加わってバンドがスタートするわけですが、結成時は目標とするバンドなど、サウンドに対する具体的なイメージなどありましたか?
カナタ:今はもう大御所さんですけど、その当時はインディーズ・シーンを引っ張っていた、ACIDMANとかSTRAIGHTENER、THE BAND APARTを目標にしてました。
-さて、2006年の結成から3年というスピードで1stアルバムはオリコン・デイリー・チャート10位にランクインするなど、大きなステップアップを果たしてます。この3年で大きな変化があったと思うんですが、振り返ってみてどのような3年でしたか?
カナタ:人との繋がりが本当に増えましたね。このメンバーだからだと思うんですが、恵まれているというか、運もあったし、大切な出会いがたくさんあったと思います。それが、年々増えてきていて、人との繋がりの大事さをすごく感じますね。
ヤマモトシンタロウ(以下:ヤマモト):僕らlego big morlを始めてから、やることほとんどが初めての体験で、レコーディングする事も、大阪から出てくる事も、ましてやテレビやラジオに出ることも初めてで。この3年で毎年大きな転機があって、本当に濃密な3年間でした。
-そして今回2ndシングル「溢れる」リリースが決定しました。おめでとうございます。まず今回のシングルの手応えはどうですか?
カナタ:手応えは・・あります(笑)。
タナカヒロキ(以下:ヒロキ):手応えは勿論あるんですけど、今回のシングルは「裏切り」というテーマがあって、今年1月に出た1stフルアルバムに入ってる曲は細かい部分をこだわった所があって、今回それとは一味違うストレートな曲になったので、そういう意味でも「やったった感」はありますね。
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先行シングル「潔癖症」が象徴的だが、他人と会う機会が"コロナで消えた"と歌う「Hello Stray Kitty」など、コロナ禍だから生まれた作品であることをあえて厭わずに作り切ったところに覚悟を感じる1枚。異なる価値観を"愛し合う"と歌う「Gradation~多様性の海~」は、おそらく制作時期には予期していなかっただろうが、ウクライナ情勢の緊迫が深まる今、時代の必然で生まれた平和への祈りのような意味も帯びる。と書くと、社会派な重たい作風に感じるかもしれないが、打ち込みとバンドを融合させたジャンルレスな曲調はどこまでも軽やか。社会に生きる意味と誰かを愛することを、身近な生活の営みとして歌詞に落とし込む手腕はキャリア15年の人間的な深みのなせる業だろう。(秦 理絵)
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まず、タイトルがいい。"愛を食べた"だ。愛するという行為を、命がけのテーマとして捉えるのではなく、あくまでも日常の一部に溶け込ませ、それでいてヒトの生業に必要不可欠な要素であるという価値観。それを生々しくポップに伝える絶妙な表現だ。バンド結成から15年。メンバーも30代半ばを過ぎたLEGO BIG MORLが、今だからこそ歌える、生活に深く根づいたラヴ・ソングであり、人生讃歌だと思う。前作アルバム『気配』に続き辻村有記(ex-HaKU/Vo/Gt)をアレンジャーに迎え、サウンドはポップに仕上げつつ、随所に散らしたギミックにロック・バンドらしい気概も光る。c/wには、歌手のこゑだに提供した「ピーポーピーポー」のセルフ・カバーを、安原兵衛のアレンジで収録。こちらはレゴらしいのひと言。(秦 理絵)
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バンド結成15周年の記念日である3月28日にリリースされた配信シングル。"潔癖症"というどこかレゴらしからぬ意表を突くタイトルが表すとおり、失敗が許されず、清廉潔癖が求められる今の時代に対するアンチテーゼとも言える1曲、だが、時代を揶揄するだけでは終わらず、"汚れた手と手 でも握手しよう"と締めくくるところに、歪で汚れたものこそ愛おしいという人間愛を感じた。BPM210の高速ビートに乗せた'80sなトラックが、やがて念仏のように不気味に歌詞を唱える、ドープなヒップホップ・ゾーンへと突入する予測不能の展開もユニーク。自分たちの固定概念を恐れずに壊す。それが今のLEGO BIG MORLのモードだ。アレンジは前アルバム『気配』にも参加した辻村有記(ex- HaKU/Vo/Gt)。(秦 理絵)
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3月に結成14周年を迎えたLEGO BIG MORLが、昨年のドラマー脱退後、3人体制で初めてリリースする7thアルバム。生ドラムを一切使わず、4人のアレンジャーのエッセンスをふんだんに注入し、エレクトロな要素を強めたサウンドには明らかな新しさを感じながらも、それは決して止むを得ず、あるいは突拍子もなく生じた変化ではない。クリエイティヴィティに溢れた豊潤な楽曲群の随所に、これまでのレゴの"気配"があり、14年という文脈があってこその"進化"であると感じられる。メンバーが"今が一番かっこいい"と胸を張るのも納得だ。未だかつてないほどヴォーカル表現を研究したというカナタタケヒロの剛にも柔にも変幻自在な歌声や、アルバム・タイトルから着想を得たこだわりのアートワークにも注目。(岡部 瑞希)
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タナカヒロキ(Gt)の怪我と療養・リハビリにより2013年はひたすら制作に打ち込んだLEGO BIG MORL。そして2014年1月に自主企画にて復活、また移籍を経ての第1弾シングル「RAINBOW」を発表と、前アルバムからの3年は激動の年だった。思う活動ができない辛苦をエネルギーに変えて、よりクリエイティヴにオルタナィヴに、恐いもの知らずな大胆さで新境地へと踏み込んだ。"ザ・ギター・ロック"なスタイルから、アレンジをきかせて、インディー・ロック的なマニアックな音楽志向も開陳し、好きなことやりたいことを禁じ手なしで曲にした。さなぎのように閉じこもった暗黒のときがあったからこそ、ドラスティックに変化できたのだろう。これは進化というより、変化、変革に近い。このロック・バンドとしての心意気は大歓迎だ。(吉羽 さおり)
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冒頭曲「素晴らしき世界」によって開かれた扉。そこから一斉に吹き込んでくる雄大な風は、いくつものドラマを巻き起こし、私たちの心を包み温めていく――。メロディによって風を呼び覚まし、風に乗って心ごとかっさらう求心力は、プロデューサーを務めた前田啓介(レミオロメン)の力によるところも大きいだろう。しかし、その後の展開、呼び込んだ風をさらに大きな力へと導いていくことが出来たのは、音楽で心を切り開こうとするバンドの真の強さあってこそである。誠実な言葉によって織りなされる普遍の愛によって、風力を身につけたlego big morl。作品が進むにつれその風速、風量は高まり、それは結果として言葉もメロディも豊かになり、やがては大輪の花を咲かせるように、聴く者の心に彩りを与える。"恵みの作"の完成だ。(島根 希実)
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自分の意志で未来を開拓することと、現在をありのまま受け止めることは同等に困難だ。どちらも形は違えど痛みを伴い、それは決して軽いものではない。lego big morlは、公式サイトから無料ダウンロード・リリースされる4thシングル『Flower』でそのふたつの痛みと対峙し、新しい顔を生みだした。おそらく、その痛みは相当なものだったはずだ。常に自分の意志で時を刻んできた彼らは、"花"という強烈なまでに純粋な時間を刻む存在に、時間の重みを重ね合わせている。ひんやりと透明なヴォーカル、切々と降りそそぐ雨を思わせるギターのフレーズ、美しい螺旋を描くサウンドは、より実際的な歌詞と重なり、結びつく先が明確になっている。そして刹那的な世界に沈み込み、やがてまだ見ぬ明日へと踏み出すところで物語を閉じた。その物語は、刹那的でありつつも耽美に陥ることなく、現実的な情景の中へ力強い確固たる足取りで踏み出す。(山田 美央)
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大阪の高校で同級生だった3人と熊本出身のドラムのアサカワが2006年に結成した4ピース・ロックバンド。大阪から全国へ活動の幅を広げ、昨年のドラマ「赤い糸」では挿入歌に大抜擢。その後の1stアルバムの全国ツアーでは軒並みソールドアウト。ここ1年で一気にスターダムを駆け上がる。今回の2ndシングル「溢れる」は爽快感あふれるストレートなロック・ナンバー。カップリングの「隣の少女と僕と始まり」は彼らの真骨頂でもある繊細なメロディーが胸を打つミディアム・バラード。彼らの魅力が凝縮された渾身のシングル。(遠藤 孝行)
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