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INTERVIEW

Japanese

LEGO BIG MORL

LEGO BIG MORL

メンバー:カナタタケヒロ(Vo/Gt) タナカヒロキ(Gt) ヤマモトシンタロウ(Ba)

インタビュアー:岡部 瑞希

LEGO BIG MORLが、昨年のドラマー脱退後、3人体制での初作品となる7thアルバム『気配』をリリースする。結成14周年を迎え、初めて経験したメンバーの脱退は、あまりにも大きな出来事だったが、昨今の情勢のなかで彼らは彼ら自身に向き合い、奇しくも3人のLEGO BIG MORLを再構築するための材料や時間を掴んだようだ。4人のアレンジャーを迎え、生ドラムを一切入れないという振り切り方をしたことで、もちろんアルバム全体を通して"新しい音"という第一印象はある。ただ、随所に見え隠れする"らしさ"、ブレることのないスタンスもはっきりとそこにある。14年分の養分を蓄えた土壌にしっかりと根を張った新しい芽吹き、それが今作『気配』なのだ。

-Skream!には久しぶりの登場となるLEGO BIG MORLですが、昨年は結成から13年をともにしたアサカワヒロ(Dr)さんが脱退という、バンドとしてとても大きな出来事がありました。長年、結成時からのオリジナル・メンバーで続けてきて、このタイミングでの体制の変化ということをどう受け止めたのかまずお聞きしたくて。

ヒロキ:メンバーが抜けてからリリースも取材も初めてなんですよ。こうやって改まって、大ちゃん(アサカワ)の脱退の話を聞かれて答えたことなくて......今、言葉をめちゃめちゃ選んでます。

-なるほど。カナタさんとシンタロウさんは?

カナタ:まぁ、自然な流れなのかなとは思いますけどね。脱退って形も、あいつなりに選んだ道で、長年やってきたからこそ俺たちも受け止められたというか。もちろん驚きはありましたけど、驚きを踏まえたうえで、これだけずっとやってきたからこそっていうところに至ったかなと思いますね。

-バンドとして10周年という節目も経て、ある意味ひとつやり遂げたという感覚が、脱退を受け止めるひとつの受け皿になったのかもしれないですね。

ヒロキ:たしかに。もしデビューして数年でそういう話になってたら中途半端でしたけど、10周年を経たり、ベスト(2016年リリースの『Lovers, Birthday, Music』)を出したりして、4人のレゴ(LEGO BIG MORL)はちゃんとやり切っているとは思います。不完全燃焼とかはまったくないです。

シンタロウ:僕はメンバーの中で、"4人でやる"ってことにすごくこだわっていた側だと思うので、ショックというか、"今まで続けてきてものが、崩れちゃう。どうしよう"って気持ちのほうが大きかったですね。すぐに"そうやなー!"って背中を押すとかはやっぱできなくて......。脱退の当初は、恐れのほうが強かったですね。

-当然、そうですよね。そこから今作の制作へは、どういう流れで向かっていったんでしょう?

ヒロキ:作り出したときは必死でしたね。十何年やってるなかでも、メンバーが脱退するってことが初めてなので、僕らも結構面食らってる部分はあって。例えば「ⅩⅩⅩ(turkey)」は大ちゃんがいたときから作っていて、"大ちゃんにどんなん叩いてもらおう"って話もしてたんですけど......。そういうところをどう切り替えるかって感じでしたね。

-少しずつ、現状を受け止めながら、取り組みだしたという感じですか?

ヒロキ:3人バラバラなんちゃう? さっきの話じゃないですけど、シンタロウはたぶん一番腰が重くなってる状態だっただろうし、僕は一番腰が軽いっていうか、切り替えてたと思う。それぞれあると思うんですけど。

シンタロウ:僕は曲を作るうえでまず、大ちゃんの穴埋めみたいなことはしたくないと思ってました。今まではどうしてもメンバーが叩いたり弾いたりすることをイメージして作ってたんですけど、"あいつがおったらこうやんねんけどな"っていうすがりつき方をしている自分が嫌で......ほんまに自分の中で1回"4人のレゴはもう死んだ"ってことにしないとって。極端ですけど、補う感じで曲を作るのは嫌だなって思ってましたね。

-今回のアルバムを作るにあたっては、乗り越えていかなければいけない大きなものがあり、且つコロナという調子を狂わされる出来事もあって......。それを超えて、ようやく完成に辿り着いたという感じがありますね。

シンタロウ:そうですね。ただ、時間はたくさんあって、何かに追われることはなくやらせてもらいました。

ヒロキ:ほんまはもっと前にリリースして、今頃ツアー回ってる予定やったんですけど、そしたら音源は絶対ツアーに間に合わせなきゃダメじゃないですか。でもツアーがやれないってなったときに、"追われている感"はなくなりましたね。まぁ、いいのか悪いのかですけど。

-"追われていない"というモードの制作は、実際どうでした?

ヒロキ:大ちゃんのことがありながらも曲や歌詞を作らないとって思っているところに、コロナとか、それでライヴができないとか、いろんなことが要素として加わって、時間はある。っていうのは、作詞するうえで困ることはなかったです。条件は揃っていたというか。もともとは、大ちゃんのことしか頭になかったんですけど、"大ちゃんがいたほうが良かった"とか、大ちゃんの脱退に引っ張られすぎる歌詞にはならないよう注意してて、そうしたらもっと世界規模の問題が起きてきたことで言葉も変わって。こう言っていいのかわからないですけど、僕はやりやすかったです。

カナタ:いろいろなものが延期になったけど、俺らはアルバムという目標を失わずに、そこに向かって走れてましたね。ライヴができないからこそ、俺は新しく生まれてくる曲たちにすごく向き合ったし、すごく歌い込んだ。"もっと何かないかな、何かないかな"って考えられる時間もあったから、深く潜れた時間でしたね。3人でのコミュニケーションもたくさんたくさんとって、話して。3人がそれぞれの思いを持って、一点に向かえる時間だったと思っていて、それはやっぱり楽しかったですね。

-状況が状況なので、手放しで"良かった!"とは言いにくいかもしれないですけど、バンドを再構築しなければいけないタイミングでそういう時間が持てたことで、間違いなくいい効果はありましたね。

ヒロキ:ライヴができないってことを除けば、いいことのほうが多かったです。気軽にZoomでミーティングもするようになって、会えていないのに、逆にコミュニケーションはとれてます。

カナタ:頻繁にZoom会議やりましたね!

ヒロキ:前は2週間に1回とかのペースでどこかのカフェに集まっていたのが、Zoomならタイミングさえ合えばいつでもいい。メンバーとの電話も増えましたね。

-オンラインでのミーティングがすっかりポピュラーになりましたもんね。

ヒロキ:そうですね。大ちゃんがいなくなって各自のやるべきこともはっきりして、僕は学ぶことも多かったし、実になった時間でしたね。

-ところで、前作『KEITH』(2019年の6thフル・アルバム)は配信のみでのリリースでしたが、今回は事前予約限定とはいえTシャツ付きの特別限定盤CDも制作されました。

ヒロキ:配信やサブスクっていうこれからもっと(普及の)スピードが上がっていくであろうところに、ちゃんとレゴのお客さんを連れて行きたいんですよ。だから『KEITH』は、 "レゴのお客さんはちゃんとこっち来てね"って意味で強行的に配信限定にするっていう、僕ら的にも実験だったんですけど、そこでちゃんと良かったことと悪かったことを汲み取れて。今回もちゃんとそこ(配信に重きを置くこと)を基礎としつつ、コロナで会えないぶん、ライヴで会えないぶん、オンラインだけじゃなく形が欲しいなと思って。

-特別限定盤のTシャツ含めたパッケージのトータル・デザインにもこだわりを感じますし、"気配"というアルバムのテーマをもってフォトグラファーのオノツトムさんが撮影されたアートワークも素敵です。シルエットが浮かび上がる幻想的な写真ですが、なんと被写体は裸のカナタさんなんですよね。

ヒロキ:ツトムとはキンタ(カナタ)が一番仲いいんですけど、全員同い年で知り合いやから、ざっくばらんにそれこそZoom会議でいろいろ決めたよね。

シンタロウ:そうね。気配で連想されるアートワークって、ふわっとしがちだと思うんです。でも、あまりにも抽象的なものや、ゴースト的なものは今収録しようとしている曲たちとバランスも悪いし、かと言って具体的に"花です"とか、"りんごです"って提示するのも違うと思ってたときに、ツトムの撮ってた写真の中にそういう描写のものがあって。

カナタ:そう。それで、"これいいわ!"って。

-実は"LEGO TV(オフィシャル・サイトで公開されている動画コンテンツ)"でしっかり撮影の裏話を聞きました。特別な機材を使ったり、ライティングはせず、屋外で撮影されたんですよね!

カナタ:彼はこう、ぱしゃっと撮っただけで何も加工してないですね。

ヒロキ:ツトムがそういうフォトグラファーなので、そこをちゃんと信頼して。

-そういうみなさん自身が信頼している方に携わってもらうというフットワークの軽さも、個人レーベルに移った今だからこそできることだったり?

ヒロキ:今だからできるし、逆に言うとそれしかできないんですけどね。10年以上やってるからレゴを愛してくれる人がどこにおるかはわかってる。その人たちになら僕らもリスペクトを持って仕事をお願いできるから、この新体制のときにちゃんとレゴを愛してくれるスタッフと一緒にやりたいと思ってました。

-すでに何度も登場している"気配"というアルバム・タイトルにもなったテーマは、どんな段階で生まれたんですか?

ヒロキ:決めてた曲数の7割くらいが揃ってきたときですね。僕が候補を5個くらいみんなに送って、その中で"気配"ってなんかいいねってなって。まだ、みんなコロナのことを舐めてた頃なんですけど。

カナタ:"秋くらいにはライヴできるっしょ!"って。

ヒロキ:そうそう。ここまでお客さんの気配を感じられない1年になると思わなかったですけど、何個か候補があった中で"気配"にして良かったと思ってますね。今の情勢や、3人のレゴの状態を考えると、もうこれしかないと思います。

-今の情勢や、3人のレゴの状態ですか。表題曲「気配」は、すごく別れを連想させられて、"3人のレゴ≒アサカワさんの脱退"と重ねて聴いてしまいました。ヒロキさんは、そういう要素を出しすぎないようにしたっておっしゃっていましたけど。

ヒロキ:メンバー脱退もそうやし、男女の別れとか、死別とか、タイムリーな人生経験の中での別れに照らし合せてもらったらいいんですけど、僕は当初この曲を作るときは、コロナは関係なく、"3人のほうがかっこいいやんって絶対言わす"ってだけ思って書いてたんですよ。そう思ってる時点ですでに大ちゃんの気配を感じてるんですけど(苦笑)、そういうとこが出てるのかな。

-「火のない所の煙が僕さ」は先行配信がスタートしていてアルバムの顔になる曲ですが、合言葉のように掲げてきた"半径〇m"というワードを組み込んで、バンドのスタンスを表明するような語意の強い歌詞と、そこに呼応する曲調が印象的でした。

ヒロキ:"半径5m(の人に届ける)"は、『心臓の居場所』(2017年リリースの5thアルバム)からレゴ自体のテーマだって言い続けてきたんですけど、それすらも"うるせぇ! どうでもええわ!"っていう自分勝手な曲にしたかったんです。

シンタロウ:この曲は収録曲の中でも最後に作ったんですけど、アルバムの曲が出揃ってきたときに、ヒロキと"エッジーな曲が欲しいね"って話になったんですよね。コロナでみんなすごくストレスあるじゃないですか。僕らはライヴができないとか。だからこういうエッジーで、エネルギッシュな曲があるのもいいですよね。

カナタ:一番閃いた曲かな、この曲は。

-閃いた?

カナタ:(歌い出しの)ダッダッダってリズムが閃いたときに"この曲はできたな"と思いました。歌詞もハマるし、そのリズムと連呼がこの曲の一番の印象的なところですね。あと、この曲は辻村有記(ex-Haku)がアレンジとディレクションをしてくれたんですけど、あいつ自身もすごいヴォーカリストなので、彼のイメージや思いついたことをいろいろレクチャーしてもらって、それが俺のフィルターを通して表現できたなと。