Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

The Floor

2016年12月号掲載

The Floor

Member:ササキハヤト(Vo/Gt) ナガタリョウジ(Gt/Cho) ミヤシタヨウジ(Ba/Cho) コウタロウ(Dr/Cho)

Interviewer:沖 さやこ

-"春"というワードも出てきますものね。北海道のアーティストさんが作る冬の曲は、高確率で春が出てくるなと思うのですが。

ミヤシタ:北海道は冬が長いから、春が待ち遠しいんですよ(笑)。でもそのくせ春が短くて。だから春に対する憧れもあるんだと思います。

ササキ:別れた女の存在も雪と一緒に溶かして、春が来ればいいのにな~っていう気持ちもあるし(笑)、忘れないでずっと胸にしまっていて、1年1年春を迎えて生きていこうという気持ちもあるし。でもやっぱり俺は、人を忘れるべきじゃないという考えが根底にあるから"別れた女のことは知らない"というのはあんまり好きじゃない。未練があるわけじゃないけど、あの人がいたから今の俺がいるということを書きたかったんですよね。

-"君と歩いて行くよ"という言葉で締められているのも、そういう理由ですね。Track.4「内緒話」はエモのテイストが強く出ていて、間奏にはグランジのテイストも。

ナガタ:この曲に関しては音の太いレスポールを使って、とにかく音の壁を作って、ちょっとノイジーになるくらいやってやろう! と思って。一番古い曲ですね。3年くらい前に原形を作って、それからずーっとDropboxに残ったままだったんです。リズムは今までThe Floorとしてやってこなかった感じだし、メロディがエモ寄りだったので、このタイミングで入れられたら面白いんじゃないかなということで引っ張り出してきました。今聴いてもいい曲だなと思いますね。

ササキ:歌詞を書くタイミングでしばらく会えなくなる友達がいたので、じゃあ"また会おうぜ"という内容を書こうかなと思って。そしたらコウちゃんに"女の子のことを歌っているのかと思った"と言われて、大切な人のことを歌ったものになったんだなと思いましたね。最近は楽曲のイメージとそのときそのときに思ったことを混ぜ合わせてスルッと歌詞にできて、そのあとも特に訂正が必要なこともなくて。そこはバンドとしても良くなってきたところなんじゃないかなと思います。

-では人に宛てて書いた歌詞になったのも、無意識だったんですか。

ササキ:そうですね。そのとき何が言いたいのか、何を思っていたのか――そう考えたときに出てきたのが人だった。......人間力が上がったんですかね(笑)。

-ははは。3年越しに、今のThe Floorのモードともがっちり合って、ラストを飾るに相応しい曲でした。

コウタロウ:俺はこの4曲の中で「内緒話」が一番好きなんですよ。歌詞もすごく好き。

ササキ:そうそう。誰も"この4曲でどれが好き?"なんて話してないのに、コウちゃんだけひとりで"俺は「内緒話」が一番好き"って主張してきた(笑)。

ミヤシタ:この4曲は甲乙つけがたい(笑)。"どの曲がいい"という感じじゃないというか......4曲それぞれの役割がはっきりしたなと思います。「内緒話」はスケール感を見せられたから、次に繋がる感じの曲を最後に持ってこれたのはすごく大きいし。「Wannabe」と「パノラマ」はライヴでみんなと一緒に楽しめるという大事な役割があるし、「君とマフラー」が入ることでアクセントになっているし、季節の曲を作るという初めてのこともできたし。1番打者で1塁、2番打者で1塁2塁、3番打者で満塁、4番打者で満塁ホームラン――みたいなEPになったんじゃないかな。俺は2番バッター「パノラマ」のなんでもできちゃう感じがいいな~と思いますね(笑)。

ナガタ:それすごくいい喩えだね(笑)。どの曲もシングルで切れる曲になったと思います。

-そうですね。1年で3作品をリリースして、バンドとしても濃厚な1年になったでしょうし。

ミヤシタ:激動の1年でした。"RISING SUN ROCK FESTIVAL"に出演したり、ツアーをいっぱい回ったりと、去年は考えられなかったことがバンバンバンと目に見える形でできるようになって、家族の当たりも柔らかくなりました(笑)。みんなでツアーを回るとメンバーの仲が悪くなる可能性もある、みたいに言われてたんですけど、俺らはそんなこともなく。去年よりも楽しく音楽をやれてる。音楽をやるうえで移動とかつらいことはたくさんあるけど、音楽そのものでつらくなったことはないから。この先も変わらず楽しくやっていけそうな気がしてます。

ナガタ:そうだね。バンドと音楽がより好きになりました。たくさんライヴもして、制作もして、みんなで話し合って――バンドと音楽で楽しいことが増えました。

ササキ:お客さんの顔が変わっていったのが一番印象的でした。最初はライヴハウスで俺らをたまたま知ってくれた人がまたライヴハウスに来てくれていただけだったのが、CDをきっかけにライヴハウスに来てくれる人がいて、俺らの名前を知ってくれた人がライヴハウスに来てくれるようになったりして。活動をしていくごとにどんどんお客さんの表情が柔らかくなったし、ライヴ中に盛り上がってくれるし、笑顔で話し掛けてくれるし、楽しかったと言ってくれる人もたくさんいる。......俺、優しくなったのかもしれないですね(笑)。

-人の優しさに触れたことで人間力がアップしたのかも(笑)。

ササキ:優しさを手に入れた1年でした。お客さんが僕の心をほぐしてくれて......って言っても俺、もともとそんなにやべぇ奴じゃないですよ(笑)。でも、なんとなく人となりが変わったと思います。

コウタロウ:今年は2月、5月、12月にCDのリリースがあったんですけど、今年はいろんなことがありすぎて、最初に出したCDは今年だとは思えないくらい。楽しいことが増えたぶん、俺は"もっと気を引き締めていかないとな"と自分に課すこともあって。もちろん楽しいことは大前提なんですけど、気を引き締めたらもっと違う楽しいことが増えるというのがわかったので。来年はさらにスピードをつけてステップアップしていきたいです。

ナガタ:うん。自分たちが聴きたいものを作っていきたいよね。

ミヤシタ:そうだね。お客さんの期待度も、毎度更新していきたい。

ササキ:激動の2016年から、飛躍の2017年になればいいなと思います。