Japanese
Hakubi
Skream! マガジン 2026年01月号掲載
2025.12.04 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer : フジジュン Photographer:toya
新旧織り交ぜた楽曲でバンドの歴史を振り返って、現在、そして未来を描く内容となった、[Hakubi live tour "2017-2025 NOISE FROM HERE"]最終日。青白く照らされたステージに、SEと拍手に迎えられ登場した、サポート・メンバーを含む4人。ステージ上で円陣を組んで、今年リリースの最新EP『27』収録の「しあわせ」で、Hakubiの歴史を紡ぐ物語が幕を開ける。
薄暗いままの照明にバックライトが光り、シルエットだけが映るなか、一音一音を丁寧に鳴らす楽器隊の演奏に、切なく切実に響く片桐(Vo/Gt)のハイトーン・ヴォイス。後半の激しい展開が観客の心を揺さぶると、"最高の1日、ツアー・ファイナルの始まり!"と「ハジマリ」でライヴが本格スタート。手拍子を合わせる観客に、"いろいろあるけど、その中でこの一日を選んでくれてありがとう! 最高の一日にします"と宣言する片桐の言葉が頼もしい。
「Dark.」、「サイレンと東京」と続き、ド頭からHakubiの世界の深層へと誘うワンマンならではの構成で魅せた序盤戦。片桐の描く心象風景や感情の起伏を的確なプレイで共に表現するヤスカワアル(Ba)の存在も印象的だった「Soumatou」へと続くと、憧れていたバンドが活動休止するという話題から、"そのバンドと対バンして認められたとしても自分は満足できずにいたんだろう、それっていいことだなと思って"と満たされることのない自身の気持ちについて話した片桐。"この曲がまだ響いてくれる自分でいます"と告げ、始まった曲は「午前4時、SNS」。
答えの出ない自問自答を繰り返し、やり場のない感情をぶつける歌と演奏に、彼女の人として、表現者として、そしてミュージシャンとしての魅力が凝縮していた「午前4時、SNS」。「Twilight」、「道化師にはなれない」と続き、自分自身に対して素直で正直であるがゆえに生きづらさを感じる彼女の真正直な歌や言葉が、同じ気持ちを抱えたリスナーに強く響く理由が改めて分かった気がした。
ツアーの振り返りで始まったMCでは、結成から今までの自分たちを振り返りながらセットリストを作ったことを改めて語り、"昔の曲をやったりしたら、「こんなこと思ってたんや」とか、「いいこと言ってるやん」とか、自分を肯定できるきっかけにもなりました"と話した片桐。結成初期の楽曲である「intro」~「夢の続き」で、ライヴは後半戦へ。「どこにも行けない僕たちは」、「辿る」と、インディーズ時代のアップテンポな楽曲が続くと、観客の拳と歌声が上がってフロアの熱気が急上昇する。
続いて、「ワンルーム」、「栞」をしっとり歌い上げると、すぅっと息を吸い、たっぷり気持ちを込めて歌い始めた「光芒」に楽器隊も熱を帯び、眩い光を放つ。むき出しの感情とヤスカワのアグレッシヴで野太いベースが気持ちを高ぶらせた「Heart Beat」から、「mirror」、「Eye」と畳み掛け、フロアの盛り上がりは最高潮。片桐がギターをかき鳴らして始まった「クロール」に、たくましさや勇ましさといったこれまでと異なる印象を受け、"Hakubi、強くなったな"と思わされたのだが、さらなる強さを知るのはその後だった。
MCで、"昔は自分のための曲しか書けなかった。でも(あなたのために)書けるようになって、それが怖かったりして"と自身の変化を語った片桐。"ライヴをしたら救われたり、幸せを感じたりするけれど。「じゃあ、次にやってくる暗闇がもっともっと深いんじゃないか?」と苛まれてしまう"と怖さを感じる理由を話すと、"でも、大切な人には幸せになってほしいと思うんです。私たちは本気であなたに幸せでいてほしいと思ってます"と真正直な言葉を告げて。"あなたがどこにいても守れるように"と始まった曲は、最新曲「何者」。
幸せは怖い、でもあなたには幸せでいてほしい。自己矛盾を抱えながらも願うように歌う「何者」に感じた強さと覚悟。この曲に込めた想いが、Hakubiをさらに強くしてくれるのだろうと確信した。強い想いを受け取った観客が手を振り歌声を重ねた「悲しいほどに毎日は」、そして、"私たちとあなたなら大丈夫、大丈夫"と告げて始まった「もう一つの世界(Alt ver.)」で会場中の心が1つになってライヴは終演。これからのHakubiには、その先にある暗闇をも恐れぬ大きな幸せがきっと待っているはず。終演後、無責任ながらそんなことを思った。
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