Japanese
PEDRO
Skream! マガジン 2025年11月号掲載
2025.08.11 @日比谷公園大音楽堂
Writer : 宮﨑 大樹 Photographer:Sotobayashi Kenta
日比谷野音(日比谷公園大音楽堂)という環境がそうさせたのか、アユニ・Dの中に溜め込まれた喜怒哀楽が放出された夜だった。彼女にとってこの場所は、BiSH新メンバーとして初めて回ったツアーのファイナルで立った地であり、敬愛する田渕ひさ子(Gt)が属するNUMBER GIRLの復活ライヴを目撃した地でもある。いつかPEDROでも立ちたいと願っていたであろう日比谷野音は、老朽化のため再整備を予定されているが、このたび滑り込む形で実現された。公演の名は"ちっぽけな夜明け"。後に告知、および披露されるアルバムのタイトルを冠しているわけだが、この作品については、プロジェクト始動時のアーティスト写真をセルフオマージュした、本公演のメイン・ヴィジュアルが伏線になっていた。
「NIGHT NIGHT」でスタートダッシュを始めたバンドは、疾走感のある楽曲を中心に前半パートを駆け抜けていく。断続的に雨が降るじめっとした夏の夕暮れ、360°から聞こえてくる蝉時雨。野音を取り巻く"日本の夏"とでも言うべき環境の全てが、今日のライヴ演出の一部であるかのように、生活の一瞬のきらめきを切り取るPEDROの世界観を増幅させる。そんななか、フロントマンのアユニはずっと笑顔だ。日比谷野音に立てている事実がアユニの喜びを爆発させている。開幕から「生活革命」まで6曲連続披露を終え、アユニは"ずっと立ちたかった舞台なので、今日はすごく楽しみにしていました。今日、来て良かったなって思ってもらえるように、幼稚な言葉で申し訳ないんですけど、一生懸命頑張ります"と語った。そんな飾り気のないMCだからこそ、偽りのない気持ちが素直に伝わってくる。ここから「ラブリーベイビー」でパフォーマンスを再開し、「音楽」、「祝祭」と続けてから(この時点での)最新曲「愛愛愛愛愛」へ。ゆーまお(ヒトリエ)のドラム・ソロへ田渕ひさ子の鋭角ギターが合流し、さらにアユニのベースが交じり合い、環境と融合することで1つの音楽に昇華されていく。そうして生まれたグルーヴィでアッパー、PEDROの新機軸を感じさせる楽曲がオーディエンスを魅了した。
ここまではハッピーなムードで進んでいたライヴだったが、日が沈み、夏の夜へと移り変わった頃に披露した「EDGE OF NINETEEN」あたりから、その雲行きは変わっていった。アユニの内から出てくる感情はトゲトゲと、ドロドロとしたものに変化し「吸って、吐いて」の冒頭では、"自分のことなんかいくつになっても好きになれなくて、いつも人の真似事ばかりして、外ではいい顔して。本当の気持ちなんか伝えるのが怖くて。憧れから始めたことは、今は意地とか殺意でやっているし。でも情熱が嘘だったことなんて一度もなくて。だから私はもっとここでできんだろって! もっとここで歌えんだろ!"と、彼女自身の恐れや苛立ちが混沌とした言葉のまま吐露される。さらに「グリーンハイツ」の2Aでは"本気出すのは今しかないか/本気出すのは今しかないよ/みんなが僕をバカにするんだ/昔のほうが良かったですか? ナメんじゃねぇ!"と激情を飛ばした。ライヴ前半の笑顔の裏に、この人はこんな感情を忍ばせていたのか。アユニはもがいている。抗っている。そんな彼女の姿を観ていて、胸ぐらを掴まれたような、鈍器で殴られたような気持ちになった。と同時に、何かが共鳴するような感覚もある。この感じは、数十年前のロック・シーンで輝きを放っていた、憧れのヒーローたちから貰ったロックの原体験に近かった。まさかこの歳になって、しかもデビュー以来ずっと追ってきたPEDROのライヴで、こんな経験をするとは夢にも思わなかった。生き様を曝け出すかのようなこの日のアユニのパフォーマンスには、それくらいの凄みがあったのだ。
さらにラストスパートが圧巻だった。アカペラで歌い始めた「春夏秋冬」では、静まり返った日比谷野音にアユニと夏の虫の歌声だけが響き、美しい音世界を生んだかと思えば、静寂を田渕のギターがザクっと切り裂く。そして「雪の街」で慟哭のような轟音を鳴らし、最後は「アンチ生活」で締めくくった。気付けばあたりはすっかり真っ暗。そんななか、アンコールを求める声に応じてメンバーが再び姿を現すと、突如バックドロップが差し替えられた。新たなバックドロップには、アユニの背中に天使のような白い羽が生え、さらに"再生"を象徴する鹿の角や蛇のイラストが描かれている。このイラストは、この日サプライズで全曲披露された、未発表のアルバム『ちっぽけな夜明け』のジャケット写真だった。本作には一度死んで生まれ変わった、再生した、転じて原点回帰したアユニの生き様が収められているということだろう。音楽的にはむしろ新しさ、新鮮さを感じるこのアルバムにおける原点回帰とは何か? 約7年前、アユニはPEDROの処女作『zoozoosea』について"自分の世界観を曝け出してしまったもの"と表現していた(※2018年10月号掲載)。PEDRO始動からBiSH の解散、そして現在に至るまで、ずっと手探りで先の見えない道を歩き続けてきた彼女が、やっと見ることができた、彼女にとっての"ちっぽけな夜明け"。それは、今だから出せる最新の"自分の世界観を曝け出してしまったもの"なのかもしれない。
そんなアンコールの締めくくりに新作の表題曲「ちっぽけな夜明け」をパフォーマンスし、PEDRO初の日比谷野音は大団円を迎えた――かと思われたのだが、ここでファンからのダブルアンコールが発生。PEDRO、日比谷野音、夏、そしてダブルアンコール――全ての点と点が結び付いた先の終着点となるとやはり「透明少女」(NUMBER GIRL)、この曲しかない。2025年の夏、日比谷野音で生まれたこの風景は観た者の瞳に、心に、しっかりと焼き付いたはずだ。
[Setlist]
1. NIGHT NIGHT
2. GALILEO
3. 夏
4. 東京
5. 感傷謳歌
6. 生活革命
7. ラブリーベイビー
8. 音楽
9. 祝祭
10. 愛愛愛愛愛
11. EDGE OF NINETEEN
12. 万々歳
13. 吸って、吐いて
14. グリーンハイツ
15. hope
16. 春夏秋冬
17. 雪の街
18. アンチ生活
En1. 1999
En2. いたいのとんでけ
En3. ZAWAMEKI IN MY HEART
En4. 拝啓、僕へ
En5. 朝4時の革命
En6. ちっぽけな夜明け
W En. 透明少女(NUMBER GIRLカバー)
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