Japanese
the paddles
2025年12月号掲載
Member:柄須賀 皇司(Vo/Gt) 松嶋 航大(Ba) 渡邊 剣人(Dr)
Interviewer:山口 哲生
the paddlesが、3rd EP『結婚とかできないなら』を完成させた。今年2月にサポート・ドラムを務めていた渡邊剣人が正式加入、発表翌日には「25歳」を配信リリースし、新たなスタートを切った彼等。バンド初のワンマン・ツアー"余白を埋める ONEMAN LIVE TOUR-5大都市編-"も全公演チケット完売と好況のなかでリリースされる本作は、大充実の2025年と現体制の勢いを物語るようにいきいきとしていて、2026年のさらなる飛躍を激しく予感させる一枚に仕上がっている。3人にじっくりと話を訊いた。
-Skream!で連載されている皇司さんのコラム([the paddles 柄須賀皇司の"おかんの口から生まれました"])、面白いですね。
柄須賀:ありがとうございます! めっちゃ嬉しい(笑)。僕、ものを書くのが結構好きで。Filmarksとか、ああいうレビューもがっつり書くタイプやし、もともと銀行に勤めてたんですけど、広報課で取引先に配る広報誌みたいなのを作っていたんですよ。ボイスレコーダー持って、"よろしくお願いします"って、いろんな取引先の企業さんを取材して記事を書くっていうのをずっとやっていて、それが活きてます(笑)。
-かなりがっつりやられてたんですね。noteに剣人さんが加入されるまでの経緯について書かれていましたが("剣人 加入によせて")、それも面白くて。"な! 航大!"のくだりが好きでした。
一同:ははははは(笑)。
柄須賀:あれはもう脚色なしですね。
渡邊:もうそのまんまです。言葉も一緒でした。
-そうなんですね(笑)。noteによると、皇司さんと航大さんは、剣人さんにバンドに入ってもらいたいと思っていたし、剣人さんもサポートをしていくなかで入りたいと思っていたと。加入の話を切り出したのは剣人さんだったそうですが、the paddlesのどんなところに惹かれて入りたいと思ったんですか?
渡邊:曲はもちろん良かったんですけど、いろんなバンドをサポートしてるなかで、the paddlesが一番自分の肌感に合うというか。純粋に楽しいなって思えるライヴを一番できるのがthe paddlesだったんで、そのことをお母さんに話したんです。普段からお母さんになんでも喋るんで。そしたら"めっちゃいいじゃん! 入っちゃいなよ!"って言われて。その言葉にハッとして、加入したいなと思って2人に言いました。
-航大さんは、剣人さんに対してどういう印象を持たれていたんですか?
松嶋:初めてライヴを観たときから、いいドラムを叩くなぁって思いましたね。そのときは剣人と直接喋ったわけではなかったんですけど、その印象がまずあって。そこからサポートしてもらうまでに1年弱ぐらい空いたんですけど、初めて一緒にスタジオに入って演奏したときから、すごく馴染みのいい感触が自分的にもあって。入りたいっていう話が出たのも結構早かったんですよ。
柄須賀:2回目のスタジオのときでしたね。
松嶋:そこから加入を発表するまでに10ヶ月ぐらいあったんですけど、もう加入前提でずっとやってました。
-皇司さんはどんなところがいいなと思ったんです?
柄須賀:僕的にはnoteにも書いたんですけど、"パドルズ顔"やったんで。
-はははは(笑)。書かれてましたね。
柄須賀:あんなふうに書きましたけど、やっぱり3ピースってそれぞれのキャラクターが結構大事だなと思っていたので、僕的にはパッと見て個性がある人がよかったんです。で、ドラムも上手やし、これ以上の人に出会うことはないやろなって。よう言われるんですよ。"どうせまた皇司が強引に勧誘して入れたんやろ?"みたいな。"いや、ちゃうで?"とは言うてるんですけどね。
-ちなみに"パドルズ顔"というのは、一緒にいても違和感がない、みたいな?
柄須賀:そうですね。僕と航大は高校の同級生で、だいぶ長いこと一緒にやっていて。この2人の間に入れる人ってわりと数は多いと思うけど、例えばいろんな人を挟んでみたとして、終わった後に"なんかちょっと微妙やったな"とか"あいつ良かったな"っていう肌感が結構一緒やったりするんですよ。
松嶋:ああ。そうやな。たしかに。
柄須賀:それが完全に一致してたのが剣人やったんです。めっちゃ良かったよな! っていう。だから、結果的には直感で選んだのがベストやったみたいなところでしたね。
-その感覚は本当に大事ですよね。
柄須賀:やっぱりバンドってとにかく長くやるものなので、同じ車の中で長いこと一緒に過ごすってなったときに、前提としておもろいというか、一緒にいて居心地がいい人のほうがやっぱりいいなと思っていたところもあったので。そういう点でも良かったよね?
渡邊:うん。良かった。
-今年の2月25日に新代田 FEVERで開催されたライヴ("ふたり分の命がひとつになって生まれる愛の塊ツアー"ファイナル公演)で加入を発表されて、その翌日に「25歳」を配信リリースされましたが、この曲を作ろうとなったのはいつ頃だったんです?
柄須賀:去年の12月にレコーディングしたから、ちょうど1年前ぐらいですね。剣人が加入するタイミングで何か1曲出したいよねってなって。でも最初は、今回のEP(『結婚とかできないなら』)にも入っている「夏の幻」が先にできていたんですよ。それまでのリリースの流れでいったら、ここでバラード欲しいよなと思って書いた曲なんですけど、2月だから夏じゃないし(笑)、剣人って激しいドラムとかモダンなドラムを叩けるので、もっとハキハキしてる曲のほうがいいかなって途中で思い始めて。それで分かりやすく速い曲にしようと思って、「25歳」にシフトチェンジしました。
-季節的な問題と、プレイ・スタイルを加味した上で。
柄須賀:そうです。剣人っぽいドラムやなっていう曲にしたかったし、音源を聴いただけで"おお、the paddlesドラム変わったやん"ってちゃんと分かるような曲がいいなと思ってましたね。この曲ってデモ作ってたっけ?
渡邊:作ってた。
柄須賀:作ってたか。僕は基本的にデモをフル・コーラス作るんですけど、どうやって作ったんやったっけな......最初から最後まで一気に作って、サビメロって変わってないよな?
松嶋:変わってない。歌詞は変わったけど。
柄須賀:そうそう。それは覚えてんのよ。Bメロとサビはメロディに歌詞がもう付いてきてたんです。バンドのこととか、バンドの生活を歌にしたいなと思って。ライヴして、打ち上げやって、次の街に必死で行って......みたいな(笑)。そういう生活がこれから始まるっていう歌にしたかったんですけど、Aメロは最初全然違う歌詞が乗ってたんです。しかもたしかAメロから作り始めたんですよ、この曲って。
-今みたいにサビ始まりではなく。
柄須賀:そうなんです。それで、Aメロほんまにこれでいいんかなぁってなって。僕、普段は1人で飲まないんですけど、たまには飲んでみようと思って(笑)。ちょっとお酒を飲んでみてからAメロの歌詞とメロディをちょっと考え直そうと思って、一発目で今の歌詞が全部出たんです。"もう銀行は辞めた"とか。
-おお。なるほど。
柄須賀:あ、これってそういうことやんって。僕等の人生と剣人の人生が交わるタイミングでもあるし、ステージで"銀行辞めた"とかは言ってたんですけど、それを音楽にはしていなかったから、ある意味日記的な歌にしちゃえばいいかって。the paddlesのこれまでが前段としてAメロにあって、サビで一気にバンドに飛べるみたいな感じにして、いい曲になりましたね。そこはすごい冴えてたというか、結構いろんなギミックも入れたりしながらやれました。
松嶋:前の歌詞はそこまでディテールを詳しく書いている感じじゃなくて、もうちょっとまるっと象徴して言っているような歌詞で、それもいいなとは思ってたんですけど、歌詞が変わったことでめっちゃ見えたなと思って。聴いているお客さんとか、剣人がドラム叩いているところとか、ライヴの感じもすごく見えて、これやるのめっちゃ楽しみやなって思いましたね。
-演奏をしていて、気持ちがグっと入りそうな。
松嶋:そうですね。めっちゃ良くなりました。
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