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INTERVIEW

Japanese

the paddles

2025年12月号掲載

the paddles

Member:柄須賀 皇司(Vo/Gt) 松嶋 航大(Ba) 渡邊 剣人(Dr)

Interviewer:山口 哲生

-あと、どの曲もライヴで聴いたら楽しいというお話をさせていただきましたけど、「恋愛ヒステリック構文」はまさにといいますか。

柄須賀:なんか盛り上がりそうですよね。

-その感じがすごくあります。なんかもうさらっと聴いてくださいっていう曲もあれば、こういった全編キラー・フレーズみたいな曲があるのもおもしろいですね。

柄須賀:たしかに「結婚とかできないなら」の反対って感じはありますね。僕、結構得意というか好きなんですよ、こういう曲を作るのも。なんなんですかね、この曲(笑)。

-(笑)どんなところから作り始めたんですか?

柄須賀:僕、ラランドさんがめっちゃ好きなんですけど、YouTubeでサーヤさんが"お母さんヒス構文"っていうのをやっていらっしゃって。お母さんっていろいろ大変やから急に突飛もないことを言うよねっていう感じなんですけど、僕もそれをやりたいなと思って(笑)。それで恋愛に置き換えてほんまにふざけた歌詞を書いたんですけど、そういう意味では一番考えて作ったかもしれないです。パズルを作っていくような感じで、どんな面白いことを言えるかっていう。めちゃめちゃ楽しかったです。途中に改行なしで語りをぶわっと入れてるんですけど、あんなとこ別に読まなくていいですからね?

一同:ははははは(笑)。

-結構な行数あるけれども(笑)。

松嶋:音的にもだいぶ遠くにいるし。あれライヴでどうする?

柄須賀:やりたいよ。ライヴでもぶつぶつ言いたい。

-その日によって内容が違ってたら面白いですね。

柄須賀:あぁ! それいいですね。いろんなパターン考えてみよかな。

-"今日のぶつぶつ、なんかいつもと違かったな"とか。

柄須賀:"いつもよりヒステリックだったな"みたいな。なんか、意味が分からなくても楽しい曲って本当に素敵だなと思っていて。「結婚とかできないなら」とかは、落とし込めば落とし込む程ライヴ映えする曲だと思うんですけど、「恋愛ヒステリック構文」とかは、意味が分からなくても楽しめるというか、そもそも意味がないから楽しもうや! みたいな。そういう曲ですね。

-意味が分かる/分からない以前に、意味がない。

柄須賀:なんかもうみんな意味を求めすぎなんで。感動しようとしすぎやし、意味を分かろうとしすぎやし。意味がないっていうパターンあんねんで? っていうのをちょっと訴えていきたいですね。

松嶋:the paddlesのこういう曲の中でも、よりキャッチーなほうに振ったアレンジになったなと思って。たとえば頭とアウトロに全く一緒のものが入ってるんですけど。

柄須賀:バリダサいよな?

松嶋:そう。マジでバリダサいよな? って言いながら作ったんですけど、それぐらいのほうがキャッチーかなと思ったりとか、2サビに入るところもめっちゃダサいけど、これぐらいのほうがいいよなって。この曲はもう総じてそれというか。

柄須賀:やっぱダサいってめっちゃ大事やもんな? かわいさと繋がるし。

松嶋:そうやんな? そういう曲がめっちゃ好きで、学生時代に実際聴いてたし。それもダサいなって言いながら聴いてたんですけど(笑)。

柄須賀:このダサいアレンジが一番いいよな! みたいな。

-いざやるとなると気持ち良さもあるでしょうし。

柄須賀:分かりやすいしね。

松嶋:うん。リズム的な気持ち良さもあるし。楽しみですね、ライヴでやるのが。

渡邊:僕はこの曲は結構考えましたね。2人が言う"なるべくダサくして"の意味を(笑)。

柄須賀:謎のオーダー(笑)。

渡邊:僕はそうやって考えたことがなかったんですよ。スタジオで"ここってどうやったらもうちょっとダサくできる?"って話しているのを、どういうこと......? って考えていたら、2人がこうじゃない? ってやったときに、なるほど、これがダサいか! って(笑)、ちょっとずつ理解していきながらやっていきました。あと、1曲通してベースは崩さずにっていう2人が大事にしているものもこの曲を通して分かったので、僕も勉強になりましたね。

-the paddlesの共通言語を理解していくというか。

渡邊:そうですね。

柄須賀:なんか、演歌みたいな感じだと思うんですよ。ダッダダッ! とか。

松嶋:大きい感じがね。

渡邊:そうですね。

柄須賀:そういうのほんまにめっちゃ大好きなんです。演歌から脈々と来ている、日本でしか育まれなかった、表拍が強すぎて成立するアレンジみたいなものってすごく大好きなんで。本当に演歌をやられている方々に大変失礼なんですが(苦笑)、でもそういった"日本人だから分かるよね?"っていう。そういうかわいらしさみたいなものを落とし込めた感じは、作曲としてはありましたね。

-あと、ポップで軽快な「ちぎれるほど愛していいですか」からEPが始まるのもいいなと思いました。

柄須賀:これはもうとにかく分かりやすくポップな曲を作りたいっていう、ほんまにただその一点のみでしたね。もう鼻歌の時点で"ちぎれるほど愛していいですか?/もう死ぬほど愛していいですか?"って出てきたんで、とにかく甘〜い曲にしたいなって。それだけで引っ張って書いた感じなんですけど、でも逆にこういうのってやってなかったなって。

-なるほど。

柄須賀:たぶん「プロポーズ」ぐらいなんですよね、ほんまに幸せな瞬間だけを切り取ってるいるのって。the paddlesの曲って、もうちょっとグロテスクな感情とか、"どうせ無理やろ"みたいな諦念的なものを歌ってきたし、僕がそういう人間やからそれがメインになってくるんですけど。でも、あんまり何も考えずに、最高やなって思う瞬間を切り取る。それを歌うことに徹してみたっていう感じですね。

-そんな充実作のリリース・ツアー"いつか君と別れてしまうならツアー"が来年1月からスタート。今年開催したワンマン・ツアー("余白を埋める ONEMAN LIVE TOUR-5大都市編-")も全箇所ソールド・アウトで、その勢いを受けつつなツアーになると思いますが、どんなライヴにしたいですか?

柄須賀:こんなにツーマンをやるのは初めてやし、対バン・ツアーの最後にワンマンを入れているのも初めてなんですよ。結構みんなやりがちだと思うんですけど、これまで頑なに対バンしかやってこなかったので。ゲスト・バンドもほとんど決まってるんですけど、このバンドたちと戦って受け取ってきた気持ち、放出してきた気持ちを、ワンマンで全部爆発させるので、対バン編のどこかに来て、ワンマンも来てくれたらみんなも面白いんちゃうかなってすごい思いますね。このEPの曲は全部やるので、セットリストも面白い感じになりそうな気はしてます。

-たしかに。組み方によってだいぶ空気が変わりそうな。

柄須賀:全然違うと思うんですよ。今までやったら、とはいえ自分たちのライヴをやろうと思っていたと思うんですけど、やっぱり相手によって空気が変わったりするし、これだけ曲数も増えると、このバンドやったらこの曲で戦おうみたいな、将棋の駒じゃないですけど、そんなふうに考えることもできるので。いろんなセットリストが組めそうな予感はしてるので、楽しみにしててほしいです。

松嶋:うん。対バンごとにどういうライヴになるのかがすごく楽しみですね。そうやって対バンしていって、リリース・ツアーの最後にワンマンをやってみたときに、自分たち的にはどういう気持ちになるのかなって。対バンいなくて寂しいって思うのか、やっとワンマンでたっぷりできるようになるって思うのか。どういう感じになるのか楽しみやし、キャパ的にも前回のワンマン・ツアーよりも一回り大きいところに挑戦するので頑張りたいです。

剣人:加入後初のリリース・ツアーなので、やっぱり特別なものにしたいですね。サポート含めて今までで一番本数の多いツアーになるので、どういう感じになるんだろうっていうワクワクもありますし、キャパも分かりやすく大きくなってるから、前に進み続けたいなっていう気持ちでやりたいです。

-「25歳」の歌詞にもありましたけど、いいライヴをして、打ち上げをして、次の街へ行ってという日々が始まると。

柄須賀:もう本当に。そこは変わらずやるというか、もはや望んでいるところでもあるので。いい意味で本当にめんどくさい方々が出てくれるんですよ。友達、先輩多めなので、そういう意味でも楽しみですよね。またそのバンドとのストーリーもここから生まれるだろうし、同じシーンを走る者たちとして切磋琢磨できるツアーに、"the paddleのあのツアーおもろかったよな"って、お客さんも対バンもみんな言えるようなツアーになればなと思ってます。