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INTERVIEW

Japanese

ランチブレイク

2025年09月号掲載

ランチブレイク

Member:クソトングいのうえ(Vo/Gt) 小松 チホコ(Vo/Gt) misaki(Vo/Key) すみれスミス(Ba) 船橋"ロリス"孝太郎(Dr)

Interviewer:山口 哲生

コロナ禍から今に向けてのこの4年間を愛したい、肯定したい"ナイスな時代に恋して作りました"みたいな感じですね


-「バニシング」は小松さんが作曲されていて。

小松:この曲を作るちょっと前に、僕の音楽の師匠的な方が病死してしまって。ちょっとセンシティヴな話ですけど、その人はお酒が好きで。お酒の飲みすぎで病気になって亡くなってしまったんですけど、天国で天使たちと楽しく酒盛りしてくれていたらいいなとか、自分が天国に行ったときにはこの曲をその人と一緒に演奏できたら嬉しいなとか、そういう想像をしながら作りました。

-すぐにご自身の中で消化できないところもあったと思うんですが、曲としてはかなり難航したりとか?

小松:曲に関しては「バカと自由」が嘘みたいに、スッと出てきましたね。

-自分の思いをそのまま閉じ込めることができたと。

小松:そうですね。その思いがあって、それを音楽にするだけだったから、すんなりできた感じでした。

-すみれさんは、初めて全曲参加されたアルバムの中から、改めてご自身の中で強く印象に残っている曲を挙げるとすると。

すみれ:全曲残ってますねぇ(笑)。これまで前任のベースの方が考えたフレーズを覚えて弾いていたんですけど、今回は全部自分でいろいろと考えたので、ほぼ全部ではあるんですけど、特に「うごきだせ!」はすごくいいラインを考えられたなって思ってます。

小松:あれいいよね。すごくいい。

すみれ:小松さんが考えた土台の上で踊らせてもらった感じですね。

-ロリスさんは先程音色について挙げられていましたが、メンバー間でやりとりしていく中で印象的だった楽曲を挙げるといかがです?

ロリス:僕等は言いたいことをあまりストレートに言わない人が集まっているバンドで、今回はそこら辺を話し合わずになあなあにして、結局意図通りできなかったみたいなことは絶対嫌だなと思ったので、言いたいことは言えたと思います。「暁鐘は鳴る」はそうでしたし、個人的には「あの街って天国」と「ミントコンディション(In Love with NICE Things)」もですね。今のポップスって、電子ドラムのサウンドがいっぱい使われているけど、自分は今までアコースティックしかやったことがなかったし、そういった音も好きなんですが、それを上手く導入して表現するにはどうしたらいいのかを悩んだ曲でもありました。

-「ミントコンディション(In Love with NICE Things)」は、ドランクな感じがめちゃくちゃ気持ち良かったです。

ロリス:ありがとうございます。あれはこんなふうに叩くっていうのをメンバーに共有して作りました。最近出てきているジャズ・ドラマーの人って、いわゆる4ビートじゃなくて、2、4でスネアが入るけどああいうドランクな感じがあって自分も憧れたところがあったので、「ミントコンディション(In Love with NICE Things)」は、自分のエゴを出した曲かもしれないです。

-この曲はいのうえさんが作られていて、初期の頃からあったと。

いのうえ:そうですね。その当時はぼんやり作っていたから、"おしゃれな曲やろうや"みたいな感じでしたけど(笑)。

-ある意味フランクに考えて作っていたと。

いのうえ:おっしゃる通りですね。当時はとにかく曲を持ってきて、やってみて、探ってみてみたいな感じで、特にヴィジョンもなく始めていたので。なので、ロリスのエゴもそれいいね! ってことでたぶん形になったんだと思います。

-そういったところから始まりつつも、しっかりと掲げたテーマ通りの作品になったわけですが、そのアルバムのタイトルを"ナイスに恋して"にした理由というと?

小松:案自体はいのうえが出したんですけど、他にも5個ぐらいあった?

いのうえ:無限にあった(笑)。悩みすぎて、"ナイスCD"でいいんじゃないか? って話になって。前回もそうだったんですけど。

小松:そうだった(笑)。

いのうえ:そのことを思い出して。"時代を愛す"みたいなニュアンスにしたかったんですよね。コロナ禍から今に向けてのこの4年間を愛したい、肯定したいなって。そういう軸に向かいながら、あとはもう"ナイスCD"でいいやっていう自分のマインドと組み合わせて、"ナイスな時代に恋して作りました"みたいな感じですね。

-なるほど。"ナイスCD"っていう音源いいですね(笑)。"自分たち、いいもの作ったんで!"っていう潔さがあって。

小松:いつかあるかもしれないですね(笑)。

-期待しておきます(笑)。今後の予定としては、10月25日に札幌 モエレ沼公園 ガラスのピラミッドにて、[3rd Full Album "ナイスに恋して"リリース記念ワンマンコンサート"暁鐘は鳴る"]を開催されます。あと、道内と本州のツアーも予定されていると。

いのうえ:そうですね。最終的に乗っかる部分もあるんですけど、ワンマンの後に行ければと思っていて。ちょこちょこ決まってきているんですけど、来年の3月とか4月に入るぐらいまでは、このいいCDを売りに旅に行きたいなと思ってます。

-"ナイスCD"を売りに。

いのうえ:はい。今、言うか迷ったんですけど(笑)。

-(笑)写真を拝見したんですが、ガラスのピラミッド、めちゃくちゃかっこいいですね。あそこは普段からコンサート施設として貸し出されている場所なんですか?

小松:そうですね。コンサートだったり、あと単純にロケーションがすごくいいので、結婚の前撮りとか、いろいろな撮影で使われたりしてる場所です。

-その場所でやってみようと思ったのはなぜだったんです?

小松:前のアルバムを出したときのワンマン("盆と正月ツアー「この街って天国」レコ発")は、ライヴハウスで普通にレコ発ライヴをしたんですけど、そこよりもちょっと規模が大きくて、且つライヴハウスじゃないところでもやりたいなっていう気持ちが僕は結構あって。それで、札幌市内でやれそうなところをイチから探して、スケジュールとか規模感を合わせて検討した結果、ガラスのピラミッドに決まりました。

-ピラミッドからいいパワーを得られそうですね。今はそれに向けて動いている最中だと。

いのうえ:そうですね。本当に手作りで、チケットの発送から施設の方とのやりとりも、全部自分たちでやってます。あと、今回は"コンサート"と銘打っているので、そこをしっかり成功させていきたいですね。

-ライヴではなくコンサートと謳っているのは結構ポイントだったり?

いのうえ:そこはこだわりです。札幌のライヴハウス事情で言うと、ライヴハウスに人を集めるっていうのが結構キツくて。もうちょっとフラットに入りやすい場所を作るというのは僕等のテーマとしてあって、その意味で、ちょっと言葉を変えてみるとかちょっとした細かい話の積み重ねで、少しでも行きやすくて、来てもらいやすい場所を作ろうと思ってます。