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INTERVIEW

Japanese

ランチブレイク

2025年09月号掲載

ランチブレイク

Member:クソトングいのうえ(Vo/Gt) 小松 チホコ(Vo/Gt) misaki(Vo/Key) すみれスミス(Ba) 船橋"ロリス"孝太郎(Dr)

Interviewer:山口 哲生

-「暁鐘は鳴る」は今度のワンマンのタイトル([3rd Full Album "ナイスに恋して"リリース記念ワンマンコンサート"暁鐘は鳴る"])にもなっていますが、いのうえさんはこの曲でどんなことを歌いたかったんですか?

いのうえ:"暁鐘は鳴る"っていうのは、僕と小松が通ってた高校の校歌の1行目の歌詞なんですよ。たぶん120年前とかに作られたと思うんですけど。ちっちゃい町の高校なんですが、その中にもいろいろな歴史があるとか、自分がこうやって音楽をやれていることの、喜びや感謝みたいなものを描きたいなってみんなと共有して、作っていきました。

-高校の校歌からタイトルを引っ張ってきたってあまり聞かないですね。

いのうえ:結構特徴的なので、卒業生だったら分かるかもね。

小松:特定されちゃうかもね(笑)。

いのうえ:いや、違う違う(笑)。結構いい言葉っていうか、覚えてる言葉だなって。

小松:あぁ。うん。高校の校歌はほぼ覚えてないけど(笑)、たしかにこの言葉は覚えてます。

-実際にアレンジはどう進めて行ったんです?

小松:初期のロック・バラード・バージョンを何回かライヴでやってみて、みんな思ってたのかもしれないけど、たぶん僕からアレンジ変えない? みたいな話をしたんですね。ありがちなアレンジじゃないほうがランチブレイクらしくなるんじゃないか、みたいなことを言わせてもらって、そこからはみんなで考えていって。

いのうえ:自分的にはロリスで一番火が付いたというか。こうしていきましょうっていうのをいろいろ出してもらった覚えはかなりありますね。

-実際どうです?

ロリス:あんまり覚えてないんですけど(苦笑)。

一同:ははははは(笑)。

ロリス:あ、でも、このテンポ感に収まったのはセッションが大きかったと思います。僕等はあんまりそういうのをしてこなかったんですけど、なんとなくやったものが今の感じいいんじゃない? ってことになって。僕はあれぐらいのテンポ感やドラムが大好きなので、個人的に熱が入ったのはあるかもしれないです。

-それが上手い具合にいのうえさんに火を付けたと。

ロリス:ですかね(笑)。あと、僕の通っている高校の校歌にもたしか"暁鐘"ってありました。

小松:え、マジで?

ロリス:景色が浮かぶきれいな言葉だなと思って好きでしたね。

-いのうえさん的にはそのドラムが良かったと。

いのうえ:"心で揺れるように"みたいなキーワードを共有したんですよ。縦ノリじゃなくて、心の中で自然と身体が揺れちゃうような形に持っていこうって。そのキーワードで何周か回してここに落ち着いたのは、やればできるんだなっていうか、それこそさっき話した成長を感じた第1弾でしたね。

-たしかにまさにそういったものを感じられる瞬間ですね。1曲目の「うごきだせ!」は小松さんが作曲されていますけども、1曲目にすることを考えながら作ったのか、1曲目に選ばれたのか、どんな感じなんですか?

小松:これは1曲目を作ろうっていうテーマで作りました。本当はもっとポップにしたかったんですけど、結果としてはちょっと落ち着いた感じの曲になりましたね。だから思い描いてたものとは違うんですけど、いい曲だからいいかみたいな(笑)。

-チル寄りといいますか、シティ・ポップ系統の落ち着いた雰囲気と、"うごきだせ!"というタイトルのギャップも面白いなと思いました。

小松:タイトルは歌詞を全部作った後に決めました。歌詞については、音楽そのものについて歌っていて。今まで世界中の人がいろんな音楽を生み出してきて、その中にはたくさんの人に聴かれた音楽もあるし、全然聴かれなかった音楽もある。それを作った人たちが死んでしまっても、星になって輝いて、その星を見て僕等が今何か新しいものを作っていくみたいなストーリーが、自分の中にあったんです。なので、自分たちとか今頑張って音楽を作っている人とか、音楽に限らず何かをしようとしている人の気持ちになって、"うごきだせ!"というタイトルにしました。

misaki:小松さんの曲は、自分のヴァースを作詞作曲させてもらっているんですけども、この曲もBメロを担当させてもらっていて。歌詞は小松さんの説明の通りといいますか、音楽をやっていれば誰もが感じる部分だったので、私も短いなかで、自分の思いを嘘のないように表現したいなと思って考えていきました。聴かれなかった音楽もあるというところで、ランチブレイクをできるだけ多くの人に聴いてほしいし、そんな出会いをするためにずっと歌っていきたいなって思いで書いてましたね。

-misakiさんは先程印象的なやりとりとして「あの街って天国」を挙げられていましたが、例えば大変だった曲はあったりしましたか?

misaki:「バニシング」は、言葉を考える上で一番大変でした。人が亡くなってしまうこと、死についての内容が含まれているので、自分の中でそれをどういうふうに表現すればいいのかかなり悩んだんですけども、一番自分らしいフレーズができた思い出の曲ですね。

-ポップなものを突き詰めていくときに、死というものをどう表現するのかは、たしかにものすごく難しいですね。

misaki:はい。本当に人が亡くなったときの心情を書くのかとか。でも、自分もそんな経験はあるけども、今これを書いているときはそうじゃないから、リアルじゃない自分のことを歌うとすごく違和感があったので、本当の死について書くのは違うなって。だから、途中まではずっと死について考えていたんですけど、これは自分が思う死ではあるけども、これから生きていく上での勇気になるような、自分がそう思えるような一節にはなったかなと思います。