Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

宇宙団

2025年08月号掲載

宇宙団

Member:もちづき(Vo/Gt) コンノ(Gt/Vo) 高のしま(Ba) ツチ丸(Dr) 関口マドレーヌ(Key)

Interviewer:山口 哲生

宇宙団が4thアルバム『銀河トリップ』を完成させた。タイトルにもある通り、本作のコンセプトはズバリ、旅。様々な国を巡るように楽曲が繰り広げられていくなか、宇宙の果てまで意識を飛ばせるポップネスとユーモアに満ちた全9曲を収録。また、キャッチーなリフが耳を惹き、ワクワクするバンド・サウンドに身も心も踊らされる宇宙団らしい一枚に仕上がっている。Skream!のインタビュー初登場ということもあり、本作のことはもちろん、前作から5人体制になった経緯についても併せて訊いてみた。


トリップしたくなるような音楽が好きなので、旅をテーマにして、民族音楽の要素を取り入れた曲をやりたいなってずっと考えていた


-4thアルバム『銀河トリップ』はどんな作品にしようと考えていましたか?

もちづき:3rdフル・アルバム『円盤ヒッチハイク』(2023年リリース)が、この5人になってから1枚目のフル・アルバムになるんですけど、タイトルを決めるときに他にも数案出ていて、その中の1つに"銀河トリップ"があったんです。そのときから宇宙にまつわる言葉をタイトルに入れた3部作、みたいな形でアルバムを作りたいという話をしていたので、"銀河トリップ"は次に使いたいねということになって。

-ということは、今作は"銀河トリップ"というタイトルに向けて曲を作っていく感じだったと。

もちづき:そうですね。あとは、バンドを始めてすぐの頃から、旅をテーマにしたアルバムにずっと興味があって。"銀河トリップ"というアルバム名にするのであれば、それを叶えたいという思いもあったので、旅をテーマにするところから逆算して、どんな曲を書けばいいかなとパズルを組み立てていく感じで作っていきました。

-なぜ旅というテーマに興味があったんですか?

もちづき:中学生の頃に民族音楽に凝っていまして。世代的には倖田來未さん等が流行っていて、例えば恋愛とか青春とかそういう音楽も好きだったんですけど、それと同時に、ちょっと世間から浮世離れしている曲というか、トリップしたくなるような音楽を聴いているのが楽しくてずっと好きだったんです。なので、旅をテーマにして、民族音楽の要素を取り入れた曲をやりたいなっていうのは、ずっと考えていました。

-"トリップ"はダブル・ミーニングでもあるんですね。旅という意味と、意識を飛ばすという意味と。

もちづき:そうです。両方の意味ですね。

-関口さんは、もちづきさんから旅をテーマにした曲が上がってくるなかでどんなことを感じましたか?

関口:それまでの楽曲と、新しく上がってくる曲がちょっと違っていて。それこそ民族音楽の要素や、あと宇宙的な要素も結構増えてきたなと思っていたので、"トリップ"というのはすごく自然な感じだなって思いました。

-たしかに先行して発表されていた「わっしょいダンシング」、「銭湯」、「カンフー指南」は、これまでとだいぶ雰囲気が違っていて。あと、宇宙的な要素が増えてきたというお話がありましたが、たしかに宇宙団の楽曲ってニュー・ウェーヴ的な要素はあるけども、そこまで宇宙感がある感じではなかったですよね。

関口:そうですね。どちらかというとレトロ、昭和感じゃないですけど、そっちのニュー・ウェーヴって感じが強かったかなと思います。

-"宇宙団"というバンド名なわけですし、もっと宇宙的な要素を強めていこうみたいな考えも前作からあったんですか?

もちづき:前作を作ったときは深く考えてはいなかったんですけど、5人になったタイミングでもあったので、4人のときにできなかったことをやろうという気持ちがすごく強くあったんです。そこから曲を作って、最後に"円盤ヒッチハイク"というタイトルに決まって。宇宙要素をより意識するきっかけになりました。今回はアルバム名が初めに決まっていたので、前作ともまた作り方が若干違ったかなとは思いますね。

-なるほど。もともとは4人で、しかも女性のみで活動されていたわけですが、そこにコンノさんが加入することになったきっかけというと?

もちづき:ベースの高のしまも同じタイミングで入ったんですけど、前のベースが脱退したときに、4人体制はやり尽くした感が正直ありまして。それがちょうどコロナが流行り出すタイミングだったんですけど、バンドを続けるか否かというところから話し合いをして、続けるんだったら新しいことをやりたいねって話を、私とツチ丸と関口マドレーヌの3人で話していたんです。その1つとして、ギターを入れて試したいということで、コンノ君とスタジオに入ったらすごく良かったので、この体制でやりたいねと。

ツチ丸:もっと面白い音楽をやっていきたい、ということが第一で、性別について大きなこだわりはなかったです。ガールズ・バンドでなくなることは、周りからいろいろ言われた記憶もありますが、どうでもよかった。ベースの高のしまは、以前、午前3時と退屈というバンドをやっていて、プレイ・スタイルがすごくいいなと思っていて。コンノ君も、以前、本棚のモヨコというバンドをやっていて、いいギター弾くなぁと思っていたのでお誘いしました。実はコンノ君は歌も歌えるということが加入後に判明し、ツイン・ヴォーカル・バンドになりました。

もちづき:ライヴハウスの店長から、"コンノ君歌わせたらいいんじゃない?"って言われて。まだそのときはゆっくり話したこともなかったので、声もあんまり聞いたことがなかったんですよ(笑)。でも、"歌上手いんだよ"と言われて、そうなんですか!? って。じゃあ試しに1曲作ってみようかなと思って作ったのが、『円盤ヒッチハイク』に入っている「いつかは」という曲でした。ツイン・ヴォーカル曲を書くのは人生初だったんですけど、やってみたらすごく良かったので、それに味を占めて(笑)、今の体制になってます。

-コンノさんとしては、最初はギタリストでというお話だったのが、いつの間にか俺歌ってるんだけど......みたいな状況だったってことですよね?

コンノ:そうですね。でも、歌うこと自体は好きだったので全然抵抗もなかったですし、歌ってみたいなとは思っていたので、ちょうど作っていただいてありがたく思っております。

-歌うことに関しては望むところだぐらいの。

コンノ:1人でカラオケに行くくらいには好きなので。

-そうなんですね。

コンノ:コロナのとき、暇だったんでずっと行ってました。

-高のしまさんは、最初はサポートで、後に加入されたんですよね。

高のしま:そうですね。私が加入を決めたのはコンノ君の加入が大きく関わっているなと思います。もともと宇宙団は4人組のガールズ・バンドだったので、男の人を1人入れるという発想やユーモアさにすごく惹かれました。これから一緒に、面白いことをたくさんやっていけるんじゃないかなという気持ちがあって加入を決めましたし、実際に面白いことをたくさんできているなとも感じています。

-素晴らしいですね。音源に話を戻しまして、ツチ丸さんは今回の音源制作はどう臨まれましたか? 宇宙要素や民族的な要素が強い楽曲が上がってくるなかでどんなことを感じました?

ツチ丸:もともと"銀河トリップ"というアルバム名にしたい、と言い出したのが、もちづきさんか私だったかな。今ってサブスクに1曲シングルを出して、プレイリストに入って、という時代だと思うんですが、私はアルバムを聴くのが好きなんです。例えば、THE BEATLESの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』とか、サディスティック・ミカ・バンドの『黒船』とか、あるいは細野晴臣さんのトロピカル3部作(『トロピカル・ダンディー』、『泰安洋行』、『はらいそ』)とか。そういったコンセプト・アルバムがすごく好きですし、コンセプチュアルなものじゃないにしても、このアルバムのこの曲順めっちゃいいな、という聴き方が好きで。
だからちゃんと"アルバム"を作りたかった。旅というテーマがあるなかで、いいものを作りたいという気持ちが強くありましたね。今回収録されているのは9曲ですが、9曲以外にももちづきさんがいろいろ作ってくれて、どうやったらきれいに統一されたアルバムになるか、みんなでデモを聴いて、話して、この曲をやろう、という形で決めていきました。宇宙要素や民族的な要素が強い楽曲が上がってくることに関しては、いい曲だと思ったし面白くなるんだったらなんでもいいかなって(笑)。

-いい曲、面白い曲をやるというのが大事なことですからね。コンノさんは、前作から参加されたわけですが、今作はどういった感じで臨まれましたか?

コンノ:前作は5人になってからの集大成というかベスト・アルバム的な感じで、いろいろな曲をやりつつ、そのときにできる範囲でベストを尽くす感じだったんですけど。今作に関してはそこからさらに幅を広げて、いろんなジャンルの音楽をやりたいなと、取り掛かる前から漠然とイメージしていて。結果、その通りできたかなと思ってます。

-その幅の広がり方もえげつないですよね。

コンノ:そうですね。今までやったことのないこと等、実験ではないですけど、面白そうなことに挑戦するようにしてみました。

-ご自身の中で実験だったなと思った曲というと?

コンノ:1曲目の「What's end of the universe?」ですかね。言い方が悪いですけど、とにかくいろんなものをぶち込んで、いい雰囲気になればいいなという感じで作っていたので(笑)、どのような形になるか正直想像できてはいなかったのですが、結果いい感じに仕上がったという面ではすごく良い実験だったなと思います。インスト自体僕は作ったことがなかったので、どういうものができあがるのか不安もありましたけど、楽しくやりました。

-いろんなものをぶち込んでとのことですけど、皆さんでいろいろと話し合いながら作業を進めていったんですか?

ツチ丸:もちづきさんが大枠を作って、コンノ君がギターを入れて、たまたま別曲をレコーディングした際に使用したスタジオにグランド・ピアノがあったから録ってみて、といろいろごちゃごちゃしたものを、最後はエンジニアさんがまとめてくれた気がします(笑)。そうだったよね?

もちづき:うん(笑)。"What's end of the universe?"は、和訳すると"宇宙の果てには何があるの?"という意味で、この曲は例えるとアルバムのプロローグのような役割です。イメージをしていたのは、このアルバムが1つのゲームで、メイン画面で流れるのが1曲目の"What's end of the universe?"、そこからステージ1、ステージ2、ステージ3の曲にワープできる、みたいな感じです。......伝わりますかね?

-この空気感がいいですよね。宇宙の果てというのは想像の話になってしまいますけど、温かいような冷たいような優しいような怖いような、いろんな感情が湧き上がってきてすごく気持ちいいなと思いました。

もちづき:ありがとうございます。