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INTERVIEW

Japanese

SODA KIT

2024年09月号掲載

SODA KIT

Member:Yupsilon Rasetsu Figaro Mugei

Interviewer:高橋 美穂

-Mugeiさん、どうですか? ご自身のヴィジュアルを見て。

Mugei:絶っ対......着ているんですけど、着ないですよね、こういう服(笑)。だからいい経験になりました。ただ、勝手に前掛け看板をやらされる役になっていて。呼び込み役だと思うんですけど。看板の文字、(発表されているヴィジュアルでは)よく見えないと思うんですが、Rasetsuの手書きで"レンタル鬼ぃちゃん、60分3,000円"って書いてて。

-そんな設定が!?

Mugei:この看板を掛けられているのは不服です(笑)。

Yupsilon:文化祭でMugei君が呼び込みで、僕とフィーちゃん(Figaro)が給仕係で、Rasetsu兄様が商品っていう(笑)。

Mugei:まぁ、面白いからいいかなっていう感じです。

Rasetsu:看板にはさらに"鬼ぃちゃんに溺れろ"って書いてあるんです(笑)。

-細かい(笑)。

Figaro:イラストレーターのなささんが"名札と看板はメンバーさんの手書きでどうですか"って提案してくださって、みんなで黙々と描いたんです。

Rasetsu:最初は、全員が自分の名札と看板を描いていたんですよ。だから、Mugei君は自分の看板を描いていたんですけど、なぜか僕の描いた看板が採用されて(Mugeiが持つことになった)。だから、僕もびっくりしましたよ(笑)。

-楽曲の話に進むと、1曲目の「ドキドキサレンダー」は、文化祭というテーマが決まってから制作されたのですか?

Yupsilon:まさにそうです。だから、ジャージメイドのコスチュームを着て歌っているイメージ。MVの構想も練りながら、この曲を作りました。

-片思いソングなんですけど、シリアスではない、はじけた曲調が新鮮でした。

Yupsilon:「無礼講サマー」も恋愛要素が入っているんですけど。自分がポップスを作ると、恋愛要素が出てきやすいのかなって。且つ推し活の曲にもなっています(笑)。

-たしかに!

Yupsilon:推しを見て、"嫌~! 無理~! 死ぬ~!"とか言う感じ。文化祭って、結構そういうところがあるじゃないですか。先輩を見てキャーキャー言うとか。そういうワクワク、ドキドキ感を曲にしたくって、こうなりました。

-この楽曲、Figaroさんはいかがでしたか?

Figaro:自分にぴったりなジャンル来たなって。曲的には歌いやすいというか......これまでのロックに寄っている曲では、自分の声に厚みや過激さが少ないぶん、サポートに回ろうと意識してしまうことがあったんですけど、今回は、自分が気持ちいい歌い方がわりとできたというか。女子! っていう感じを遠慮なく出していいよと言われた気がして。思ったままにやって、それを認めてもらえた気がして、嬉しかったですね。

-Mugeiさんは、こういうポップ・ソングを表現して、いかがでしたか?

Mugei:個人でやっていたときの歌枠では、好きな歌を選曲していましたけど、SODA KITが始まって、Yupsilonが作った曲を歌うことになって、自分が選ばないような曲調も増えてきたので、これまでなかった歌い方も開拓してみようって思っている時期だったので。「ドキドキサレンダー」みたいなきゅるんきゅるんな曲も、普段は歌わないんですよ。なので、挑戦だったんですけど、自分なりのきゅるんは表現できたんじゃないかなって感じですね。みんなのテンション感に合わせて録ったんですけど、俺の声きゅるんに合わないな......って思いながら歌っていました(笑)。でも楽しかったです。

Figaro:私とは逆だったんだね(笑)。

Mugei:そう。"ドッキドキ Where?"とか言わないですからね(笑)。

-でも、楽しんで幅を広げられているならいいですね。

Mugei:そう。衣装もですけど、普段見せないような自分を見せられたと思うので、自分的には満足ですし、みんなに聴いていただきたいです。

-Rasetsuさんはどうでしょう? ノリは合うのかなって思いますけど。

Rasetsu:そうですね。実際、楽しくやらせてもらいました。僕はノリノリで"ドッキドキ Where?"って言っていましたね(笑)。SODA KIT感はあるんですけど、ちょっと新しくって、それを楽しめました。お客さんにも僕らのいろんな新しい面を常に見せていけるのはすごく嬉しいですし、そういう曲を作ってくれるYupsilonには感謝しかないです(笑)。

Mugei:やめときなって、感謝するの(笑)。

Yupsilon:いっぱいしていいよ、感謝(笑)。この曲のインスト(「ドキドキサレンダー -instrumental-」)に"ポン、ポン"ってシャボン玉が割れるような音が入っているんですけど、それはRasetsuさんがレコーディングでやってくれたのをサンプリングしたんです。全員でやってみて、一番うまかったんで。

Rasetsu:唇を弾けさせる音ですね(※披露)。

-きれいな音した! でも、文章で表現できない(笑)。

Yupsilon:インストもぜひ、聴いてください。あれはソフトじゃなく、人がやってます(笑)。

-「イデア」も文化祭というテーマが決まってから作ったんですか? パーティー感とは違ったテイストですが。

Yupsilon:そうですね。文化祭って、劇もやるじゃないですか。そういうイメージもあって。もともとはRasetsu兄様が、ジャズっぽい曲、シャッフルっぽい曲が欲しいって言っていて、作ったことないなぁ、作ってみるかという感じでした。でもこれ、めっちゃくちゃ難しくって。メロは僕が全部書いているんですけど、16分の1の三連符なんですよ。MIDIを打ち込むのも難しくって。一旦4分の4拍子で打ち込んでから、sachiさんに教えてもらいながらシャッフルに直しました。音楽の授業受けてる感じでした(笑)。歌うのもめっちゃ大変で、レコーディングに一番時間がかかりましたね。

-リクエストをしたRasetsuさん、この曲があがってきてどう思いましたか?

Rasetsu:マジでかっけー曲が来たと思いましたね。僕、ジャズも好きなので。でも、ほんっとに難しかったんですよ。リズムも普段の曲とは違うから、まず普通に歌うのが難しいのに、ちょっとダークな歌詞に合わせた表現も落とし込まなきゃいけないっていう。でも、結果いい仕上がりになったので、僕、(『SODA POPS』の中で)一番好きですね。

-Mugeiさんは、「ドキドキサレンダー」で新しい面を見せたとおっしゃっていましたが、「イデア」も別の意味で挑戦だったんじゃないんでしょうか。

Mugei:俺はわりと得意なジャンルでしたね。リズムにノって歌うのが好きなんですよ。作編曲のsachiさんも歌唱ディレクションしてくれたんですけど、"(映画)「スウィングガールズ」の竹中直人さんみたいにやって!"って竹中さんのモノマネをしながら(笑)、踊りながら教えてくれて。だから、ミニ竹中さんが俺の中で踊りながらレコーディングして(笑)。楽しかったですね。ただ、ミステリアスな曲なので、声を張らないように歌うニュアンスが難しかったです。ノリノリではなく、淡々と歌っているけどすげぇノッてる、みたいな感じなので。

-いろんな意見が出てきていますが、Figaroさんはいかがでしょう。

Figaro:正直な話、私はグルーヴを出すのが課題だと思っているので、この曲が今回一番練習しましたね。リズム感だけならいけたかもしれないですけど、メロの滑舌も難しくって。ただ、曲の雰囲気としてはめちゃめちゃ好きです。歌詞にメモってあったテーマが"ネット活動者とファンの話"なんですよ。

Yupsilon:裏テーマです(笑)。

Figaro:私の頭の中では、"ガチ恋粘着獣 ~ネット配信者の彼女になりたくて~"っていうマンガが思い浮かびました(笑)。暗めな曲調で、声質的には合っていたんですけど、リズムや滑舌に関しては勉強になりましたね。

Yupsilon:もう1つ「イデア」に関して、後半に4人で"イデア"って言っているところなんですけど。僕のソロの曲だと、ラストサビ前に何か一言みたいなのが多いんですけど、SODA KITではあんまやったことがなくって。でも「イデア」で初めてやったんです。レコーディングのときに、"これは「バルス」(のイメージ)だから"って。

"天空の城ラピュタ"の呪文ですね(笑)。

Yupsilon:はい(笑)。そういうイメージで言いました。滅びの呪文(笑)。

-"イデア"の意味って"理念"とかだと思うんですけど、イメージは滅びの呪文だったと(笑)。

Yupsilon:そうそう(笑)。