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INTERVIEW

Japanese

PIGGS

2023年01月号掲載

PIGGS

Member:プー・ルイ CHIYO-P BAN-BAN SHELLME KINCHAN

Interviewer:宮﨑 大樹

2022年の"#PIGGSメジャーへの挑戦"を経て、満を持してのメジャー・デビュー・シングル『負けんなBABY』を完成させたPIGGS。本作のリリースにちなんで 、犬吠埼から渋谷への111kmを"ベイベー"(マラソンや徒歩で移動)し、そのままワンカットでミュージック・ビデオを撮影する企画が敢行された。そんな"111kmベイベー"を終えたばかりの彼女たち全員に企画を振り返ってもらいつつ「負けんなBABY」について訊いた。


負けてるけど、だからこそ歌える「負けんなBABY」もある


-PIGGSは、メジャー・デビュー・シングルが1月11日にリリースされることにちなんで、犬吠埼から111kmマラソンをして、表題曲「負けんなBABY」のミュージック・ビデオを撮影したばかりですね。

プー・ルイ:シングルは「まじ無理ゲー」と「ひっちゃかめっちゃか -My Name is PIGGS-」という自己紹介曲と、「負けんなBABY」の3曲があって。「まじ無理ゲー」はSNSに特化した企画をやろう、「負けんなBABY」は曲調的にも今までのPIGGSらしさとか、フィジカルで頑張る系をやろうというのは決めていたんです。マラソンと言ってしまうと全部走りになるので、厳密に言うとマラソンではないから、"なんとかして行こう"みたいな感じで"111kmベイベー"って言っていて(笑)。リレー形式にしなかった理由としては、みんなで何かを成し遂げられたらいいなという気持ちがあったので、全員でやることにしました。私は4回目の100キロ的なものだったんです。今までもスタッフさんとかいろんな方が付き添ってくださったんですけど、今回は初めて平山さん(アリオラジャパン)が"俺も111kmベイベーするよ"と言ってくださって。私はそれに感動したんです。"この人狂ってんな"と思って、すごく嬉しかったですね。

-プー・ルイさん以外のみなさんは、"111kmベイベー"することについてどう感じていました?

SHELLME:私はシンプルに"マジやだぁ~"って(笑)。100kmが想像つかなかったので、走ってから本当の大変さに気づくことになる感じでした。

プー・ルイ:嫌だって言いながらやるもんね?

SHELLME:やるんですけど、やらないで済むならそれがいいよな、ぐらいには(笑)。まぁでも、やると言ったらやります。

-KINCHANさんは去年100kmマラソン([PIGGS100kmマラソン "RUN or PORK~走れキンチャン~"])をやっていますよね。

KINCHAN:去年走って、人生にこれほどつらいことはないと思っていたので、マジかぁ......と思ったんです。だけど、私はあとから入ったので、そういうフィジカル系でみんなとまったく同じことをやるのが初めてだったから、だんだんワクワクしてきて。わりとポップな気持ちでした。

BAN-BAN:111kmも走るとみんな極限状態になるんだろうなと思って。そういうときにみんなの何かがむき出しになって何かが起こるのが楽しみでした。メジャー・デビューしますというタイミングに5人で乗り越えるというのは、すごく大事なこと、意味があることになるって、すごくポジティヴな気持ちで。でも、私は走るのが遅いので、ちょっと不安な気持ちにもなりましたね。

SHELLME:練習から泣いて大変で(笑)。

プー・ルイ:誰かと走ったら毎回泣いてたよね? 私も1回一緒に走ったんです。どうしても気分が乗らなくて今日は走りたくねぇっていう日に、BAN-BANがリビングに寝っ転がっていたので"一緒に来て?"って。最初は"1周だから!"、"先っちょだけお願い!"みたいな感じで言っていたんですけど(笑)、外に出ちゃえば気分がノってくるので、"もう1周行きたい"となったらBAN-BANのことを置いていっちゃって。で、帰ってきたら泣いていました(笑)。

一同:(笑)

CHIYO-P:私はただただ不安でしたね。自分は自分に甘いところがあって、自信がないわりにみんなより全然練習もしていなかったし、自信を持てるほど練習もそんなにできずに本番を迎えてしまって。みんなほどやり切った気持ちが持てない結果になってしまいました......。

-残念ながら最終的にはゴールまで走り切れなかった結果になってしまいましたね。時間の制約もあって車で移動することになったときは、悔しい気持ちが大きかったと思います。

プー・ルイ:"リベンジしたほうがいいんじゃないか?"という気持ちになっていたんです。なんとかして走り切ったほうがいいんじゃないかと思っていたんですけど、BAN-BANと歩いていた時間に話したんだよね? カメラに映っていないところで大事な話をしていたんですけど、"「負けんなBABY」ってうちらにとってどんな曲だろうね?"みたいに話していて。このまま(MVを)撮っていいのかなという話をしていたときに、BAN-BANが"今そう思っちゃっている原因は、5人で何も生み出せていないからだと思う"みたいなことを言って、私はそれにハッとしたんです。走り切ることが目的じゃなくて、たぶんそれをやることによって生まれる何かだったと思うんですよ。そのあとに中間時点で"いったん5人で集まろう"となった時間があったので、そこでどうするかを決めて。で、ギリギリまでみんなで歩いて、悔しい想いもベイベーして、「負けんなBABY」にぶつけようという気持ちで(MV撮影に)行くことにしました。

-はい。

プー・ルイ:ただ、「負けんなBABY」がみんなに向けて歌う曲という認識が強かったので、走れなかった自分が歌うことに対して、自分が納得してできるかという不安はあったんです。だけど、監督たちが待ってくださっている場所に着いて、現場に入ったらその気持ちは消えて、今ここでできることをやろうと思えました。実際カメラの前に立ったら足が本当に痛かったんですけど、完璧まではいかないけど身体が動いたし、新しい「負けんなBABY」が自分の中から出てきて。当初の予定とは全然違うけど、最終的にやって意味のあることだったなと思いましたね。負けてるけど、だからこそ歌える「負けんなBABY」もあるというか、そんな気持ちになれたのは収穫。感情が1個自分に増えた感じでした。もちろん悔しい気持ちもあるんですけど、意外な収穫でしたね。

-プー・ルイさんとBAN-BANさんとの話のように、走っている間に何かしらを見つめ直す時間というのは絶対にあったと思うんですよ。走ってるときや、走り終わったあとに、自分たちにとっての「負けんなBABY」はどんな曲なんだという結論になったんですか?

BAN-BAN:走っているときに、負けない日々をベイベーしていくということの意味がわかった気がして。どうしても走れなくなっちゃうときってあるけど、前に進みたい気持ちを持ち続けることが負けないということなのかなと思うんです。走れないときがあっても、歩けなくなったときがあっても、それでもいいからその気持ちを燃やして進んでいくこと。でも、それはひとりじゃできないことだと思います。一緒に走ってくれる人がいて、応援してくれる人がいて、一緒にベイベーしたい気持ちになりました。

プー・ルイ:わかる。ファンの人が来て"負けんなよ"って言ってくれた瞬間、そこから3キロ爆走できたんですよ。その人のその言葉がうちらにとっての"負けんなBABY"だったよね。

-「負けんなBABY」という曲や言葉の持つ力を再認識できたんですね。

プー・ルイ:愛がある"負けんなよ"だったね。そこに愛があればパワーがみなぎってくるという瞬間を実際に感じて。それは私たちがみんなにもやるべきことだと実感しました。

-もちろんみなさんとしては当然完走したかったと思うし、悔しい気持ちがあると思うんです。だけど、結果的に試合には負けたけど勝負に勝ったというか、あの企画で順調にゴールして踊っていたときよりも、この結果のほうが人を感動させるものがあったんじゃないかという気がするんですね。

プー・ルイ:そう言っていただけるとすごく嬉しいです。自分たちには悔しいという気持ちはあるけど、そう言ってもらえて救われる部分ももちろんありました。CHIYO-Pは早々にお休みしちゃったけど、みんながそう言ってくれてどう感じた?

CHIYO-P:私は自分に負けてしまったんです。

プー・ルイ:まさかの20分で走れなくなったんですよ。もうこれは笑いにしたほうがいい(笑)。

CHIYO-P:走るのが苦手だとわかっていたのに、自信を持てるほど練習をやっていなかったし、実際にこうやって早々にいなくなってしまって。自分がちゃんと積み重ねてこなかったからなんですけど、負い目を感じてしまいました。正直そのときは「負けんなBABY」を自分自身に対して歌ってしまったというか。

-だからこそ得たものもあったんじゃないですか?

CHIYO-P:う~ん......。

プー・ルイ:得ている途中なのかもしれないですね。

CHIYO-P:まだ自分の中で、自分の問題とか、そういうものと合致していないというか。まだ解決できていないこともあるし、自分自身と向き合い切れていないと思うところもいっぱいあって。

プー・ルイ:でも、やらなかったら向き合うこともなかったから、向き合うきっかけにはなったんじゃない?

CHIYO-P:たしかに。まだ自分の中で解決しきれてないことがいっぱいあって、自分の中での「負けんなBABY」を見つけている最中です。