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LIVE REPORT

Japanese

PIGGS

Skream! マガジン 2023年12月号掲載

2023.10.29 @Zepp Haneda(TOKYO)

Writer : 宮﨑 大樹 Photographer:村長 @son_tkhs

7月に新メンバーのBIBIとSU-RINGをお披露目し、6人組の新体制になったPIGGS。彼女たちの新体制初ツアー"SUCK OF FULL MONTY TOUR"のツアー・ファイナルがZepp Haneda(TOKYO)で開催された。

定刻過ぎ、客電が落ち大きな歓声が上がる。SEが流れ出すと、ぶーちゃんズ(ファン)の手拍子に迎えられてメンバーが登場。リリースされたばかりのメジャー1stアルバム『RAWPIG』のリード曲「Fleeting」でツアー・ファイナルの口火を切った。楽曲が持つストーリーのように、6人は心をフリチンにして感情剥き出しの歌唱を届け、ぶーちゃんズは新曲にもかかわらず振付を真似て、1曲目から会場が一体になっていく。さらにSHELLMEが"羽田! 暴れる準備はいいか!?"と煽り「BOO!SHUT」へ。会場の熱気がグングンと高まるなか、新メンバーふたりは堂々とした歌唱姿を見せる。「ピラニア型人造人間」ではいくつものグリーンとパープルのレーザーが会場を怪しく照らし、尖ったサウンドも相まって、アイドルのライヴとは思えないロック・バンドのそれのような空間を作り上げた。

自己紹介を経てSHELLMEが"本当にカッコいいアルバムをこの6人でリリースすることができて、とても嬉しい気持ちです!"と『RAWPIG』への自信を口にし、同作にも収録されている「ファイティングブレイン」でライヴが再開。BAN-BANとSHELLMEの掛け合いが見どころだったし、BIBIのザラッとした声質もいい味を出していた。その後も多彩なジャンルで熱く泥臭いパフォーマンスを届け続けていたPIGGSだったが、中盤で異彩を放っていたのは「スプートニク1号」だ。アコースティックなサウンドに乗せて、BAN-BANの丁寧な歌い出しからオーディエンスを楽曲の世界観にぐっと引き込んでいき、壮大で美しいサウンドスケープを作り上げていく。SU-RINGの少年のような無垢な歌声がよくマッチしていたことをはじめ、他の楽曲に比べて音数が少なめだからこそ、今後もメンバーそれぞれの歌に新たな発見ができそうな1曲だった。

そして、ここから「人間すぎる」、「フォーエバー・ヤング」、「YOU KNOW ME」までの流れも素晴らしかった。「人間すぎる」でプー・ルイが響かせた感情を絞り出すかのような咆哮、「フォーエバー・ヤング」のシンガロング・パートで上がったファンの拳、「YOU KNOW ME」でのKINCHANのまっすぐに届く歌声。それらすべての光景がアイドル・グループらしくキラキラと輝いていたし、一方で、いい意味で駆け出しのインディーズ・バンドを彷彿とさせるようなギラギラしたエネルギーもあって、自然と胸が熱くなるブロックだった。

MCを挟み、ライヴはパンク・ナンバーの「豚 HAVE THE POWER」で走り出してあっという間に後半戦へ突入する。キラーチューン「とらえる」でライヴは最高潮を迎え、さらに「カッシーニ」へと畳み掛ける。「LINK EMOTION」では全力ジャンプでエネルギーを出し尽くし、メンバーとぶーちゃんズがひとつになって本編は終了した。

アンコールでは、プー・ルイの音楽人生とは切り離せない存在である松隈ケンタと、PIGGSサウンド・プロデューサーのRyan.Bが共作した「Route 91665」を披露。スクリーンには自らの歌唱パートを手書きしたと思われる歌詞が投影され、ただでさえエモーショナルなピアノ・ロックとメンバーのパフォーマンスを、より感動的なものに昇華していった。温かい拍手に包まれるなかKINCHANが来年2024年1月から始まる全国ツアー"DIRTY EPIC TOUR"をお知らせ。プー・ルイが本公演でソールド・アウトしていないことに悔しい気持ちを吐露しつつも、"そういうことよりも今日こうやってみんなに会えたことと、またここで今日来てくれているみんなと満員のZeppでライヴがしたいことと、そういう気持ちのほうが強いです。PIGGSはまだまだこれからだけど、今を信じて目の前にいてくれるみんなと一緒にこれからも歩いていきたいです!"と想いを語り、PIGGS始まりの曲「PIGGS -モナ・リザ-」でツアーは大団円を迎えた。

振り返ってみると、新メンバーふたりが加入したこと、そしてメジャー1stアルバム『RAWPIG』収録曲がセットリストに含まれたことで、PIGGSのライヴはさらに奥行きと広がりが出てきたように思う。そして、まだまだ可能性を感じる。PIGGS自身と彼女たちを取り巻く環境が、ここからさらにどう変化していくのだろうか。なんだかワクワクしてきた一夜だった。


[Setlist]
1. Fleeting
2. BOO!SHUT
3. ピラニア型人造人間
4. VISITOR
5. ファイティングブレイン
6. リバーサイド・モーテル
7. INSOMNIA
8. スプートニク1号
9. 人間すぎる
10. フォーエバー・ヤング
11. YOU KNOW ME
12. 豚 HAVE THE POWER
13. ワイルドサイドを歩け
14. とらえる
15. カッシーニ
16. 負けんなBABY
17. LINK EMOTION
En1. Route 91665
En2. PIGGS -モナ・リザ-

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