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LIVE REPORT

Japanese

PIGGS

Skream! マガジン 2023年02月号掲載

2023.01.29 @日比谷公園大音楽堂

Writer : 宮﨑 大樹 Photographer:Shota Ashino

寒い日に、ラーメン食べる、あの美味さ。PIGGSが真冬の日比谷野音(日比谷公園大音楽堂)で開催したワンマン・ライヴ"全身全霊!燃える豚魂ツアーファイナル公演『焼豚大解放』"は、まさにそんな感じの身体と心に染み入るものだった。

昨年10月から"全身全霊!燃える豚魂ツアー"と題した全国ツアーを回り、1月11日にアリオラジャパンからメジャー・デビュー。充実の活動を経て肉の日(29日)に臨む、自身最大規模の日比谷公園大音楽堂公演では観客の声出しが解禁され、SEが止まった瞬間に熱気と共に割れんばかりの歓声が上がる。金網にとらわれたメンバーがステージに現れ、その金網から解放されると、"We are PIGGS!"と5人で煽りまくる。泥臭くてまっすぐで熱い。彼女たちの発する気迫が、真冬の空気を吹き飛ばした。

開幕はメジャー・デビュー・シングルのカップリング曲である自己紹介ソングの「ひっちゃかめっちゃか-My Name is PIGGS-」。パリピ属性のSHELLMEが"ジャンプ! ジャンプ!"と声を上げ、四つ打ちのリズムでぶーちゃんズ(※PIGGSファン)を乗せていく。"パンツも笑顔で見せちゃいます"という歌詞の通りにKINCHANがパンツ(見せパン)を見せた瞬間には大きな笑いが起こった。ふざけるときは全身全霊でふざける、そんなところもPIGGSの魅力だ。透過ディスプレイに施されたVJ演出はスタイリッシュ且つ熱さもあって、1曲目から最高の盛り上がりを見せた。

続いてPIGGS初楽曲の「KICKS」へ。BAN-BANがクラップを要求して野音をさらにヒートアップさせると、ぶーちゃんズは腕を上下する振付を一緒に踊って一体感を高めていく。約4ヶ月にわたるツアーのファイナルということもあり、前半からメンバー全員の喉が開いて絶好調な様子だ。そんなパフォーマンスに触発されてか、一曲一曲が終わるたびに割れんばかりの歓声が上がる。PIGGSのライヴでこんな光景をずっと観たかった。転調を繰り返す「THANKYOU FUCKYOU」で縦横無尽に駆け回り、完全に野音を支配してから「PIGGS-モナ・リザ-」を披露。アイドル現場らしいコールを久しぶりに聴くことができたこともあって、自然と目頭が熱くなった。それにしても、この大舞台でも物怖じしない5人はさすがだ。それはきっと本誌インタビュー(※2023年1月号掲載)で語っていた通り、この先で横浜アリーナに立つことをリアルに見据えているからではないだろうか。日比谷野音も通過点のひとつとして越えていく、そんな気概を彼女たちからは感じた。

自己紹介をしてからSHELLMEが"今日はツアー・ファイナルということで、うちら超気合入っているんで、ここにいるみんなひとり残さず、全員とPIGGSで最高の時間を作っていきましょう!"と意気込みを語り、「ヴェルヴェット思想家」から怒濤の8連続パフォーマンスが始まる。「VISITOR」から「BURNING PRIDE」への流れはただただ熱く、出し惜しみなしの"全身全霊"っぷり。"これがPIGGSの流儀だ"と見せつけるかのようだ。そんなアチアチのPIGGSにかわいらしさをプラスしたダンス・ナンバー「スナッチャー」で野音をダンス・フロアに変貌させてからの、続く「飛べない蛇」がこれまた素晴らしかった。アコースティック・バージョンのアレンジで、プー・ルイとCHIYO-Pを軸に歌で魅せていくのだが、歌声に感情を乗せるプー・ルイのスキル、"この小さな身体からどうしてそんなパワフルな歌唱ができるのか"と思わせるCHIYO-P。ふたりの存在感が際立っていた。PIGGSの泥臭さを象徴するようなロック・ナンバー「フォーエバー・ヤング」、エモーショナルなメロディと星が降るような照明演出との融合が美しかった「フューチャー・スターダスト」、PIGGSの結成から本ツアーまでの日々を写真で振り返るVJ演出が涙を誘う「I CAN'T BE」と、すべてに見せ場のある連続パフォーマンスが見事だった。

MCではツアーのタイトルにちなんで、"今年の「全身全霊」やり遂げたいこと"をテーマにトーク。CHIYO-Pの共同生活での"ゴミ出し"から始まり、KINCHANはそんなずぼらなCHIYO-Pへの"破壊衝動を抑える"、プー・ルイは"共同の冷蔵庫の盗み食いをやめる"、BAN-BANは"(韓国のアイドルの筋肉に憧れているから)筋トレを頑張る"、SHELLMEは"全身全霊365日毎日エブリデーフィーバーキラキラパーティー!"と、ライヴ前半の充実度とギャップのある目標が語られた。だが、SHELLMEのやり遂げたいことの理由が実は深く、"PIGGSに入ってみんなと過ごす時間を体験して、クラブで過ごすより楽しいことを見つけたって思ったんだよね。だからみんなにとってPIGGSがクラブみたいに最高の場所になればいいって思ってる"と語られた。

そんなSHELLMEが"後半戦もみんなでブチアガって行きたい、はぁ~なぁ~しぃ~!"と「ザ・ストレンジャーズ」の曲振り。先ほどの8連続パフォーマンスに続いて、再び8連続パフォーマンスで本編ラストまで駆け抜けていくものだから度肝を抜かれた。パーティー・チューンの「まじ無理ゲー」、メジャー・デビューに向けての重要な1曲であり、PIGGSの新たな魅力を引き出した「豚反骨精神論」、懐かしの昭和歌謡を思わせる「夢を見させて」、ラララの大合唱を日比谷に響かせた「カッシーニ」と歌を繋いでいき、気づけばライヴ本編はラスト・スパートに差し掛かる。「小さな叫び」では、無音の中でプー・ルイが落ちサビを見事に歌い上げ、全員が残りの体力を振り絞るかのように「とらえる」を披露。最後は「NOT PIG」で締めくくった。

アンコールの声に応えて再びステージに現れたPIGGSは、2月23日に東京キネマ倶楽部で自主企画"BOO BOO ZOO"の開催、4月12日にメジャー2ndシングル『BOO!SHUT』のリリース、そして本シングルを引っ提げて、声出し可能な"ブシャーッとブーシャウトツアー"の開催を発表。プー・ルイが"2023年もPIGGSは駆け抜けていくので、たくさんの素晴らしい景色を一緒に見ていきましょう。明日からもみんなが笑顔でドカンと生きていけるように、全身全霊届けます"と想いを伝えて、メジャー・デビュー・シングル「負けんなBABY」を披露する。犬吠埼から渋谷への111kmを"ベイベー"(マラソンや徒歩で移動)する"111kmベイベー"企画で本楽曲に向き合ったことで、重みを持たせ、メッセージ性を高めたまっすぐな応援歌は、本当に背中を押されるし、感極まるものがあった。ラストは「LINK EMOTION」。徹頭徹尾"全身全霊"で"豚魂"を燃やしたツアー・ファイナルはここで幕を閉じた。

真冬の日比谷野音という、いろんな意味でのチャレンジを達成したPIGGS。ライヴ・アイドルとしてのポテンシャルの高さを見せつけてくれた彼女たちにとって、横浜アリーナという場所は決して夢物語なんかじゃない。


1. ひっちゃかめっちゃか-My Name is PIGGS-
2. KICKS
3. THANKYOU FUCKYOU
4. モナリザ
5. ヴェルヴェット思想家
6. VISITOR
7. BURNING PRIDE
8. スナッチャー
9. 飛べない蛇
10. フォーエバー・ヤング
11. フューチャー・スターダスト
12. I CAN'T BE
13. ザ・ストレンジャーズ
14. まじ無理ゲー
15. 豚反骨精神論
16. 夢を見させて
17. カッシーニ
18. 小さな叫び
19. とらえる
20. NOT PIG
En1. 負けんなBABY
En2. LINK EMOTION

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