Japanese
PIGGS
Skream! マガジン 2022年09月号掲載
2022.07.22 @Zepp Haneda(TOKYO)
Reported by 宮﨑 大樹 Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)
PIGGSは何があってもPIGGSだ。そしてPIGGS には、PIGGSを拡張していける可能性とポテンシャルがある。この日、改めて気づかされたことはその2点だった。
"運命が決まる日"――PIGGS史上最大規模のワンマン・ライヴとして開催された"BECAUSE I LOVE PIGGS TOUR"ツアー・ファイナルをそのように表現しても、まったく大袈裟ではないだろう。この日、彼女たちが数ヶ月にわたって進めてきた企画"#PIGGSメジャーへの挑戦"の結果発表が行われた。
"#PIGGSメジャーへの挑戦"を知らない読者に向けて簡単に説明しよう。この企画は、PIGGSのメジャー1stシングルのプロデュース権を賭け、TEAMメジャー(某メジャー・レーベルの繋がりによる制作陣)とTEAMインディー(プー・ルイが代表を務める株式会社プープーランドの制作陣)が、互いのクリエイティヴで対決するというもの。どちらの作品がTEAMメジャーによるものか、またはTEAMインディーによるものかはあえて伏せ、TEAM A、TEAM Bとして作品を発表。最終的に、両者が手掛けたインディーズ・ラスト・シングルに対して、どちらのPIGGSが好きだったかをリスナーが投票して勝敗を決する。その投票が、この日、このツアー・ファイナルの中で行われたのだ。
ロックでセクシー、熱さがありながらも危険な香りも漂わせる。そんなSEが鳴り響いてからステージに姿を現したのは、TEAM Aが制作した黒いライダースを身に纏ったPIGGSの5人。そしてそのTEAM A が手掛けた「BURNING PRIDE」でライヴの幕が開いた。PIGGSの核とも言える、燃え盛る情熱を引き出す「BURNING PRIDE」。そんな楽曲に呼応するように、魂の叫びを上げる5人の気迫は十分だ。いや、十分どころか十二分すぎて、もはやこの1曲で"BURINING"から"BURNOUT"してしまうのではないかと心配になるくらいの勢いだった。
それにしても、今のPIGGSは大きなステージが似合う。というよりも、大きなステージですら小箱のライヴハウスに感じさせてしまう、心の距離が近いライヴをしていると言ってもいいかもしれない。そんな凄まじいまでのライヴ力を目の当たりにしていると、この企画の結果がどちらに転んだにしても、PIGGSが彼女たちの目指す日本武道館、横浜アリーナに立っている画が想像できる気がした。5人も、そこまで見据えてZepp(Zepp Haneda(TOKYO))の舞台に立っていたのではないだろうか。「BURNING PRIDE」からPIGGSにとって始まりの1曲「KICKS」を続けるところは、ちょっとずるさを感じるくらいにできあがった流れ。続く「THANK YOU FUCK YOU」を経て、衝動的に書き殴ったようなリリックが映し出されるなかでパフォーマンスした「LINK EMOTION」では、5人全員がメイン・ヴォーカルかのような輝きを放っていたことも印象的だった。
脳内麻薬ドバドバであろう5人のMCはとにかくハイテンション。そして、勝負を念頭に置きながらも、勝敗そっちのけで純粋にいいライヴをしよう、ぶーちゃんズ(※PIGGSファン)に楽しんでもらおうという姿勢にも見えて素晴らしかった。SHELLMEが"「I LOVE PIGGS」。「LOVE」――日本語にすると愛なんですけど、知ってる? 愛がなきゃなんにも始まらないわけ。こうやってみんなも集まってこないじゃん、愛がなかったら。そうでしょ? だから今日は愛を深めていこうぜって思ってて。愛を深めるにはやっぱ乾杯でしょ!"と独自の理論を展開する。続けて"だからさ、みんな心のグラス構えてもらってもいい? 親指をクっと曲げて横の人に――見て、これ何? ハートだぁ! やっぱり乾杯は愛を深めるんだよ! (中略)ってことで、愛を深めるために乾杯するぞ! 乾杯!"と、独壇場のMCをして「NAKED BORN NAKED DIE」からパフォーマンスが再開した。
中盤での大きな見せ場は、「骨伝導massive」から始まった。舞台袖から椅子を1脚持ち出してステージ中央に据え、KINCHANが現代舞踊を思わせるダンスを見せる。レーザーの演出も相まって、その光景は前衛芸術のようだ。PIGGSの表現の底知れなさの一端を見せ、そのままエモーショナルなメロディが秀逸な「フォーエバー・ヤング」へ続けると、TEAM Aのカップリング曲「I don't believe in ADULT」ではタイトル通りのパンク精神を迸らせた。ここからCHIYO-PとBAN-BANのふたりでドリーム・ポップな「スナッチャー」を、プー・ルイ、SHELLME、KINCHANの3人はピアノ・バラードの「夢を見させて」をパフォーマンスしていく。それぞれがステージから捌けているあいだに白を基調としたTEAM Bのステージ衣装へとチェンジした5人は、「ゴースト」から折り返しに入った。
TEAM B作品のカップリングとして制作されたこの曲は、ギターの音作りをはじめとしたサウンド感から歌唱表現まで、PIGGSの新たな可能性を引き出すためのチャレンジが詰まっている。そんな「ゴースト」と衣装チェンジをきっかけに、ライヴの雰囲気がガラッと変わった。爽やかなロック・ナンバー「I CAN'T BE」や、柔らかな歌唱で包む「カッシーニ」といった楽曲を並べることで、PIGGSがキラキラとした光を放ち始める、そんなふうに感じたのだ。衣装チェンジをしてからのPIGGSがやりたかったことは、可能性の発見と提示だったのではないだろうかと推測する。
ラスト・スパートには「フューチャー・スターダスト」、「小さな叫び」と続けてから、とびっきりエモーショナルなロック・ナンバー「NOT PIG」を投下する。そうしてPIGGSとぶーちゃんズの感情がZeppの表面張力いっぱいまで膨らんだところで、クライマックスの「豚反骨精神論」へ。
改めて、本日1曲目にパフォーマンスした「BURNING PRIDE」(TEAM Aプロデュース)は、PIGGSの王道とも言える熱さを引き出した曲だ。それとは対照的に、PIGGSの新たな魅力を引き出していったのがTEAM B。そして、その核心を探し求めて制作されたのが「豚反骨精神論」だと筆者は思う。TEAM Aが見せたアチアチのPIGGSと、TEAM Bの見せた可能性のPIGGS。どちらも違う魅力があるから甲乙なんてつけたくない。それなのに、どちらかに投票して、決着をつけないといけないのだからなんとも厳しい企画だ。だが、結果がどうなっても、この企画とこのライヴには絶対に意味がある。本編を終えたときには、確信を持ってそう言えるようになっていた。
本編終了後、いよいよその時が訪れる。投票時間が設けられてからの運命の結果発表。結果として、TEAM Aことプープーランド制作陣が勝者になった。そして、TEAM Bとして健闘していたメジャー・レーベルの正体が、株式会社ソニー・ミュージックレーベルズのアリオラジャパンであることが明らかに。アリオラジャパンと言えば、レジェンド級のロック・ミュージシャンやシンガー・ソングライター、国民的な人気を誇るロック・バンドなどが所属する名門レーベルだ。PIGGSは、そんな錚々たる顔ぶれとレーベルメイトになることになる。
結果発表後、勝利を収めたTEAM Aの衣装に再び着替えたメンバーと、アリオラジャパンのブタ山がステージに立った。
プー・ルイが"今回、結果はTEAM Aが勝利ということで、みなさん投票ありがとうございました。ぶっちゃけ勝ったのはめっちゃ嬉しいですけど(笑)、でも、この2ヶ月間でいろんなことを考えたんですよ。私は浅はかな愛しか知らなかったなと思ったんです。ずっと、「一緒にラヴラヴちゅっちゅ」が愛だと思っていたんですけど、「信頼関係上に成り立つラヴもある」ってこと、それに気づかせてくれたのはブタ山さんでした"と話すと、ブタ山は"この戦いは、いい結果を生んでいるんですかね?"と問い掛ける。するとプー・ルイは"いい変化がありました。PIGGSにとって一番いいものを探していくことが、一番いいんだなっていうことを、心の底から思えた2ヶ月だったんですよ。勝ったは勝ったけど、本当にこれからもいっぱい、一緒にいろいろ考えて、一緒に頑張ってくれますか?"と涙を堪えながら問い返す。ブタ山は"もちろんです。よろしくお願いします。向き合って、本当にガチンコでバトルしたんですけど、次は同じほうを向いて、新たなものを作っていきたいなと思っています"と想いを話した。
そうしてプー・ルイとブタ山で固い握手を交わし、ブタ山は退場。メジャー・デビュー・シングルのリリースに加えて、日比谷野音(日比谷公園大音楽堂)でのワンマン・ライヴ"PIGGSの野音 (仮)"開催が発表された。日比谷野音ワンマンは、ベテラン プー・ルイのキャリア史上でも初だという。日比谷野音という数々の伝説を遺した聖地で、PIGGSはどんな爪痕を残してくれるのだろうか。
アンコールとして最後に「とらえる」、「PIGGS-モナ・リザ-」を届けたPIGGS。決意を抱き"夢の十字架 背負いひたすら行かなきゃ"と歌う言葉が染みた、最高のフィナーレだった。
ところで、この日のMCではメジャー・デビューにあたってメンバーそれぞれの夢、目標が宣言された。SHELLMEは"渋谷にアド・トラックを10台走らせたい。あとは東京ドームで泡パーティー・ライヴ"、CHIYO-Pは"デカいフェスに出たい。それとPIGGSで主催フェスをやりたい"、KINCHANは"山口県の徳山駅にあるふぐの像を私の像にしたい。そのプレートに「山口の星」と書かれたい"そうだ。プー・ルイは"「ミュージックステーション」に出たい"と続け、最後はBAN-BANが"みんなが言った夢を叶えて、PIGGSが大きくなって、みんなとずっと一緒に住むこと"だと言うと、Zeppは温かい拍手に包まれた。
メンバーの個性が出たそれぞれの大きな夢に向かって、PIGGSはブタ山ないしアリオラジャパンとタッグを組んで歩んでいくことになる。"かつてのライバルが仲間になって共闘する"――そんな少年漫画の王道みたいな展開がこれから待っているのだから、ワクワクしないわけがない。
[Setlist]
1. BURNING PRIDE
2. KICKS
3. THANK YOU FUCK YOU
4. LINK EMOTION
5. NAKED BORN NAKED DIE
6. VISITOR
7. 骨伝導massive
8. フォーエバー・ヤング
9. I don't believe in ADULT
10. スナッチャー(CHIYO-P / BAN-BAN)
11. 夢を見させて(プー・ルイ / SHELLME / KINCHAN)
12. ゴースト
13. I CAN'T BE
14. カッシーニ
15. フューチャー・スターダスト
16. 小さな叫び
17. NOT PIG
18. 豚反骨精神論
En1. とらえる
En2. PIGGS-モナ・リザ-
PIGGS
LIVE INFORMATION
"PIGGSの野音 (仮)"
2023年1月29日(日)日比谷公園大音楽堂
OPEN 16:45 / START 17:45
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