Japanese
PIGGS
2023年01月号掲載
Member:プー・ルイ CHIYO-P BAN-BAN SHELLME KINCHAN
Interviewer:宮﨑 大樹
-いろいろあった企画でしたけど、最後にミュージック・ビデオの一発撮影をやってみていかがでした?
KINCHAN:私はすごく負けず嫌いで、絶対に走り切ってやると思っていたんですよ。5人で絶対に走り切りたいと思っていたので、プーちゃん(プー・ルイ)とBAN-BANが歩いているときにしゃべった話を聞いたときも最初はピンと来なくて。私は走り切るという事実にこだわりすぎていたんだなと思います。MV撮影のときには悔しい気持ちでいっぱいになると思ったんですけど、いつもよりメンバーの声がすごく聞こえて、それが不思議でした。走り切らないと意味ないと思っていたけど、話し合いとかをしていくなかでそうじゃないと思えたから、MV撮影のときにみんなの声がいつもより聞こえたのかもしれません。すごくストレートな歌詞じゃないですか? 私の中では真っ赤に燃える炎というイメージだったんです。でも、それが優しい青い炎に変わった感じです。PIGGSは器用な人たちではないので、走り切れなかったPIGGSが等身大で届けられる「負けんなBABY」もあると思います。"不器用な人にこそ届いてほしい"って、MV撮影が終わってから思うようになりました――でも、悔しいです!
-"111kmベイベー"からは遡りますけど、「負けんなBABY」にはTEAMインディーとTEAMメジャーで力を合わせてプロデュースした楽曲という側面もあるので、制作についても聞きたいです。
プー・ルイ:「負けんなBABY」は温存していたわけじゃないんですけど、制作には本当に時間をかけました。例えばバトルをして手を組むと決まっていたとして――決まっていないですけど、そういう嘘の結果を用意して早くみんなに聴かせることもできたと思うんです。でも、それは嫌で。ちゃんと結果を出してから話し始めて、"こういう曲にしましょう"、"どの曲をリードにしますか"みたいな話をしたので、できあがるのがめちゃくちゃ遅くなってしまいました。それは反省でもあるけど、噓偽りない気持ちで作れましたね。時間をかけたからこそ納得いくものができたという自負があります。その前に「まじ無理ゲー」と「ひっちゃかめっちゃか -My Name is PIGGS-」を作っていたので、そこらへんを経てやっと歌える「負けんなBABY」でもあったんです。
-はい。
プー・ルイ:その期間にPIGGSの制作チームと平山さんを入れて話すこともあって、"これからPIGGSをどうしていくか"という話をしたときに、自分のやりたいことがハッキリしたんです。実は、昔はなんでもいいから有名になりたいという感じだったんですよ。そんな自分が"こういう曲をメインで歌いたい"という考えをハッキリと持っていることに気づいて、それには自分でもびっくりしました。そういう曲が歌えてすごく嬉しかったし、なんか涙が出てきて。泣くのは恥ずかしいから我慢したんですけどね。
-どうしてこの曲がリード曲になったのか、改めて聞いてみてもいいですか?
プー・ルイ:PIGGSはこれまでに真剣なメッセージばかりやってきたので、"もうちょっと軽く聴けるものをこれからやっていったほうがいいのではないか"という案もあったんです。(これまでのものとの)2択になったときに、私はどうしても強いメッセージのほうがやりたくて。SNSのこの時代に、それが遠回りになるかもしれないという意見もあったんです。だけど、遠回りになっても絶対これが近道だ、曲げたほうが遠回りになると思ったので、珍しく意見を通しました。
-その結果、PIGGSのど真ん中と言ってもいい楽曲になったんですね。
プー・ルイ:制作チームのブライアン(Ryan.B)、METTY、私も負けてきた人間なので、やっぱりそういう泥臭いものが好きだというのは再認識しました。
-本当にいい意味で泥臭くて、まっすぐな応援歌に仕上がりましたね。
CHIYO-P:デモを貰ったときに歌詞がワンコーラス書いてあって、他はメンバーで書く感じだったんですよ。"負けんな 負けんな"とか"頑張れ 頑張れ"という言葉はもう入っていて、そういうまっすぐなところが好きでした。自分が挑戦したいこととか、やりたい気持ちとかを無視して生きることもできるというか、そのほうが苦しくない、大変じゃないことはきっとあって。それでもいいと思うけど、負けたくないとか頑張りたいという気持ちが消えてしまうことが、すごく悲しいなと思うんです。だからそういう気持ちがある人を、その気持ちを応援したいなと思ったので、そういう気持ちを歌詞に書いて提出しました。
-PIGGSらしい曲をメジャーの表題曲で歌えるということは、やっぱり嬉しかったですか?
CHIYO-P:嬉しかったです。
SHELLME:私は、好きだけど好きって言えなかったんです。貰ったときは、頑張らなきゃいけないとわかっていても、もういいやとなっている時期だったんですよ。いい曲だと思ったし、PIGGSらしいというか、メジャーに相応しいなと思ったんですけど、そのときの自分には"この曲最高だよね"と言えなくて。何も頑張っていないし、頑張りたいとも思ってないのに、"この曲いいよね"って言っても"マジで思ってる?"って思われるし、自分でもそう感じていました。いい曲だと思ったけど、"いいよね"って周りには言えない自分でいたんです。自分に似合わないから。
プー・ルイ:それで"これじゃまずい"って話したんだよね。KINCHANがSHELLMEにブチ切れたんですよ。
KINCHAN:"ふざけんなー!"って(笑)。
プー・ルイ:メンバー同士でぶつかって、深く話して心を入れ替えて。簡単に言うと、そもそも家にいなかったんですよ、遊びに行ってたので。家出少女みたいな感じだったんですけど、戻ってきてメンバーと過ごす時間も増えたし、"これやってね"と言ったことも、きちんとやってくれるようになって。
SHELLME:で、みんなが思っていることとか、野音に向けてとか、「負けんなBABY」に対してとか、そういうものがどんどん見えてきて。そこで、"似合わないと思うんだよね"って私が言ったんですよ。そうしたら"負けたことがある人が歌うのもいいんじゃない?"みたいな感じで言ってもらって。そういう考えもあるんだなぁと思って、"じゃあ負けっぱなしでいいや"とかじゃなく、頑張れなかった自分をずっと思い出せる曲にしようと思いました。「負けんなBABY」を歌うことで、あのときのダメな自分を思い出して、"負けない"って思えるようになりましたね。だから今は「負けんなBABY」が好きだって言えます。
-メッセージ性があるなか、単純にエンターテイメントとしてもいい曲だと思うんですよ。コーラスや振付からはチアダンスっぽいエッセンスも感じたし、衣装の手首のピンクもポンポンみたいで。
SHELLME:たしかに!
-いろんなものが上手くまとまっている、ハマっているような印象だったんですよね。ライヴでも楽しめそうです。
プー・ルイ:これまで「負けんなBABY」の意味について話してきたんですけど、ライヴでやったときの印象はちょっと違いましたね。素直に楽しめる、明るいイメージが広がりました。メッセージもあるんですけど、一緒にやりたい気持ちも強いなぁって、やってみて初めて気づきましたね。
-ライヴと言えば、"全身全霊!燃える豚魂ツアー"のツアー・ファイナル"焼豚大解放"が日比谷公園大音楽堂で開催されます。もう野音モードになれていますか?
プー・ルイ:なれたり、なれなかったり、最近"ピグスハウス"の波が激しいんです。一致団結して、このまま野音に向かっていくのかと思ったらまた崩れて(笑)。それを繰り返しているイメージがあります。それだけみんなが考えているから情緒も安定していないのかもしれないけど、ここからはきっとまとまって野音に向かって、日々を過ごしていくと思いますね。前向きな気持ちです。
-2023年はメジャー・デビューが始まり、野音もあり、いいスタートダッシュが切れそうですけど、2023年をどんな1年にしていきたいですか?
プー・ルイ:2022年が学びの年だったんですよ。2021年にも学んだと言っていたかもしれないんですけど、2022年はもうちょっと違う学び。1年前は業務的なやり方を学んでいる感じだったですけど、今年は失敗も多かったぶん、いろんなことを考えた時間になりました。来年はあんまり失敗したくないんですけど、まぁたぶん失敗はして(苦笑)、それでも2022年を生かす1年にしたいですね。あと、やっぱり私は横浜アリーナに行きたいので、それを言っちゃおうと思いました。"横浜アリーナに立つぞ"と言って、自分を追い込んでいきたい。そうするとあとに引けなくなると思うので、みんなであとに引けなくしていきたいですね。まずは、目指すことが恥ずかしくないくらいになりたい。
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