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INTERVIEW

Japanese

snooty

2022年03月号掲載

snooty

Member:深原 ぽた(Gt/Vo) ユトリミサ(Ba) しおり(Dr)

Interviewer:稲垣 遥

snootyの初全国流通盤となる1stフル・アルバム『たゆたう』は、バンドを結成してから、福岡を中心にライヴハウスで夢中になって活動してきた4年間を総括する内容になった。直近配信で届けてきたシングル4曲に加え、これまでステージで何度も鳴らしてきたナンバーや、このたび書き下ろしたバンドの挑戦や成長が感じられる新曲もパッケージ。そんな全11曲には、たゆたいながら福岡で生きる3人の等身大の想いと、音楽やライヴへのまっすぐな愛情、これからより前進してゆくための向上心が満ちている。今回は、新たに音源化された楽曲を中心に、3人に話を訊いた。

-11月に行われた配信ライヴは、視聴者数が2万8000人だったようですね。

深原:目の前にお客さんがいない状態なので、2万人も観てるとは思わなくて。ライヴはお客さんがいなくても、すごく気持ちを込めて演奏できたとは感じています。

-前に東京でライヴを観させてもらったときよりも、リラックスしているように見えました。

深原:いやぁ(笑)、緊張しました。

-未だに毎回ライヴは緊張しますか?

深原:緊張するけど、失敗したらどうしようということは考えなくなりました。

-それよりも、より良く見せないとっていうこところに対する緊張?

深原:そうですね。

-ミサさんとしおりさんはいかがですか?

ミサ: "配信良かったよ"とか"面白かったよ"って感想を貰えたので、やった意味あったなという実感は持てました。ここにお客さんがいてくれたらもっと楽しいだろうなとは思いましたけど、それよりも自分たちが楽しめてるなっていうのはすごく感じられましたね。

しおり:私も緊張はしましたけど、ほど良い緊張感で。ほんとに楽しめたなと思いますね。

-そしてこのたび、1stフル・アルバムが完成しました。今まで配信リリースを重ねてきて、ついにフル・アルバムとしてリリースする今の心境はいかがですか?

深原:今までは配信のみだったんですけど、今回CDとして形に残せるものを手に取っていただけるんだと思うととても嬉しい気持ちでいっぱいです。

-すでに配信で海外からのリアクションも貰っているsnootyでも、CDになるっていうのは特別なんですね。

深原:そうですね。

ミサ:普段応援してくれてる方からも、"盤にしないの?"とかすごく言われてたので、そこに応えられたのは嬉しいなって思います。

-結成から数えると3月で丸4年ですが、フル・アルバムを作りたい想いというのは前々からあったんでしょうか?

ミサ:アルバムを作りたいみたいな具体的な話はなかった気がする。

深原:がむしゃらにやってきたんで(笑)。とにかく自分たちの曲をみんなに聴いてほしいって気持ちはあったんですけど、アルバムを作ろうという目標は話してなかったですね。

-じゃあ、このタイミングでアルバムにしようってなったのは何かきっかけがあったんですか?

深原:気づけば4年間活動してきて、snootyの成長を見せたいなと思えたので、アルバムを作ろうってなりましたね。

ミサ:単純に区切りがいい感じもしますね。今思ったらすごくいいタイミングじゃんって。"snooty第1章"みたいな。

深原:そうですね。これまでのsnootyのすべてを知ってもらうためにっていうのはコンセプトにあって、第1章のベスト盤になればいいなと思ってます。

-今回のアルバムは、3人の楽器の音と歌だけで勝負している印象で、まさにライヴハウスでやってきたここまでの活動をパッケージしたような作品だと思いました。

ミサ:作ってるときは、"これはベスト盤になるぜ!"みたいな気持ちはそんなになかったですね。"これ入れたいな"って曲を入れた結果、全体を見たらそうなってた感覚ではあったかなと。

-今作を作るにあたって新しく作った曲もあるんですか?

深原:新しく作った曲が、「フロムユアサイド」と「一閃」と「6%」っていう曲です。

-リード曲「一閃」を聴いたときに、意外にも泥臭いロック・サウンドで、"こうきたか!"となりました。序盤はそれ以外にもパワフルな曲が続くと思いますが、この曲をリード曲にした理由はなんだったんですか?

深原:リード曲は新しく作ろうというのはあったんですけど、3曲の中から「一閃」がリード曲になったのは、これからの自分を見せたい気持ちがあったからかなって今思いました。歌詞は、今日の自分が昨日の自分に打ち勝って、更新していくというようなことを書いているんですけど、これからそうやって生きていきたいなと思って書いたので。

-この曲って、いわゆるBメロがなくて、しかもAメロ的なところもシンプルなメロディの繰り返しになる曲だからこそ、各楽器に工夫が凝らされている感じがしました。

深原:メロディは結構試行錯誤しましたね。シンプルだけど頭に残るメロディを意識してます。歌詞は結構皮肉チックな、棘がある言葉だけど、自分自身を持ってるっていう感じで。強さを意識して作りました。

-これまでの曲と比べて特に攻撃的な言葉を使っていたり歌い方をされていたりしますよね。強さを押し出したかったのは、1stアルバムのリード曲として?

深原:そうですね。これまでの自分には負けないぞっていう。これからの自分のために心を強く持っていくぞって気持ちがあって。そこは結構こだわりましたね。

-ミサさんのベースも耳に残りますね。

ミサ:これ本当に全然思いつかなくって、作るの苦しかったです(笑)。そんなにメロが動く曲でもないし、シンプルなものでいきたいけど、動きを入れたりしてカッコイイ曲にしたいなと思って、1回自分なりにまるっと作って。それで、どうですか? って何回かデータを送ってるときに、ぽたちゃんから"ラスサビの前はこうしてほしい"というのがあって、それを採用することにしたんです。そしたらぽたちゃんが考えたフレーズをもとに全体をもう1回考え直すことになって。0からではないですけど、また頭から考え直すんだってなったので、つらかったです(笑)。

-今までも、ぽたさんからそういうふうにベース・ラインに関して意見が出ることはあったんですか?

ミサ:曲を作り始めるときに"こういうイメージで"とかはあったんですけど、いったん自分で試行錯誤してできたぞって思ったところに......これは悪口じゃないですよ?

深原:(笑)

ミサ:私が行き詰まってたんで、"ここをこうしたほうがいいんじゃない?"っていうアドバイスを貰って。途中で、全部を作り変えてっていうのは今までなかったです。

-ぽたさんとしては、この曲に関しては途中でイメージが浮かんできたということですか?

深原:大サビの前の"駆け抜けた群青~♪"のとこだよね? そこは、自分の弾いているコードが5つあるんですね。私的にはそこに全員がハマるようなイメージをしていたんです。基本的にはベースやドラムはお任せ状態で、気になったところだけ"こうしてみたらどうですか?"って案を出してるんですけど、今回はそうなったって感じですかね。私もちゃんと最初っからお伝えしとけばよかったんですけど......(笑)。

ミサ:いやいやいや......(笑)。

しおり:(笑)

-反省されてますが(笑)、曲をより良くするために臆せず意見を出し合うことはバンドとして健全だと思いますよ。

ミサ:私もそこのフレーズが今気に入ってるんで、ありがとうって感じです。

-ひとりでは思いつかなかった案を貰えたってことですもんね。

ミサ:そうですね。自分じゃ思いつかなかったなと感じてます。

-ドラムもセクションごとに叩き方が変わっている印象でした。

しおり:そうですね。最初にデモを貰ったときに、シンプルな流れだけど、いろいろ詰め込みたいなと思って。変拍子も好きなので楽しくて、アクセントや音にもこだわりました。"これからやるぞ!"みたいな強い意志を感じたので、スネアのタムをタイトにして力強さを表現できるようにとか、あと駆け抜けていく疾走感もあるので、そういうところは流れるようにと意識しましたね。

-"一閃"という言葉は、ぴかっと光るものやさっとひらめくものを表しますが、この曲にこのタイトルを付けたのはどうしてですか?

深原:私が案を出したんですけど、"一閃"って言葉の意味がバンドみたいだなと。一瞬の輝きというか。それをタイトルにしたらもっとこの曲が魅力的になるんじゃないかと思って選びました。

-葛藤とか絶望の中を駆け抜けていく曲なので、このタイトルが付くことで希望が浮き彫りになる感じでした。

深原:気に入ってます。

-この曲では強めのクールな歌い方ですけど、例えば「世界が終わるまで」ではすごく優しくてキュートな歌声が聴けたり、「空白」では感情を押し殺したような歌になったり、アルバムを通して聴くことで声色の表現力を改めて感じました。そこは意識的にやっていますか?

深原:そうですね。曲ごとの物語の主人公になりきって歌ってます。例えば「空白」は心が疲れてる様子で、無機質な感じに歌いましたし、「一閃」は自分たちがもっと行くぞっていう気持ちで歌いました。