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INTERVIEW

Japanese

anewhite

2022年01月号掲載

anewhite

Member:佐藤 佑樹(Vo/Gt) 河田 一真(Gt/Key) 日原 大吾(Ba) 鈴木 優真(Dr)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

一聴して共感できなくても、10年後、20年後にはわかるかもしれない。それがanewhiteの強みだと思います


-その次に収録されている河田さん演奏によるピアノ・インスト曲「#928171」も素晴らしいですね。美しい、祈りの音楽で。

佐藤:もともとは「怪獣と光線銃」の前につけようかと思ったんですけど、このピアノ曲のおかげで「怪獣と光線銃」が締まる感じがありますよね。(河田に向かって)コロナの終焉を願う気持ちというか、"今まで通りの日常が戻ったらきっと穏やかな生活に戻れるんじゃないか"というイメージで弾いたって言ってくれていたよね?

河田:(頷く)

佐藤:そういう願いも込められたので、この流れにできて良かったなと思います。

-この2曲の流れが象徴的ですが、佐藤さんは、生と死について深く考えることが多いのでしょうか?

佐藤:そうですね。恋愛や生活のことよりも、そういう部分のほうが、僕にとっての表現したいことなのかなと思います。

鈴木:こういうところがすごく好きなんですよ。

佐藤:あ~、ありがとう(笑)。でも急に?

日原:そういうことは普段から言っていったほうがいいぞ(笑)。

鈴木:いや、人間のことを書いているのがすごく好きで。

佐藤:あぁ......人間、スゲー好きなんですよ。人間って汚いじゃないですか。そのきったねぇところが好きで。僕は大した人間ではないので、自分で嫌だなぁと思うところがいっぱいあるんですよ。毎日生きていれば"どうしてあのときあんな言い方しちゃったんだろう?"みたいなこともたくさんあります。僕は、そういうところから曲を書いていくことがほとんどで。

-ということは、曲を書く過程で、自分の嫌な部分と向き合う作業が必然的に発生しますよね。

佐藤:そうですね、めっちゃ嫌ですね(笑)。だけど、"どうしてあのときあんな言い方しちゃったんだろう?"と後悔して、考えすぎてしまうことって、実はすごく素敵なことでもあると思うんですよね。相手のことも自分のことも深く考えられているということだから。僕は、そういうおせっかいなところが人間のいいところだと思っているので、その素晴らしさを教えてあげたいという気持ちで曲を書いています。

-要は、傷を抉るために曲を書いているわけではないということですよね。それは、生と死について書くときも同じですか?

佐藤:はい。僕はこれまでの人生の中で、人が亡くなってしまう場面に立ち会うことが多かったんですけど......だからこそ、"死ぬ"ということをただ"悲しい"だけで終わらせてほしくないという気持ちが強いんだと思います。例えばある人が亡くなったとしても、別に世界中の人が悲しむということはなくて、影響があるのはその人の周りにいた人たちだけじゃないですか。そして、亡くなった人が遺してくれたものというのは、各々別々にある。その、それぞれ違う"この人はこういうものを遺してくれたんだな"という部分と向き合い、考えている時間こそが豊かなものなんじゃないかと思っていて。

-大切な人が亡くなったという出来事や、それに伴う"悲しい"という感情と向き合うことで、"自分にとってその人がどれだけ大切だったか"という部分や、その人が遺してくれたもの――つまり互いを思い合う気持ちに気づけるというか。

佐藤:そういうことですね。ただ、こういう曲を聴くことで何かつらい経験を思い出してしまう人もいるだろうから、簡単に扱ってはいけないテーマだとは思います。だからこそ丁寧に書かなければと思いますし......自分たちの曲を聴いてくれている人は今生きている人たちだと思うので、その人たちに向けて、強く、"一緒に生きていこうよ"と伝えたいですね。......まぁ、僕はストレートにはなかなか言えないけど。

-たしかに、わかりやすく希望を伝える言葉ではないですよね。"生きていれば良いことが訪れるとは信じないけど"(「2000's」)と歌っているし、"この世を生きる意義はない/僕の意思もない"(「for tune」)とも歌っているし。

佐藤:うーん......でも、そう思いますね。"生きていれば必ずいいことがあるよ!"と言ってくれる歌詞に救われる日もあるんですけど、"いや、うるせぇよ"と思っちゃう日もやっぱりあるから。やっぱり無責任なことは言いたくない。僕自身毎日元気なわけじゃないし、みんなもそうだと思うけど......でも、生きることをやめてほしくないんですよね。"生きる意義もないし、自分の意思で生まれてきたわけじゃないし......"と言いたくなる気持ちのもわかるけど、"僕もそうだから、ちょっとでも続けてみようよ"というのを自分なりに書いてみたのが、今挙げてもらった歌詞で。自分としては聴く人に寄り添えたらという想いで書いたんですけど......わかりにくいっちゃあ、わかりにくいですよね。あはははは。

-でも素直な言葉だからこそ心にすごく入ってくるし、佐藤さんの言葉に救われる人はきっといるんじゃないかと思います。それこそ、鈴木さんは先ほど"僕はすごく好き"と仰っていましたよね。

鈴木:はい。これは僕個人の考えですけど、最近のバンドって一過性の歌詞が多いなぁと感じているんですよ。Twitterやインスタがどうとか言っても、20年後に聴いた人には伝わらないんじゃないかと思っていて。

佐藤:もちろんそういう曲にも良さがあるけどね。

鈴木:そうそう。共感性が高いというか、すぐにのめり込めるタイプの曲だから、この曲を聴いて泣いたり笑ったりしている人はたくさんいるんだろうなぁとは思います。そういう曲と比べると、うちの曲は、一聴するだけでは共感性を感じ取れないかもしれません。きっと俺も、佑樹の書く歌詞の意味全部をわかってはいないし。だけど、今日わからなくても、何回も読んで、その間に自分もいろいろな経験を積んで、山を越えて、10年後とか20年後に聴いてみたらわかるようになっているかもしれない。そう考えたら深いなぁと思うし、わかる日が来るのが楽しみなんですよね。さっきも言ったように、佑樹は人間を歌っているわけで、僕はまだ人間を21年しか生きていないからわからないだけなんじゃないかと思うんです。

佐藤:書いているやつも21年しか生きてないけど(笑)。

鈴木:まぁそうなんだけどさ(笑)。一聴して共感してもらえる歌詞の良さもあるけど、簡単にはわからない歌詞にもまた別の良さがあると思っていて。それがうちの強みなのかなと思います。

-その通りだと思います。結構ディープな話題になりましたが、アルバムのラストには「つんとくる」というピアノ・ポップ調の曲が収録されていて。これは、最後は明るく終わりたいという気持ちからでしょうか?

河田:1stということもあって、駆け抜ける感じでアルバムを締めたいなと思いました。

佐藤:(前曲の)「怪獣と光線銃」で生死について強く書いていますけど、考えすぎて思い詰めてほしくないという気持ちもあって。最後に明るい恋愛の曲を入れることによって、自分の人生を楽しくするほうに進んでいってほしいという願いを込めました。

-この終わり方も含めて、すごくいいアルバムだなと思いました。ライヴでも聴けたら嬉しいなぁと思いますが、アルバムのリリースを記念して、来年1~2月には東名阪ツアー("anewhite 1st Full Album「2000's」東名阪リリースツアー")をまわるんですよね。

佐藤:はい。例えば「オールドスクール」は自分がギターを弾かずに歌う予定なので、そういうところも楽しみにしていただけたらと思います。名古屋でライヴをするのはほぼ初めてですし、大阪も数回しか行ったことがないので、もちろん楽しみだけど"どうなるかな?"という気持ちもありつつ。初めてのツアーなのであんまり見栄を張らずに、お客さんと一緒にライヴを作っていけたらと思います。ツアーを通してバンドとして成長できたらいいなぁとも思っていますね。

-最後に、バンドとして叶えたい目標や夢があれば教えてください。

鈴木:自分はラジオが好きなので、やっぱりラジオに出たいですね。というかレギュラー番組を持ちたい。一真と大吾は無口なんですけど、話せば俺らより口が達者なので......日本一お話が面白いバンドを目指して頑張ります!

河田:僕は音楽で生活していくのが目標です。バンドとしては2月には渋谷WWW Xでワンマンをやりますが、この先Zeppや日本武道館、横浜アリーナ、さいたまスーパーアリーナにも立ちたいと思っています。

日原:大きなステージに立てたら嬉しいなぁと思うけど......僕はやっぱり、このバンドを一生続けられたら、それが一番いいかなと思っています。音楽が好きなので、ずっと音楽をやっていたいですね。

佐藤:僕はそうだなぁ......"歌詞がすごいバンド"としてテレビとかで特集されたいですね。自分だけを褒めてほしい(笑)。

鈴木:いいね~(笑)。

佐藤:でも基本的には3人と同じ気持ちです。ラジオやりたいし、アリーナとか、最終的には東京ドームにも行ってみたいし、バンドをずっと続けたい。あとは、歌詞をできる限り褒めていただければ僕は幸せです(笑)。