Japanese
anewhite
Skream! マガジン 2023年07月号掲載
2023.06.03 @渋谷WWW
Writer : 蜂須賀 ちなみ Photographer:Ryohey
anewhiteが全国7ヶ所でツーマン・ライヴを行った"anewhite「what's new? tour」"。ツアー・ファイナルの渋谷WWW公演のゲストはmol-74。2組は1年半前に共演済みで、"ぜひまた対バンしたいと思っていた"というanewhiteがmol-74を自身のツアーに誘った形だ。"大切なタイミングに呼んでもらって、こうして温かく迎えてありがとうございます"とanewhiteとそのファンに伝えたmol-74は、新曲の「0.1s」など10曲を披露。北欧を思わせる透明感を纏った音色を、時に雄大に、時に静謐に鳴らしながら、起承転結を鮮やかに描いた。
3rd EP『anew』のリリース・ツアーということで、anewhiteは、EP収録の「どうでもよくなれ」、「キンセンカ」でスタート。パワフルなサウンドを鳴らしたあとに待つ「out of the blue」の疾走感がいつにも増して痛快で、"パワーアップしたanewhiteを見せて帰るので、よろしくお願いします!"という佐藤佑樹(Vo/Gt)の発言は早くも立証された。河田一真の滑らかなギター・リフに、バンドを支える日原大吾(Ba)の重心の定まったプレイ、全体を締める鈴木優真のキレのいいドラミング。経験と共にバンド・サウンドが力強くなっていくなか、anewhiteの核である言葉をどう届けていくか。そんな試行錯誤と、"歌う"とか"鳴らす"よりも、衝動に駆り立てられて"出している"ような瞬間が共存する4人のアプローチに好感が持てた。
初期のラヴ・ソング「氷菓」と最新のラヴ・ソング「君と月、会いたい夜に。」は、丁寧に呼吸を合わせながらの演奏。バンドのダイナミズムが物語を立体的にさせていた。ここからクライマックスに向けて畳み掛けていく。鈴木の叩くリズムが曲間を繋ぎ、遊び心溢れるアンサンブルによる「she said」へ。さらにハイハット4カウント、リズミカルなギター・カッティングとポエトリーから始まるのは「カヤ」。ライヴ終盤の盛り上がりを加速させる軽快なタッチで、間奏では佐藤&河田のツイン・ギターが大きな見せ場を作った。
本編ラストのMC。佐藤は"what's new?(最近どうしてるの?)"というツアー・タイトルを付けた理由を"各地のお客さんがどんな想いで自分たちのライヴに来てくれたのか、知りたいという想いがあったから"と明かしながら、"だけど、そんなの結局わからない"とも語った上で、"ちゃんと生きて会えて、みんながいてくれることが本当に嬉しいです。ありがとうございます"と観客に伝えた。ひとときの対面では相手のすべてを知り得ないが、それぞれの人生の中でanewhiteの音楽を選んだ瞬間があり、今、あなたがここに辿り着いてくれたからこそ、こうして出会えている。そのありがたさを噛み締めながらの言葉だろう。"全力でかかってきてください!"と「ライムライト」に入ると、観客も拳を上げたり手を叩いたりしてバンドの演奏に応えた。
アンコールは、「ソワレの街で」でシンガロングが起こったシーンが印象的だった。MCで鈴木が言っていた通り、昨年のWWWワンマンはコロナ禍で観客を半分しか入れられなかった。しかし今は、満員の観客と一緒に自分たちの曲を歌っている。メンバーにとって待望の瞬間だったのではないだろうか。この日発表されたように、秋には大阪/東京でのワンマンが控えているanewhite。楽曲制作における挑戦、そして今回のツアーで対バン相手から得た刺激を早速バンドに還元させていた4人だ、秋のワンマンではさらに進化した姿を見せてくれるに違いない。
LIVE INFORMATION
"anewhite 単独公演 「エトワールと花冠」"
9月2日(土)梅田Shangri-La
10月6日(金)SHIBUYA CLUB QUATTRO
[チケット]
■先行
受付期間:6月4日(日)10:00~6月18日(日)23:59
チケットはこちら
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