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LIVE REPORT

Japanese

anewhite

Skream! マガジン 2024年05月号掲載

2024.04.06 @SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

Writer : 蜂須賀 ちなみ Photographer:大坪 侑雅

結成5周年を迎えたanewhiteが、ワンマン・ライヴ[anewhite 5th anniversary Live "祝命"]をSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催した。集まった観客に対して心を開き、素直にステージに立ちつつも、メンバー4人は終始熱演。これまでの自分たちが生み出した楽曲に対して、そして楽曲やバンドを愛してくれたリスナーに対して、愛情を込めて熱量高く演奏する姿が印象的だった。

SEからそのまま「嫌いな花」を歌い始めるスリリングなオープニング。カラフルなバンド・サウンドとその音を翼に変えながら言葉を届けるヴォーカルに、客席から次々と拳が上がった。そして次の曲「群像劇にはいらない」へ。メンバーは、観客のリアクションを少しでも近くで浴びようとステージの前のほうに出て楽器を弾いたり、2階まである客席全体を視界に収めようと逆に一歩下がったりしながら、顔をほころばせている。「アンサー」では、佐藤佑樹(Gt/Vo)が"みんなの声聞かせてくれる?"と投げ掛けると、観客が歌声を返した。前に出てきてシンガロングを聴いたあと、親指を立てて"いいね"と伝える佐藤。河田一真(Gt/Key)、日原大吾(Ba)、鈴木優真(Dr)も顔を上げて笑顔だ。

この日anewhiteは、初期曲からリリース前の新曲までを網羅した、且つ"佐藤の言葉と4人の結びつきを感じさせるギター・ロック・サウンド"という原点に立ち還ったセットリストを披露。バンドをやる意味や音楽を鳴らす喜びについて歌った曲では瑞々しいサウンドを鳴らし、死生観が表れた歌では丁寧な演奏と共に、歌詞に綴られた言葉を目の前の観客に手渡した。新曲「君が夜」の直後に初めてMVを作った曲「カヤ」を演奏する現在と過去を結ぶ並び、「for tune」と「怪獣と光線銃」を続けて演奏したシーンは特に象徴的だったろう。

佐藤はMCで"この5年間ずっと生き死にの話をしてたなと思います"、さらに"生きてるとつらいけどさ、これからも生きていかないと楽しいこともないんだよ。そういうものを少しでも手渡せるバンドでありたいなと思ってます"と語った。3月に配信リリースされた新曲「アド・アストラ」は遺された人の喪失感を歌った曲で、序盤で歌われている結論"寂しい夜が寂しい夜のまま/あるだけだった"は最後まで変わらない。人の命はいつか終わるし、寂しさは簡単に拭い去れない。しかしメンバーにとって音楽、バンド、anewhiteとはトンネルの先の光のようなものなのだろうと、生き生きと演奏する姿を見て思う。そしてanewhiteの音楽を日々の御守りにしてきたリスナーにとっても、きっとそうだ。そんな感慨と共に盛り上がった「ソワレの街で」は観客の大合唱はもちろん、気持ちの高まりが直に反映されたメンバーのプレイも最高。幸福感でいっぱいのなか、本編はanewhiteが初めて制作した曲「氷菓」で締めくくられた。

この日のライヴのタイトルについては、佐藤から"いつ終わるかわからないものよりも、目の前のことを大切にして生きてきたなと思います。それはある意味逃げなんだけど、大切にしてきて良かったなと思います。この5年間、いいことばっかだったよ。悪いことなんてなかったかもしれない。そう思って祝命と名付けました"と語られた。アンコールで弾き語りで披露された新曲「祝命」は、"今以上に辛いことがあるのか気になって明日を見てる"、"もう少しうっかり生きてみよう"といった目線が彼らしく、希望があると安易に言わないところに誠実さが出ていた。

秋には初の東名阪ワンマン・ツアー"音楽隊はやがて"を開催するanewhite。この5年間で手にしたものを今一度確かめた彼らは、ここから力強く歩みを進めていく。

TOUR INFORMATION

"anewhite ONEMAN TOUR 「音楽隊はやがて」"
9月21日(土)愛知 ell.FITSALL
9月22日(日・祝)大阪 Music Club JANUS
10月4日(金)東京 Spotify O-WEST

[チケット]
■オフィシャル2次先行
4月20日(土)12:00~5月6日(月・休)23:59
チケットはこちら

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