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INTERVIEW

Japanese

anewhite

2022年01月号掲載

anewhite

Member:佐藤 佑樹(Vo/Gt) 河田 一真(Gt/Key) 日原 大吾(Ba) 鈴木 優真(Dr)

Interviewer:蜂須賀 ちなみ

-ここからはいくつかの曲について聞かせてください。まず、リード曲の「チョコレート・ハートレイト」はいつごろどのようにできた曲ですか? というのも、この曲だけ歌詞に青さが残っている気がして。

佐藤:あ、本当ですか? 実はAメロだけ小6のときに書いた歌詞なんですよ。今だったら絶対にチョコレートなんて書かないと思うし、そこに気づいてもらえて嬉しいです。この曲はメロディもついていて、なんとなく気に入ってはいたんですけど、自分の中でボツかなと思っていた曲で。だけど一真に聴かせたときに"そのAメロいいね"、"リード曲にしない?"と言ってもらえたので、今回収録することになりました。サビも一応あったんですけど、リードっぽくなかったので新しくして......なので、Aメロ以外は3ヶ月くらい前に書いたものですね。結果的に、小6のころの青さと今のちょっと大人びた感じが混ざって、それこそミルク・チョコレートとビター・チョコレートみたいになったなぁと。それがちょっと面白いなぁと自分では思っています。

-アレンジもいいですね。各楽器のフレーズが繊細に絡んでいくような始まり方だけど、1番サビを境に渋めのロックへと変化していて。特にギターは腰を据えてロックを鳴らしている感じがします。

河田:「チョコレート・ハートレイト」のギターは自分でも好きだなぁと思っていて。Aメロ後のフレーズとサビ後のフレーズは、実は同じメロディなんですけど、弾き方を少し変えています。僕ら、ヴォーカルの声が爽やかなこともあって、"爽やかな"、"透き通った"という印象を与えてしまうことが多いと思うんですよ。だけど、ここふたり(佐藤と河田)は特に、土台のしっかりしたロックをやりたいと思っていて。

佐藤:もっともっと、やりたいことはあるなぁって思うよね。

河田:うん。「チョコレート・ハートレイト」はリード曲でもあるし、"ここはちょっとロックに行ったろうか"みたいな感じでやってみました。

佐藤:自分たちなりにロックを鳴らすにはどうしたらいいか、このアルバムを作ったことによって少し見えた気がします。

-この曲に限らずですが、ベースとドラムのアプローチにも個性が出ていて面白いですよね。まず、ベースは、歌の隙間を縫うような感じで意外と動いているし、予想外の方向に動いていくことが多くて。

佐藤:僕ら、一真以外の3人で活動していた時期があったんですよ。3ピースのときは自分がリード・ギターを弾くというよりも、ソロ的な動きはベースに全部任せていて。

-なるほど、そのときの名残みたいなものがあるんですかね。

佐藤:きっとそうですね。大吾は結構突飛なものを弾いてくるんですよ。ゴリゴリに歪ませたりとか、拍を無視してきたりとか(笑)。

日原:このアルバムの制作を通して、好き放題やるのではなく、曲に寄り添うことを覚えました(笑)。曲作りのときは、基本、自分がカッコいいと思うフレーズや弾きたいフレーズを詰め込んで持っていくんですよ。だけどふたり(佐藤、河田)から"ここはもうちょっとこうしてほしい"というふうに言われるんですね。なので、そういうところは合わせて、怒られなさそうな場所では思いっきりやるスタンスで......。

佐藤:インタビュー越しに愚痴を言われているような......(笑)。

日原:いやいや、結果的にそれでいい曲になることがわかっているので、喜んで従ってますよ(笑)。

-それこそ「out of the blue」は思いっきりやれたんじゃないですか?

日原:「out of the blue」は珍しくあんまりツッコまれず、自分の持っていったフレーズがほとんど採用されましたね。途中にベース・ソロがあるんですけど、あれなんて逆に"ここベース・ソロ欲しいから考えてきて"と言ってもらえたくらいで。

河田:その時点で結構ベースがすごかったので、もうやってもらおうかと思って(笑)。間奏にギター・ソロの入った曲は今までにもあったんですけど、ベース・ソロはやったことがないし、入れてもいいなぁと思ってお願いしました。この曲に関しては、ベースがメインになるように、ほかの楽器はちゃんと引いて......という感じで調整しましたね。

-ドラムは、ドラム・セット全体を使いながら、ダイナミック且つメロディアスに演奏している曲が印象に残りました。例えば1曲目の「ソフト」とか。

鈴木:「ソフト」は1~2年前にできていた曲で、"これだ!"というフレーズがそのときからあったんですよ。だけど1~2年前の僕の技術ではそれが実現できなくて......そこから長い年月が経って、やりたかったフレーズをちゃんと演奏できるようになって、しかもそれをアルバムの1曲目に置くことができたのが個人的にはすごく嬉しいですね。どのフレーズも気持ちいいし、「ソフト」は特にお気に入りです。

佐藤:そう考えると、今のところは丸く収まっているけど、ここからリリースを重ねていくにつれて、4人それぞれの個性がもっと出てくるかもしれないですね。

-そうですね。そうなったら面白そうだなぁと思います。歌詞についても聞きたいのですが、佐藤さんの書く歌詞は、"どうしてその発想に至った?"みたいな言葉がポンと出てくるのが面白いですよね。

佐藤:本当ですか?

-例えば「つんとくる」にある"オレンジジュースみたいな2人"というフレーズは、それ単体だと不思議な表現っぽく聞こえるんですけど、ひとつ前のラインに"たった1パーセントの想いだとしても"とあるから、"あ、果汁の濃度と引っ掛けたのか"とわかる。というふうに、読めば理屈は理解できるのですが、そもそもこの発想が出てくるのがすごいなぁと思って。

佐藤:いやいや......。僕、1単語からいろいろと展開させていくのが好きなんですよね。例えば、「カヤ」の歌詞は自分でも気に入っているんですけど、"煙草の歌にしよう"と考えたときに、"煙草"という単語から"百害あって一利なし"という言葉が浮かんだりする。

-連想ゲームのようなことを脳内で行っているということですか?

佐藤:そうだと思います。それで言うと、「オールドスクール」も結構好きなようにやっていますね。"煎じる爪の垢は使用済みの茶葉"とか、パンチラインかなと思っているんですけど。

-あぁ、たしかにそれはパンチラインだなと思いました。私は「怪獣と光線銃」に感動したのですが、これは、コロナ禍を受けて書いた曲ですか?

佐藤:まさにそうですね。SNSで"#うたつなぎ"(※ヴォーカリストがハッシュタグと共に歌唱動画を投稿、同時にほかのヴォーカリストを指名し......とリレー形式で投稿が行われた動き。2020年春、コロナ禍による外出自粛期間中に誕生した)が自分にもまわってくる機会があって。今までの曲を歌ったりほかのアーティストの曲をコピーしたりしてもよかったんですけど、この現状を歌にしてみようということで、曲を作りました。コロナだけに当てはまることではないんですけど、流行病とか、そういうものに対する気持ちを書きましたね。