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INTERVIEW

Japanese

snooty

2021年06月号掲載

snooty

Member:深原 ぽた(Gt/Vo) ユトリミサ(Ba) しおり(Dr)

Interviewer:稲垣 遥

-では、それぞれの曲について詳しく聞かせてください。まずは、「空白」が4月にリリースとなりましたが、ダウナーなサウンドで、今まで以上に鋭い歌詞が印象に残る曲でした。

深原:これは作り始めたのが年始の1月とかで、自殺のニュースが多い時期で、自分から命を捨てることは、私は考えたことないんですけど、そういう人たちはどんなにつらかったんだろうって思って、その人の気持ちになって書いた曲なんです。死にたくなるくらいつらい原因を考えたときに、私の中では言葉かなと思って、最初の"言葉のナイフ"っていうのが頭の中に入ってきて、そこから広げてできた曲ですね。

-ミサさんや、しおりさんは、そういう思いがあってできた曲っていうのをぽたさんから聞いて、音を作っていくんですか?

ミサ:そうですね。こんな感じで作ったよっていうのは教えてくれるので、落とし込んでから合わせていくみたいな感じでした。

-中でも特に、"死んでしまえたらどんなに楽になるんだろう"や、"人は簡単に殺せてしまう"という部分は、センセーショナルな気持ちがストレートに歌詞に出ていますが、それを今回は今まで以上にはっきりと言葉にして歌いたかったんですか?

深原:人って何気ないひと言で殺せてしまうんだってニュースとかを見てすごく感じたので、それを今誹謗中傷が問題になってる世間に伝えたくて作りました。それが一番の伝えたかったことですかね。

-いつも、曲作りの中でこれを伝えたいというのは明確にあるんですかね?

深原:いつもは伝えたいというよりかは、自分のために書いてるようなもんですね。それが誰かの共感になればいいなって思うけど、今回の「空白」は伝えたいが勝ってました。人ってこんなに簡単に傷ついてしまうのに、なんでそんなこと言うの? みたいな感じで。みんなに聴いてもらったときにハッとしてほしかったのはありますね。

-それくらいぽたさんの中で大きな出来事だったんですね。ミサさんや、しおりさんは、ぽたさんが伝えたい想いを持って曲を作るようになったという変化は感じていましたか?

ミサ:たしかに「空白」に関しては、今までよりもすごくストレートでガツンとくるというのは思ってて。今までの楽曲でもすごく伝わるものは多いんですけど、ストレートな言葉選びだからこそ、今回の曲には合ってるなと。こういうテイストもありだなって思いました。

しおり:いつも共感できるところが多いんですけど、「空白」は今の時代で刺さる人がすっごく多いんだろうな~って。自分が一番刺さってたんですけど(笑)。

深原:大丈夫ですか(笑)。

しおり:(笑)ミサさんも言ってたんですけど、言葉がダイレクトにグサッて自分にもきたなぁと思いました。

-それを曲に落とし込むにあたって、目指したサウンドのイメージはあったんですか?

深原:今までの曲は結構元気になるような音って感じだったんですが、今回はシンプルだけど、身体の中に入り込むみたいな音作りを目指して。さっきも言ったんですけど、plentyや、きのこ帝国みたいな、あのなんとも言えない音をイメージしたところはありますね。シンプルなコードだけど、頭に残るみたいなところは意識しました。

-今回特に歌を聴かせようとしてるのかなっていうのは、ベースや、ドラムを聴いていても感じたんですが。

ミサ:私は邪魔しないようにっていうのが頭にありました。やっぱりストレートな歌詞だしそこが一番刺さってほしいので、なるべく淡々と、でも一個一個の音も刺さるようなっていうイメージでしたね。

しおり:私はリズムでいろいろしたくなっちゃう癖があるんですけど(笑)、最初に曲や、想いを聞いたときに、シンプルに且つ歌詞がグサッてくるので、それを邪魔しないようにはもちろんですけど、歌詞が聴きやすいようにというのは意識して作っていきました。

-すでにリリースされてますが、反響はありました?

深原:最初はお母さんから反響来たんですけど(笑)。最初は"怖い"と言われてたんですが、私が言われて嬉しかった言葉があって。"毎日聴いてるよ"ってLINEが来て、"最初は怖かったけど、何回も聴くにつれてだんだんわかった。加害者側にも向けて歌っとるっちゃろ?"みたいに言われたんです。汲み取ってもらえてることが嬉しくて、そこはやっぱ一番のファンやなって思いました(笑)。

-いい話ですね。

深原:あとは友達から"めっちゃいい!"ってLINEが来て。(リリースするまでは)大丈夫かな!? って思ってたんですけど。

-今までとはイメージが違うぶん、リスナーの反応は気になるところですよね。

深原:そうですそうです。でも、怖いって意見もあるけど、すごく心に響いた人からはLINEが来たりとかしたんで、ちゃんと届いてるんだなっていうのはありました。

-そういう新しい面も認めてもらえたのは、バンドとして曲の幅がしっかり広がった感じがありますよね。続いて、第2弾が「世界が終わるまで」。これは「空白」に比べると前向きさが感じられるなと思いました。どんなイメージで作っていった曲でしたか?

深原:これを言ったらそういうイメージがついてしまうかもしれないですけど、"ウォーキング・デッド"をすごく観てたときに作った曲で。観たことなくて、自粛中に、シーズン1から全部観てるうちに"ここまでして生きたいのか"って思ったんですよね。生きる理由みたいなのを考えるようになって。愛する人や、大切にしたい人がいるからこそ、ゾンビがいる世界でも生きていきたいって思えるんだなって感じて、自然とメロディと歌詞が浮かんできた曲ですね。

-例えば、しおりさんのドラムも一音一音とっても力強さが感じられましたけど、"生きていたい"って強い気持ちが歌詞だけじゃなく、プレイからも伝わります。

しおり:ありがとうございます。強い想いがこもっている曲だなと思ったので、その思いが伝わる叩き方ができるようにリズムは意識しました。

ミサ:私はちょっと苦戦しましたね。あんまりごちゃごちゃ入れたくないなっていうのはあったんですけど、「空白」ほどシンプルではないって感じで。

深原:シンプルになりすぎるところがあるから、難しかったよね。

-「空白」と「世界が終わるまで」は、作った時期が違うということでしたが、「空白」では"死んでしまえたらどんなに楽になるんだろう"と歌っていたところから、今度は生きることを歌っていて、繋がりを感じてしまいました。

深原:偶然繋がったけど、そうなるべきだったのかなっていうのは今の時期だから感じました。