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INTERVIEW

Japanese

Non Stop Rabbit

2020年12月号掲載

Non Stop Rabbit

Non Stop Rabbit

Official Site

メンバー:矢野 晴人(Vo/Ba) 田口 達也(Gt/Cho) 太我(Dr)

インタビュアー:秦 理絵

前代未聞のYouTuber系バンドとしてメジャー・デビューを果たすNon Stop RabbitがSkream!表紙に初登場だ。YouTubeで公開している数々のバラエティ動画を、バンドの知名度を上げるための"売名行為"と位置づけながら、昨年はZepp DiverCity(TOKYO)でのワンマン・ライヴまで成功させたノンラビ(Non Stop Rabbit)。そんな彼らのメジャー・デビュー・アルバム『爆誕 -BAKUTAN-』には、インディーズ時代に培ってきたバンドの音楽哲学が余すところなく詰まっている。"ロック・バンド"という肩書すら無用とするエンタメの追求、反骨精神と遊び心、等身大のメッセージ、ヴォーカル 矢野晴人の訴求力を前面に打ち出した歌。結成以降、紆余曲折の4年間を経て、ノンラビは何が変わり、何を守り、ここに辿りついたのか。3人に訊いた。


純粋に音楽だけをやってる人たちにも憧れてたけど、 こっちが俺らの道で正解だなって思います


-スポーツ新聞の芸能面にメジャー・デビュー発表の記事が大きく掲載されましたね。見出しは"ユーチューバー系バンド、史上初メジャーデビュー"。

田口:そうなんですよ。その日は、うちの会社(バンド活動を始めるにあたって設立した自身の会社"UNorder music entertainment")のメンバーと朝まで一緒にいたので、"そろそろ新聞が並ぶんじゃね?"って、新宿のコンビニを全部探したんだけど、なくて。

矢野:5時ぐらいだったから、まだコンビニには並んでなかったんです。

田口:それで自分たちの記事を必死で探すっていう、一番ダサいことをしてね。

太我:埼玉まで探しに行きましたから。

田口:で、埼玉にあったんだよね。見たとき、めっちゃ嬉しかった。思ったより大きかったんですよ。今は切り抜いて、額に入れて、飾ってあります。

-メジャー・デビューする実感って、何かありましたか?

太我:えー、ないなぁ......実感、何かありました?

田口:何、ライターさんに聞いてるんだ!?

-単純ですけど、今日の取材場所がいつものスタジオじゃなくて、ポニーキャニオンですからね。"ついにノンラビもメジャー・デビューするんだな"と思ってます。

田口:新鮮ですよね。

-周りの人からお祝いの言葉を貰ったりしませんか?

田口:全然連絡をとってなかった昔の友人から、"おめでとう!"って久しぶりに連絡がきました。それはたしかに実感にはなりますね。でも、やってることは変わらないですよ。

-それこそノンラビがインディーズ時代に会社を立ち上げたときって、メジャーとインディーの境目がない時代だから、自分たちでバンドをプロデュースすることが大事だっていう考えがあったわけじゃないですか。

田口:はい、そうですね。

-そんなノンラビにとって、メジャー・デビューする意味とは?

矢野:ここまでは自分たちで来られたけど、それ以上に行きたいからかな。

田口:会社的に考えると、もっと業績を上げていかなきゃいけないですからね。去年よりも今年。今年よりも来年って考えたときに、同じことをやってたらダメなので。メジャー・デビューはいい機会なんじゃないかと思いました。そもそもいつかメジャーに行って結果を出さないと、インディーズにいると、部活の延長になっちゃうというか。俺らみたいに、売れるためにYouTubeをやってるバンドがインディーズのままだと、すっげぇダサいと思うんですよ。だったら、誰がどう見ても、プロが集まる場所で、どんぐらいできるのか勝負したほうがいいんじゃない? っていう、そういう発想ですかね。

-昔、"25歳までにZepp規模の会場でライヴをやれなかったら、バンドをやめる"っていう目標を掲げてて、それを実現したじゃないですか。

田口:うんうん。

-メジャー・デビューも何歳までって決めてたりはしたんですか?

田口:いや、それはまったく考えてなかった。

太我:でも、30歳までにアリーナ公演をやりたいなっていうのはありますね。

田口:次はね。

矢野:じゃあ、できんかったら、バンドをやめる?

太我:僕、別の仕事に就きます!

一同:あはははは!

-常に背水の陣ですね(笑)。自分たちのインディーズ時代をどう振り返りますか? ライヴハウスで苦戦して、路上ライヴをするようになって、それでも伸び悩んで、YouTubeを始めたっていう4年間でしたけど。

田口:短かったよね?

矢野:うん。今思うと、短かったですけど、路上やってるときは長かったんでしょうね。

田口:地獄だったよ(笑)。

太我:あのときは長く感じてた。

矢野:毎日がすごいつらかったですけど。今思うと、それも一瞬だったなと思います。

太我:当時、"Zeppなんて、どうやってやるの?"って思ってましたからね。路上で何百人を相手にやっても、ファンになってくれるのは10分の1とか2なので。

田口:自分らで電話をして、Zeppを予約しようとしたことがあるんですよ。で、断られて。

太我:めっちゃ面白かったのが、"2025年5月なら仮押さえできます"。いやいやいや!

矢野:"その日なら6番手です"。って。

一同:あはははは!

-それでも、去年の8月にZepp DiverCity(TOKYO)のワンマン("熱中症対策ツアー2019~必ずしも熱が加わる灼熱のような状況でなくても発症する恐れがあることから、『熱中症』と呼ばれるようになりました。~")は実現しましたね。

田口:そこは事務所に入ったことが大きかったですね。

矢野:自分たちだけでやるには、業務的なところで限界を感じたのもあって。

田口:あぁ......そう考えると、やっぱりいろいろ大変だったな。忘れてるね。

-その大変さを乗り越えられた原動力ってなんだったと思いますか?

田口:ある意味、ドMだからですかね(笑)。たぶん自分らで引き下がれないようにしてるんですよ。YouTubeも、あれだけバラエティに振り切っちゃったら、もうかっこつけたことはできないじゃないですか。会社を作っちゃったら、潰すわけにもいかなくなるし。自ら逃げ道をなくすことで、進むしかなくなるようにしてる気はしますね。

矢野:うん。

田口:無理やり自分たちに厳しくしたことによって、誰も気を抜けなくなったというか。それが結果的には良かったのかなと思いますね。

矢野:たぶんいい意味で仕事っぽくないんですよ。それも続けられた理由かなと思います。仕事とか勉強とかやらされてると、やる気が出ないし、いつか絶対やめるタイプなので。

-あとは、音楽の力を信じてるところも大きいのかなと思います。意外と。

矢野:ははは、意外と! そうは見えない感じ出てますけど(笑)。

田口:もう俺らはかっこつけるのが恥ずかしくなっちゃってるんですよ。今さら"音楽真剣にやってます"って、俺らの口から言われても、"いやいや、いろんなことやってるやん"ってなるのもわかってるし。いい曲さえ作っていれば、納得してくれるファンがいるんだったら、無理にそういうことを言う必要はないというか。いい意味でアーティストっぽくなくていい。最近、僕らは、常に言ってますけど、嵐とかSMAPになりたいんです。

-スポーツ新聞の記事にも載ってました。

田口:うん。そう考えたときに、嵐とかSMAPって何者かなって言うと、歌手だし、俳優だし、アイドルだし。いろいろな顔があるんです。職業が嵐であり、SMAPみたいな。だから、"職業:ノンラビ"って言われる存在になれたらいいなと思ってます。何か1個だけを貫いて、頑張ってる人にめちゃくちゃ憧れてるけど、俺たちはそっちじゃないんですよね。

-そのあたりの意識は初期の頃とは変わってますよね? YouTubeを始めたころは、もっと"本質はロック・バンドだよね"っていう部分にはこだわってたでしょう?

田口:うんうん。そうですね。今は聴く人が聴いたらYouTuberでお笑い芸人。でも、聴く人が聴いたら、ロック・バンドで。いろいろな捉えられ方でいいなと思ってます。それも、Zeppに立ったあたりで変わったんですよ。俺らが持ってる力は音楽だけじゃなかったって。音楽が"足りなかった"んじゃなくて、"音楽だけじゃなかった"って思ったんですよね。そこにトークを聴きに来てる人もいるし、俺らを見て"本物だ!"って言いたくて来る人もいるし。それまで僕らが目指してたのは、純粋に音楽をやってる人たちだったけど、憧れてた人たちとなりたい自分はもうそろそろ違うんじゃないかって。

-以前は"UVERworldのようなバンドを目指してた"って言ってましたもんね。

太我:まったく別のものになってますよね。どう考えても。

田口:俺らが、まだUVERworldを目指してたら、YouTubeはやってないし、Zeppにも立ってないし、メジャー・デビューもしてなかっただろうなと思うと、こっちが俺らの道で正解だなって思いますね。

-なるほど。そんなインディーズ時代を経て、メジャー・デビュー・アルバムとして完成させたのが『爆誕 -BAKUTAN-』です。まずタイトルのインパクトが強い。

田口:シンプルに覚えやすい文字数でいいんじゃないって感じですね。爆発の"爆"だし、誕生の"誕"なので、読めない人がいないと思うんですよ。これもYouTubeをやってる感性だと思います。5秒見てもらっただけで、心を掴まなきゃいけないっていう発想ですね。

-今作はインディーズ時代に積み重ねてきたものの集大成だなと感じました。

田口:たしかに。今までの(アルバム)3枚を集めたみたいな作品にしたいと思ってました。最初の『全A面』(2018年リリースの1stフル・アルバム)は、タイトルどおり、誰が聴いてもキャッチーな曲が多くて、ポップス寄りの作り方にロックを足した作品でしたけど、そこからライヴが楽しくなってきて。ライヴをどうやるかっていう前提で仕上げたのが『自力本願』(2019年2月リリースの1stミニ・アルバム)とか『細胞分裂』(2019年12月リリースの2ndフル・アルバム)だったので。もう1回初心にかえって、両方の間をとったらどうなる? って考えたのが今回ですね。