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INTERVIEW

Japanese

ザ・モアイズユー

 

ザ・モアイズユー

Member:本多 真央(Vo/Gt) 以登田 豪(Ba/Cho) オザキ リョウ(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-わかりました。続いて、10月にリリースされるのが「悲しみが消える頃」です。前作の「雪の降る街」に続き、以登田さんの渾身のバラードです。

本多:イトちゃん(以登田)、こういうのが好きだもんね。

以登田:うん、バラードは大好きです(笑)。この曲は、初めて女目線で書いたんです。なんで書こうかと思ったかって言うと、友達の話を聞いて"なんや、その悲しい話は"って思ったんですよ。それを、自分なりに曲として作ってみようとしたのがこれですね。

-友達の実体験とはいえ、そこまで具体的なストーリーを描いてるわけじゃなくて、むしろ想像をかき立てられる内容ですよね。

以登田:あえて、特徴的な歌詞を入れてないですよ。だから、誰にでも共感できるんじゃないかなっていうのはありますね。

-サビの"悲しみが消える頃には/私もきっと消えてゆくの"っていうフレーズが悲しいです。

以登田:これは深く考えたというよりも、ほんまにメロディが出てきたときに一緒に歌詞が出てきて。言うたら、悲しむ気持ちすら消えるっていうことは、相手を思う気持ちも消えてしまうってことなんですよ。そうなると、相手を思うことでしか存在意義がなかった自分も消えてしまう。そういうことを表現したかったんですよね。今までは自分の体験をもとにして、曲を作ることが多かったので、完全に自分以外の人で作るのは初めての試みでした。

本多:あと、 曲自体にも新しい挑戦があって。後ろでキーボードが鳴ってるっていうのも、僕たちにとっては初めてのことなんです。キーボードは、彼(オザキ)が弾いてるんですよ。

オザキ:デモにキーボードが入ってるから、イトちゃんに"これ、誰が弾くん?"って聞いたら、"リョウ君やって"と言われて。"なんで!?"ってなりました。

-鍵盤を習ってたことがあるんですか?

オザキ:小学生のときに、1年間ぐらいやってた程度ですね。大変でした(笑)。

-個人的には、ザ・モアイズユーの曲って、ストリングスやピアノを加えたら似合いそうだなと感じる曲が多くて。3ピースだけど、いつかいろいろな楽器を入れたアレンジにも挑戦していくバンドなんだろうなとは思ってました。

以登田:いずれはやっていきたいと思ってましたね。

本多:昔から、ピアノとか、キーボードを入れたいなっていうのはありましたね。前作に関しては、あくまで3ピースの良さというか、この3人だけで完結できるかっこ良さを主体してやってたんですけど、今回の配信は、垢抜けた表現にも挑戦したいと思ったんです。

-その第一歩目になるのが「悲しみが消える頃」ですね。

本多:そういうことです。

-最後に11月にリリースされるのが、「19」。原点に、青春パンクがあるバンドっていうのを思い出させてくれる曲ですね。速い、激しい、熱いっていう。

本多:やりましたね(笑)。これは、無茶したろっていう感じでやったので、言葉数がすごく多いんですよ。「すれ違い」は、ライヴでノリやすくて盛り上がるのを意識したんですけど、「19」に関しては、力で押し切る。拳を突き上げる感じというか。激しさの中でも違う種類を出したかったんです。メロディを聴かせるっていうのは大前提なんですけど、それを度外視するようなパワー・ソングを作りたいなっていう感じで作りました。

以登田:今までとは違う攻めた曲ができましたね。

本多:だいぶメンバーの消費カロリーも多いかなっていう。

以登田:大変やな、これも。

本多:ドラムとか大変なことになってる。

オザキ:あの速さの16ビートを延々に続けるのは地獄ですね(笑)。

本多:機械だったらテンポもズレずに上手にやってくれるけど、人間がやると、こんなに大変なんやなって、スタジオで見てて思いました。でも、修正はしないっていう。

-そこは、やっぱり勝負したかった?

本多:このギリギリ感がいいなっていうのはあったんですよね。

-タイトルは"19"ですけど、19歳のときに作ってた曲ではないですよね?

本多:ではないですね。19歳って大人でも子供でもない自分に対しての葛藤がある年代だと思うんです。気持ちが揺れ動くことも多いけど、ただ、芯はある。自分を持ってるっていう部分は書きたかったんですよ。だから、周りから良くない言葉を投げ掛けられても、悲観はないっていうか。自分で前に進むっていう決意だけは持ってるんですよね。

-これは19歳の頃の自分の心境を思い出して書いたものなのか、それとも、今でも自分が持っている心境でもあるのか。

本多:そうだなぁ......両方ですね。その頃の気持ちが今も変わらずに自分の中にあるので。その部分を改めて書いてみたっていう感じですね。

-なるほど。今回の4曲は、以登田さんが作った「すれ違い」と「悲しみが消える頃」がラヴ・ソングで、本多さんが作った「環状線」と「19」が自分を奮い立たせるような曲っていう意味では、ソングライターごとに曲の性質が見事に分かれましたね。

本多:そうなんですよ。特に、自分たちでそうしようねって意識して棲みわけをしたわけじゃないんですけど。他にもいろんな曲が候補として挙がった中には、僕が書いたラヴ・ソングもあったし、イトちゃんが書いた、自分自身を鼓舞するような曲もあったんですけど、自然と自分たちが得意なカラーの曲が選ばれた感じですね。

以登田:結果的に幅広い楽曲が揃いましたね。

-たしかに幅は広いけれども、この4曲を通して、ザ・モアイズユーが何を歌いたいバンドなのかっていうのは、前作以上に強く浮彫りになったような気がします。

以登田:どれも、満たされてないんですよね。現状に満足できてない自分がテーマになってて。

-ええ。完全にはなれない自分の欠落感や枯渇感、喪失感が根底にある。

以登田:自然と、そのテイストが入っちゃう感じはありますよね。

本多:本当に生きてるなかで、ずっと思ってることなんです。その満たされない気持ちっていうのが、僕が音楽をやるきっかけやったやろうし。それは、どの曲にも出ちゃいますね。

-音源を聴いても思いましたけど、話を聞かせてもらっても、改めて今回の新曲たちは、前作から約1年3ヶ月間を経たバンドの進化とチャレンジが詰まった4曲だと思います。

オザキ:これからも、いろいろなことにチャレンジはしていきたいですよね。チャレンジしていくなかで自分たちだけのオリジナリティを探していきたいし、曲のキャッチーさ、メロディの良さを突き詰めるっていうのも変わらないんです。あと、やっぱり僕らはロック・バンド育ちなので。ライヴ感を大切にするっていうのもテーマですね。

-そういえば、オザキさんって前回のインタビュー(※2019年4月号掲載)でも、締めのひと言で"ロックって"という言葉を出してましたね。

オザキ:やっぱりそういうのが根っこにあるんですよ。

-メロディの良さ、耳馴染みの良さからすると、ザ・モアイズユーは"ポップ・バンド"とも言われがちだと思いますけど、あくまでロック・バンドであるっていうのは譲れない?

本多:もちろんポップで耳馴染みのあるメロディが好きだったりするんですけど、自分たちがやるっていうときにどうしても、かっこいい感じというか、ロックな感じが好きなんやろうなっていうのはあるんです。きれいな感じに、うまいこと収まるっていうのにはならず、3人ともどこかでハミ出していたいっていうのはありますね。

以登田:うん(笑)。

本多:今回は、たくさん新しい挑戦をすることができたので、これからも自分たちなりにテーマをもってやっていきたいです。聴いてもらえる人を、どんどん驚かせたい。

以登田:最近、聴き手のことを大事にしたいってすごく思うんです。コロナのことで、ライヴができなくなって。今までライヴって、言い方が悪いかもしれないけど、当たり前のようにできてたんです。それができんくなったときに、お客さんと触れ合うこともなくなって。そこをもう1回見つめ直して、僕らが存在できるのは、リスナーがおってやなっていうのがわかったので、今後その人たちを、どう満足させられるかっていうのをもっともっと追求していきたいです。

4ヶ月連続配信リリース

「すれ違い」
8月26日配信

「環状線」
9月16日配信

「悲しみが消える頃」
10月21日配信

「19」
11月18日配信

初の全国流通盤『想い出にメロディーを』から約1年4ヶ月ぶりとなる、大阪発の3ピース、ザ・モアイズユーの新曲は、4ヶ月連続の配信リリース。恋に臆病な情けない男のダンス・ナンバー「すれ違い」を皮切りに、誰かと比べてしまう弱さと葛藤するギター・ロック「環状線」、初めてキーボードを取り入れた繊細なバラード「悲しみが消える頃」、若さゆえの無敵感がアグレッシヴなロックとマッチした「19」という幅広い楽曲が並ぶ。特筆すべきはソングライティング、アレンジ、演奏など、あらゆる点でバンド初のチャレンジを盛り込んだこと。決して同じ場所には留まらないというバンドの意地を滲ませつつ、"完璧にはなれない自分"を歌うという変わらないスタンスも貫かれているところがいい。(秦 理絵)


2020.08.25 YouTube無料生配信ライヴ

※8月26日(水)23:59まで限定公開