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INTERVIEW

Japanese

ザ・モアイズユー

 

ザ・モアイズユー

Member:本多 真央(Vo/Gt) 以登田 豪(Ba/Cho) オザキ リョウ(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-曲ができたのは、リリース順ですか?

本多:細かくは覚えてないんですけど。でも、「すれ違い」は最初でした。当初、配信シングルを出すにあたっても、表題曲のつもりで作ってたので。まずは、「すれ違い」をメインにして、あとは、同時進行で進めていきましたね。

-まず、8月にリリースされる「すれ違い」は、まさにライヴを重ねてきたバンドの熱量がそのままパッケージされた曲ですね。ライヴ感を意識して作ったんですか?

本多:そうですね。今までもアップテンポな曲はあったんですけど、もっとノりやすいというか。リズムを全面に押し出したアップテンポな曲を作りたいっていうテーマがあったので。3分半を16分音符で押し切る、みたいな感じですね。

以登田:僕らの楽曲の幅を広げたいなっていうのはあったんですよね。

本多:重くて太いっていう、ロックな感じの音作りに仕上がってます。

-ギターの聴かせどころもいいですね。本多さんって、歌がフィーチャーされがちなギター・ヴォーカルだと思うんだけど、ギタリストとしての見せ場を作ったのは新しい。

本多:それも、さっきの話に通じるんです。最初に打ち込みで作ったから、実際にスタジオに入って"じゃあ、これで演奏するか"ってなったら、難しい難しい(笑)。歌いながら弾くのはめちゃくちゃ大変だなって、途中で気づいたんです。だからと言ってやめるのはあかんなっていうのはありましたね。ギターも攻めたい、歌も攻めたいってなったら、強制的にパワーアップせざるを得なかったんです。

-歌詞のテーマは「すれ違い」ですけど、一聴して主人公象が目に浮かびますよね。"恋愛なんていつだって負け戦が大抵で"っていうフレーズとか。

以登田:情けない男ですよね。伝えたい言葉にするのも億劫で、行動にも移せないっていう。僕自身が、そういうタイプなんですよ。最初から最後まで、何も行動できてないですからね。自分の頭の中で考えてるだけで。"結局、お前はなんもせんのかい!?"っていう。

本多:どこにも行ってないからね(笑)。

以登田:この曲の歌詞については、1回できては、もっとこうしたほうがいいんじゃないか? って何回も書き直したんです。結構韻を踏んでるので、ちゃんと意味を通しつつ、言葉を選ぶのに悩みましたね。歌詞ができたのは、最後でした。

本多:レコーディング当日に完成したぐらいだったよね。

-ザ・モアイズユーらしくも新しい曲だと思います。で、9月にリリースされるのが「環状線」。疾走感溢れる爽快なポップ・ナンバーです。

本多:4曲の中では一番シンプルな曲ですね。他の3曲では、今までにないことに挑戦しようと思ったんですけど、この曲に関しては、今までのザ・モアイズユーらしさも絶対に崩したくないなっていうのもあったので、シンプルにいいメロディで作るっていうことを意識して、音を重ねすぎないスタイルになっていると思います。

-歌詞が強い曲だと思いますけど、もしかして、詞先だったりします?

本多:いや、僕はメロディと歌詞が両方というか同時みたいなことが多いんですけど、これはサビからですからね。最初、"環状線"っていう言葉がすごく残るなと思ったので、そこから広げていきました。

-本多さんは、前作(『想い出にメロディーを』)でも電車をテーマにした曲を作りましたよね?

本多:「トーキョー・トレイン」ですね。

以登田:電車、めっちゃ好きやなぁ。

本多:電車って、なんか切なくない?

以登田:エモいな(笑)。

本多:なんでしょう、車とか自分で歩くのとは違って強制的に移動していくというか、自分の意志関係なく乗った瞬間に連れていかれる感じなのかな。

-わかる気がします。そこに、赤の他人同士が乗り合わせてるところとかも。

本多:ひとりひとりにストーリーがありますからね。

-ちなみに、本多さんのイメージでは、地元の大阪環状線ですか? 山手線じゃなくて。

本多:そうですね。山手線には乗ったことがないです(笑)。環状線って、基本的にぐるぐる回ってるから、それが毎日同じことを繰り返す日々の葛藤と重なったんです。これは、誰かに向けてっていうよりは、自分を鼓舞する曲というか。繰り返す日々の中だからこそ、見つけたものがあるっていうのが、最終的に辿り着けた答えです。

-"弱い自分を認めたその中で/光った思いを強さと呼ぶんだろう"のところですね。

本多:そう、そこは気に入ってます(笑)。そのCメロに辿り着くまでは、ずっと迷ってるんです。僕は、他人と比べて、自分には誇れるものがないなと思ってしまうんですね。でも、他人と比べて何もできてない自分、誇れるものがない自分やからこそそういう人の気持ちがわかる。歌ってあげれることがあるのかなっていう気持ちですね。

-歌にしたことで、他人と比べてしまう自分との葛藤に決着につきましたか?

本多:うーん......今後も、絶対に他人と比べてしまうだろうし、自分自身を認められないっていうところは変わらないんやろうなとは思います。でも、だからいいというか。弱いやつやからこそわかる気持ち、見える気持ちもあると思うので。何かを"乗り越える"じゃなくて、"目線を変える"っていう、自分のあり方が見つかった感じですかね。