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LIVE REPORT

Japanese

alcott / ザ・モアイズユー / イロムク / ab initio

Skream! マガジン 2019年07月号掲載

2019.06.12 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 秦 理絵


トップバッターは、昨年11月にLINE RECORDSからのデビューを果たした4人組バンド、ab initio。1曲目「幸せのヒント」からポップなメロディが紡がれると、乃村Nolanのギターが優しくメロディに寄り添う。その歌にどっぷりと浸るようにベースを弾くナガハタショウタの表情もいい。MCでは、LIVEHOLICは中村勇介が初めてab initioでドラムを叩いた、思い入れのあるライヴハウスだと語った宮崎優人(Vo/Gt)。"戦っているみんなの心に温かいものを届けられたら"と歌い出した「傷つけ合う僕ら」など、一曲一曲丁寧に曲に込めた想いを伝えながら届けた楽曲は、どこまでも聴き手の日常に寄り添う温かい音楽だった。


"僕はここで素晴らしい出会いをしました"という藤沼 健(Vo/Gt)のMCからスタートしたイロムク。5年前、同じビルにあった屋根裏というライヴハウスで、現在のギターの辻 秀和と出会ったという。"今からそいつの歌をやります"と言って、感情ダダ漏れの演奏をぶちまけた「羊のうた」からライヴがスタート。"大事な人を奪ったバンドの歌"と紹介した「生(きてる)ゴミ」など、イロムクの歌には、なぜ、誰に、何を歌うのかが明確にある。離れてしまった人への愛を歌ったラスト・ソング「シャンプー」まで、嫌いも激しければ、好きも激しい。そんな藤沼のソングライターとしての激情が浮き彫りになるステージは、歪で美しい人間臭ささが浮き立っていた。


本多真央(Vo/Gt)が紡ぐセンチメンタルなメロディが夏の切ない恋のワンシーンを描き出す「花火」から幕を開けたのは、大阪発のザ・モアイズユー。中盤、ガタンゴトンと走る列車の疾走感をドラムで表現したような「旅は続く」から、「トーキョー・トレイン」、「桜の花びら」という"旅立ち"をテーマにした楽曲を繋ぐ流れが素晴らしかった。決して長くはない持ち時間の中で、聴き手の心に訴えるストーリー性を生み出そうとするところに、このバンドの誠実な人柄も滲む。MCでは"人生のほんのひと粒の光でもいいから、みなさんの中に残り続ける音楽を届けたい"と伝えた本多。最後に熱唱した「光の先には」は、そんなバンドの決意がまっすぐに綴られていた。


トリを飾ったのは、豪快な笑顔が似合う神戸出身の4人組ロック・バンド、alcott。"花占い"をモチーフにした歌い出しが切ない「告白記」からライヴが始まると、"ラブラブしようぜ!"という掛け声で突入した陽性のパーティー・ナンバー「予報外れのラブソング」など、祝祭感のあるロック・サウンドがフロアを一斉に踊らせる。MCでは、LIVEHOLIC 4周年を記念して、「ハッピバースデートゥーユー」を歌い出した貴田宰司(Vo/Gt)。"ありのままでいたい、ずっと自分に正直に生きていけたらと思います"と伝えたラヴ&ピースな「FUN」まで、誰もが笑い合うために生きている、そんな日常への架け橋になるようなステージには、熱い人間愛が溢れていた。

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