Japanese
Non Stop Rabbit
2019年02月号掲載
Member:矢野 晴人(Vo/Ba) 田口 達也(Gt/Cho) 太我(Dr)
Interviewer:秦 理絵
叩かれるっていうことは正解を歩んでるなって思えるようになったんですよ。みんなが否定したがってるってことは、俺らは合ってる
-たしかに明らかにバンドとしてバージョン・アップした作品だと思います。タイトルの"自力本願"っていうのも、かなりメッセージ性が強いですし。
田口:アルバムを作るってなった時点で、なんとなく"自力本願"っていうワードはあったんですよね。いっぱい聴いてもらえるようになったし、見てもらえるようになったからこそ、何人に否定されるかとか、何人にいいって言われるかじゃなくて、何人に何を言われても、自分たちがこれでいいと言えるってことを意識して作ったので、それはできたかなと思います。やっぱり......結構否定的なことも言われるので。
-"YouTuberバンド"という活動について?
田口:うん。世間って新しいことが嫌いなので、新しい奴が現れると叩かれるんです。でもあるときから、叩かれるっていうことは正解を歩んでるなって思えるようになったんですよ。否定したがってるってことは、俺らは合ってる。だからそのまま進んでたら、俺らは抜けられるっていうのは、去年、感覚として覚えたんですよね。
-今音楽シーンで活躍してる人たちも、登場したときは異端児だった人が多いんですよね。でも、それを周囲に認めさせて、トップ・アーティストになったというか。
田口:そうなんですよね。
-最初にアルバムを作る時点で"自力本願"という言葉がなんとなく浮かんでたというのは、どういうことだったんですか? これは造語ですよね。
田口:自分たちで動いたことによって、他を巻き込んでいけるなと思ったんですよね。自力本願を貫いた奴が、他力本願を利用できるなっていう感覚になったんです。他力本願っていう言葉は、一般的にはいい意味じゃないと思うんですよ。
-"他人任せ"みたいな意味で使われますもんね。
田口:だから自力本願っていう言葉も、最初はネガティヴに届くとは思うんですけど。僕が言いたい自力本願は、自分の力を本気で信じて願えば、形になるっていうことなんですよ。さっきも言ったように、俺たちが俺たちを信じ続けた結果、今があるから。他力本願っていうネガティヴを潰してやろうぐらいの勢いですね。それで、1曲目の「アンリズミックアンチ」は自力本願っていうタイトルをもとに作ったんです。
-なるほど。
太我:前回の『全A面』が爽やかで、キラキラとした売れ路線みたいな曲が多かったんですけど、今回はドッシリした曲が多くて。BPMも一番刺さるような曲が多いんですよ。歌詞もダークだし。『全A面』でいいなと思った人たちに、さらに"あ、こいつらガチだ"みたいな感じで思ってほしいんです。
-ひと言で言うと、前回の『全A面』はJ-POPな作品だったんですよね。で、今回はロックだなと思う。そのへんの方向性はどう考えてたんですか?
田口:『全A面』を踏まえて、もっとバンドの音を前に出していこうと思ったんですよ。
-前作のときと言ってることが違いますね(笑)。
太我:たしかに。"メロディだけ聞こえればいい"って言ってましたよね。
矢野:だから、それが届いたうえで、だよね?
田口:ちょっと目立ちたくなったんですよ、俺らが(笑)。歌が上手いのはわかってるけど、次、俺らの番でもあるよ? みたいな。やっぱり僕らとしても、YouTubeシーンに爪痕を残したいというよりは、今ロック・シーンで活躍してる若いバンドとか、フェスを盛り上げてるバンドに立ち向かえるような曲を作りたいなと思ったので。となると、ドラムとベースの音が大きくて、歌が際立ってなきゃいけないし、YouTubeをやってるからこそ、そういう同じ土俵に切り込んでいかなきゃいけない。"YouTubeやってるからって中途半端だと思うなよ"っていうのを、ちゃんと音で見せたいなと思ったんですよね。
-ノンラビ(Non Stop Rabbit)って戦略的なところもあるけれど、よりロック・バンドとして純粋な欲求に向かって進んでる感じがしますね。
田口:うん、そうだと思いますね。
-曲作りのやり方としては、田口さんがアイディアを出して、デモを作っていくというのは変わってないですか?
田口:変わってないですけど、『全A面』を作ったことで、メンバーの生かし方がわかったような気がして。ここはこうしたいから、こう作っておこうって、デモを作る段階から考えるようになったんですよ。だから、しんどすぎる曲はなかったと思います。息継ぎがないぐらいメッセージを届ける曲もないし。このぐらいが、こいつ(晴人)が生き生きと歌えるところだなっていうところとか、こっちの方が太我の良さが出るなとか。しっかりメンバーの個性を詰め込めたと思います。
矢野:だから今回は歌いやすかったですね。Aメロを聴いた瞬間に歌えてるんですよ。っていうことは、僕じゃなくても歌えるってことだと思うんですよね。特に「アンリズミックアンチ」とかは、すごく覚えやすい曲だと思います。
-太我さんのドラムも生き生きしてますよね。
太我:今回は手数を詰め込みましたね。上手いドラムほど、ドラムを詰め込まないものだと思うんですよ。でも、今回はドラマー10人が"ダサい"って言うよりも、素人1,000人にかっこいいって言われるように叩きました。わかりますか?
-わかりやすく派手なプレイを入れてるんですよね。「たまに死にたくもなるでしょ」とか。
太我:あの曲はわりとやっちゃってますね(笑)。けど、サビではシンプルにするっていうのは、うちの中の掟がありますね。
-前回は歌始まりでイントロなしの曲も多かったけど、今回はイントロでしっかりギターのフレーズを弾いてる曲も多いですよね。
田口:そうですね。でも、改めて自分は曲全体を作るのが好きなんだなと思いましたね。シーケンスを鳴らしてるような感覚でギターを弾いてて、イントロも歌に繋ぐためのものというか。ギタリストとしてよりも、作曲家としていいものを作りたいんです。
-リード曲は「乱気流」になるんですか?
矢野:そうです。今回、この曲は本当に2~3年前......だから結成当初、なんなら結成する前ぐらいに作った曲だったので、それをリードで入れるのは正直不安だったんですけど、化けたなっていう感じがしましたね。『全A面』に入れてたら、こういう形にはなってなかったと思うんですよ。
田口:今回、「君と最後に選ぶ言葉」とか「乱気流」、「たまに死にたくもなるでしょ」は同じ時期にできたんです。前作の「PLOW NOW」と同じ時期だったと思います。「たまに死にたくもなるでしょ」は一度フルで出してたんですよ。ライヴハウスでお客さんが5人ぐらいしかいない時代に、デモで配ったりして。今とメロディとか歌詞が一緒だったんですけど、アレンジはだいぶ変わりました。あのときは表現できなかったものが、こんなに表現できるようになってるんやっていうのを感じてます。
太我:その当時よりも、ちゃんと心を込められた感じはしますね。
矢野:前のデモは聴けないですね。ちゃんといろいろなことを吸収できてるんだなっていうのを、改めて感じました。「たまに死にたくもなるでしょ」はセリフのところがあるんですけど、そこは録り直してないんですよ。3年前に980円のマイクで録ったやつなんです。
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