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INTERVIEW

Japanese

コレサワ

コレサワ

Interviewer:沖 さやこ

-それぞれで主人公の生き方を綴っているけれど、それを全面肯定するでもなく、だからといって否定するでもない、という視点を持っている印象がありました。

そうそう、そうですね。私は"正しいことなんてないから、その人がいいと思うことをやればいいやん"と思っているタイプなので、その人それぞれの生き方で幸せになってほしいなと思うんです。応援ソングだと"アーティストから聴く人に与えるもの"という印象があるんですけど、私の曲は聴く人それぞれが自分の気持ちに当てはめて妄想できるようにしたいんです。私発信の歌詞が多いのはそれが理由ですね。

-歌詞で物語を作るのではなく、コレサワさん発信にすることは必須条件?

やっぱり、自分が考えていることや思っていることと真逆のことを歌っても、気持ちが入れられないから。曲それぞれのシチュエーションで"私だったらこうする!"と思うことを歌詞にしていく方が楽しいです。『コレでしょ』は聴いてくれた人が"これは私だ!"と思える曲が、必ず1曲はあると思う。それを探してもらえたら嬉しいですね。

-まさしくキャッチフレーズどおり"女子の味方"ですね。

はい! そうです(笑)! 私は女の経験しかないので、女の子の気持ちしか書けないし。でも「泣く門には福きたる」は男の人も自分を当てはめられる曲になったんじゃないかな。これはドラマ"うつヌケ"の主題歌の書き下ろし楽曲なのですが、"うつ病を抜けたあとの清々しい気持ちを曲にしてほしい"というオーダーのもと作ったので、今うつの方、うつを抜けた方、うつの方を支えてきた方にも聴いてほっこりしてもらえれば、そういう人たちの背中を押せるものになってほしいな、と思っています。

-先ほど"笑わせたい"とおっしゃっていたように、どんな感情も持ち前のユーモア精神でポップにしてらっしゃるなと思います。わかりやすい言葉でサラッとグサッとエグめのことを言うのも、ポップだから許されるところがあるなと(笑)。1曲目からいきなり"彼氏はいません今夜だけ"という歌い出しはパワー・ワードすぎますよ。

でもみんな合コンで"彼氏いるの?"と聞かれたら"今夜はいません(笑)"って言うみたいですよ? 私のお母さん世代が使ってたのかな。小さいころから頭にこびりついている台詞なんです。

-そう言われると、バブリーな時代の女の子がその台詞を言っている絵が浮かんできました。

私は阿久 悠さんが憧れの人のひとりで。ピンク・レディー(※多くの楽曲の作詞を阿久 悠が手掛けた)はどの曲の歌詞も強気な女の子が主人公で、男を手玉に取る、男にすがらないところがすごくかっこいいと思うんです。"地球の男に あきたところよ"(※ピンク・レディーの楽曲「UFO」の一節)なんて、めっちゃしびれます。私のお母さんがディスコ世代というのもあって、サウンド感やメロディ感を自分なりの90年代に寄せてみました。

-なんだかんだ言っても、シンガー・ソングライターが浮気心を歌うのはマイノリティだなと思います。

でも、あれだけTVで不倫とか浮気とか取り上げるって、みんながそういう話題を好きだからだと思うんですよね。浮気した人のことを叩く人が浮気したことないかというと必ずしもそうじゃないと思うし、自分はできないぶん誰かがやってくれたらああだこうだ言う人もいるんじゃないかなって。だからみんな浮気話が好きなんですよ(笑)。結局"あいつとあいつが付き合った、別れた"という中高生の恋バナと同じなんだと思います。

-そういう意味ではマジョリティかも......。パワー・ワードと言うと、「いたいいたい」の"昔ちょっとキスしたあいつ"もそうですね。黒歴史じゃないですか(笑)。

そうなんですよ~。私この歌詞めっちゃ好きで。絶対みんなそういう相手がいると思うんです。この曲を聴いてみんなが黒歴史を思い出してくれたらいいですね。

-それはなぜ?

面白いじゃないですか。

-やっぱり"面白い"なんだ(笑)。女子の味方かと思いきや、封印した記憶を呼び覚ますちょっといじわるな茶目っ気を出してくるところがコレサワだと。

みんなが昔ちょっとキスしたあいつを思い出して困ってくれたらいいな~。そういうときの顔って人間臭くて面白いから。私いけず(※関西方面の言葉で"意地悪"の意)なのかもしれない!

-そういうドキッとさせる歌詞も、キャッチフレーズ的な短さだからユーモアの範疇に収まるし、ポップに響きますよね。同時にそれがコレサワさんの曲にパワー・ワードが多い理由にもなっていると思います。

そうだったらいいな。