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INTERVIEW

Japanese

瀧川ありさ

2018年07月号掲載

瀧川ありさ

Interviewer:吉羽 さおり

-その大人っぽさというのは、作品全体にも意識されていたことですか?

今までは、タイアップで作品に寄り添って作ることも多かったので、今回は、より自分らしさを出すという想いがありました。見え方にしても、今まではアー写のイメージとかで、もうちょっとこう、大人しい感じに見えたりとか(笑)。

-淡く、キラキラとしたイメージも多かったように思います(笑)。

大人になり切れていないイメージもあるのかなとも感じたので、今回はアー写も含めて、等身大の自分になりたいなというのは意識しましたね。

-今回アートワーク含めて、印象はぐっと変わりました。そういう意識で、言葉を紡ぐのもスムーズになりますか?

そうですね。この「night light」は初めてセリザワケイコさんという作詞家と共作で作詞をしたんです。前回のツアーでは自分の歌詞でやっていたんですけど、そこからもう一歩、今聴いてくれているリスナーの方だけじゃなく、まだ私の歌を知らない方にもさらに踏み込んで届けていきたくて、言葉を紡いでいる方と一緒にやってみたいと思って。セリザワさんも偶然ですけど東京出身で、すごくウマが合ったんで。なんか飄々としてる感じも似ていたので、いろいろ言葉を交わしながら一緒に作っていった歌なんです。それがすごく新鮮でしたね。自分だけでは生み出せなかった言葉が多いなと思いましたし、自分はこういうことを言いたかったんだなということも、一緒にやることでわかって。

-サビのさりげない都会の描写なんて、とてもいいですよね。

サビは非常に考えました。はっきりと言いたくなくて、でもちゃんと包み込むように言いたいなっていうのはあって。セリザワさんと、その塩梅が難しいよねって言いながらやってましたね。自分の心地いいバランスが取れるものとなって、すごく満足しています。

-次のとてもビターな雰囲気の「Gentle rain」はいかがですか?

これは今までもあったような、ライヴを意識した曲ですね。自分ではすごく雨の曲が多いなと思っているんですけど、東京の雨ってなんというか、降ったあとも臭いしイヤな感じがするじゃないですか(笑)。

-たしかに、そうですね。

あとは、デビューしてから晴れ女っぽくなったんですけど、10代のころは何かと雨が降っていて。雨男や雨女の文化って、日本だけらしいんです。それは面白いなと思って。曲の中では──これは解釈にお任せするんですけど、例えば、雨男の人がいて、彼は好きな子といるといつも雨が降ってしまうと。その子は、雨だなってイヤな顔をしていて(笑)。彼は自分のせいで雨が降っているんだけど、それを言わずに傘を差し出すことで、自分が何かしてあげている感を出せる。

-なるほど(笑)。

自分が降らしているくせに、その子に何かしてあげている感を演出するっていう話があったら、面白いなって思って。

-それで"僕はずっと優しく君に降る雨になろう"と。

そうなんですよ。雨男の人って、そういう発想するんじゃないかなと思って。"俺、雨男なんだよね"って言っちゃうと、マイナスイメージじゃないですか。じゃなくて、雨が降って、ちょっと傘を差し出せるジェントル感(笑)。それをうまく恋愛に利用したらどうなるかなっていうのをシリアスに描いてみました。

-そうだったんですね。なぜ、"あなたの太陽"でなく、雨なんだろうなと思ってました(笑)。

ですよね。でも雨って、悲しいイメージがあるんですけど、印象や記憶に残るじゃないですか。"あの日、雨降っていたなぁ"とか"あの子といたとき、土砂降りだったよね"とか。意外と、あとあといい思い出や切ない思い出になるなと思ったんです。それを"Gentle rain"="優しい雨"というタイトルにしました。

-その話を聞くとさらに、曲への入り口が増えますね。もっとポジティヴにも聴こえるっていうか。

意外とポジティヴなんです(笑)。畳み掛けるようなAメロとかも、早口言葉みたいになっているので。そこらへんもライヴで楽しんでもらえたらいいなと思ってますね。