Overseas
KASABIAN
Member:Sergio Pizzorno(Gt/Vo)
2004年にデビューして以来、名実ともに世界的ロック・バンドにまで成長したKASABIANが、前作から3年ぶりとなるオリジナル・アルバム『For Crying Out Loud』をリリースした。本国イギリスでも5作連続でアルバム・チャート首位獲得を達成するなど、いまなお確固たる人気を見せつけた今作は、失われつつあるギター・ロックの権威すら背負う覚悟を持った作品だ。これまでのロックとこれからのロックを繋ぎ合わせる、勇敢なバンドの最新作について知るベく、作詞作曲からプロデュースまでを手掛けるSergio Pizzornoへ行ったインタビューをお届けする。
-アシッド・ハウスやダンス、エレクトロ、ヒップホップの要素もふんだんに盛り込まれていた前作『48:13』に対して、この新作『For Crying Out Loud』はギター・ロックに再び立ち返った最高のロックンロール・アルバムということになるかと感じたんですが、まずはあなたの本作に対する手応えを聞かせてください。
最初から、王道ギター・ロックの作品を作ろうと思って制作を始めたんだ。しかも、時間をかけずに短期間で作りたいと思った。スタジオに入って、曲を書いて、それを録って出す、という昔ながらのやり方でね。で、その最初に決めたプランどおりの作品ができたと思っている。できあがったものには満足しているよ。自分が抱いていた感覚だ。このアルバムは純粋にその感覚を表している。いろいろ試しながらも、原点に立ち返って最高のギター・アルバムを作りたかった。久しく作られていないからね。
-"久しく作られていない"ということですが、それがロックンロール・アルバムを作りたいと思ったきっかけ、動機だと?
そうだね。今多くの人の耳に響いているのは違う音楽だ。それはそれでいい。でも、そろそろいいんじゃないかって思った。いい加減ね。君はどうかわからないけど、俺はもっと生々しい音だったり、ディストーションのかかった音が聴きたいし、嘘偽りのない、心から鳴らされる音が聴きたい。機械の音じゃなくて人間が鳴らしている音をね。
-あと"時間をかけずに短期間で作りたかった"というのはなぜでしょう。
前作があまりにも濃密な作業だった。スタジオに何時間もこもっては、ループを何度も聴き返したり、サウンドの実験を繰り返した。今回はそれをやりたくなかったんだよね。最高の歌を書いて、それをできるだけ早く録りたかった。そうすることで、純粋な感覚を形にしたいと思った。高揚感のある、ポジティヴで希望に満ちたアルバムにしたかったんだ。
-本作のコンセプトはいつどのように組み立てられてきたものなんですか?
スタジオには常に出入りしているし、いろいろなアイディアは飛び交っている。で、実際に本腰を入れたのは去年の頭だ。6週間と期間を決めて、曲作りを行った。そこで10曲書いて、少し休暇に出掛けたんだ。戻ってきて、できた曲にさらに磨きをかけ、プロデュースをして、よりKASABIANらしい音にしていった。それから年の終わりにかけてあと2曲追加で書いた。「Bless This Acid House」と「Ill Ray (The King)」だ。そんな感じで完成したんだ。
-今作も全曲あなたの作詞作曲、プロデュース作ですよね。これまでの作品と比べて新たに試したことがあったとしたら? また、プロデュースにおいてどんな点に最も重点を置きましたか?
今回は原点に戻る、というアプローチをとった。だから、ハーモニーとメロディ、そして曲の構成に重点を置いたんだ。MotownのBerry Gordy Jr.的なアプローチを心掛けて、完璧な曲構成を目指した。適確で、完結で、直接的な歌、という発想に惹かれた。そこに今回一番やりがいを感じたよ。
-先ほど"KASABIANらしい曲にしていく"という話がありましたが、具体的にどういうことですか。
素晴らしいメロディや歌ができていたおかげで、サウンド面でより面白いことを試みることができた。最高のサビがあれば、それに頼ることができるからね。心掛けたことは、必要以上の楽器を取り入れずに音数を抑えることで、一番重要な要素である"歌"にしっかり焦点を当てることだった。アルバムの中で「Are You Looking For Action?」は誇りに思っているし、素晴らしいアルバムのセンター・ピースだと思っているけど、あの曲を手掛けたときが唯一アシッド眼鏡を掛ける感じで、思い切り、聴き手を旅に誘うアレンジを施した。他の曲はどれも"4分以内にすべて納める"と決めていた。そうやってルールを決めて臨んだことが今回すごく刺激になったよ。
-先行シングルの「You're In Love With A Psycho」はKASABIANの過去のシングル群の中でも際立ってポップでメロディアスなナンバーと言っていいんじゃないかと思います。この曲が生まれた経緯について聞かせてください。
ある朝、自然と口から出てきたんだ。ギターを手にしたら、流れるようにあの曲が出てきた。
-15分で書いてしまったそうですね?
そう。たまたま物事がうまくいく日だったんだろうね。どこから出てきたのか、なぜあの場で口ずさんだのか、自分でもまったくわからない。気づいたら歌っていた。最高だったよ。15分でだいたいできていたからね。サビの部分を聴き返してみて、思わず笑みがこぼれたんだ。なんて楽しい曲なんだって。悪意はまったくない。だって、誰にでも多少は邪悪な部分があるものだろ。すごく甘いメロディと美しいポップ・ソングに捻りのある歌詞という組み合わせが気に入っている。意外性があるのはいつだって好きだ。
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