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INTERVIEW

Overseas

KASABIAN

 

KASABIAN

Member:Sergio Pizzorno(Gt/Vo)

-作詞作曲、プロデュース、そのすべてを一手に担っているということで、行き詰まったりすることはなかったですか?

もちろん。でも明日にはまた新しい日が来る。何年もやってきて学んだんだ。物事がうまくいかないときは、いったん止めることだ。続けても、降り続ける雨に向かって叫んでいるだけで、何も生まれない。いったんその場を離れて中に入れば雨も降っていない。次の日には気持ちを新たに臨むことができる。"よし、何か掴めたぞ"って感じでね。

-他の人に助言を求めたりとか。

う〜ん、どうだろう。自分の場合、とりあえず音楽を聴くかな。そうすることで脳がリセットできて、解決策も見いだせる。他の曲をいろいろ聴くなかで、"なるほど、そうやればいいのか"ってヒントにも出会う。過去の名作や、感性を刺激してくれる音楽を聴くことが、音楽を作るうえで助けになる。気持ちや考えを切り替えるきっかけになる。

-本作の制作で最も苦労した点はどこですか?

手放すこと(笑)。いつものことなんだけど、どこで止めるかが一番難しい。だからリリース日が決まっているのはありがたい。締め切りがきたらそれ以上手直ししたくてもできないから。そのぶんギリギリまで何かしら手を加えているけどね。

-あなたはインタビューで"世の中的にはポップ・ミュージック、ポップ・スターはEd Sheeranなんだろうけど、俺にとってのポップ・ミュージック、ポップ・スターはCANのダモ鈴木なんだ"と言っていました。あなたは今の英国のポップ・ミュージック・シーン、また、ギター・ロックの現状についてどんな展望を持っていますか? また、そういう状況のなかでKASABIANの果たすべき役割は何だと思いますか?

今はポップ・ミュージックがシーンを独占していて、そのバランスは不当とも言えるほどの偏りだ。あらゆるメディアを占領している人たちとこっちは競わなきゃならない。勝ち目なんてないよ。これだけ偏っていたら。唯一できることがあるとすれば最高の音楽を作ることだ。最高の音楽であれば、人は見つけ出してくれる。すべてのラジオ局でかかるわけじゃないかもしれないし、優遇されることもないかもしれないけど、最高の曲を作れば、それは人の耳に必ず届くはずだ。今の市場が独占されている状況は、まさにメジャー・レーベルの思うツボだ。クリーンで、子供が喜ぶ、みんなが楽しめるもので占領されている。でもかつては、同じテレビの番組でも、NINE INCH NAILSとSPICE GIRLSが同等に扱われていた。あの世代の若者にとってはそれが良かった。少なくとも、ポップではない"亜流"にあるものに触れる機会があったから。そういうのを目にして、"違う世界が存在するって知ったからにはもうポップなんて聴けない"って思わせてくれた。つまりポップ・ミュージックとは違う世界があるんだってことを人に知ってもらうことなんだけど、それが今はなかなか難しい。

-ギター・ロック復権への担い手として周囲からの期待や自分たちの使命感は感じてますか。

あると思うよ。これまでもずっとそういう思いはあったし、自分たちの音楽が若い世代に何らかの刺激になればいい。長く活動してきたけど、他のバンドや、音楽にかかわらず映像作家、芸術家にも刺激になれたら嬉しいよ。

-ジャケットについて。なぜこのおじさんの写真を(笑)? グラフィックだった『48:13』からは真逆の方向に行きましたよね?

写真に写っているのはRick Grahamという、KASABIANのローディを14年間やってくれている人だ。"For Crying Out Loud"というのはそもそも非常に英国的な言い回しで、"何てこった"という意味なんだけど、それを書き出したときに、"思わず大きな声で叫んでしまうくらい揺さぶられる音楽"を連想してなんて素晴らしいんだって思ったんだ。で、それを表現するのに一番ピッタリの顔こそ、この70歳になる男だと確信したんだ。画家のFrancis Baconのインタビューを読んだことがあって、その中で彼は、友人しか描かないと語っていて、なぜかというと、その人たちの人となり、顔の表情や繋がりをすべて知っているからだと。俺も、このジャケットこそが人々を自分たちの世界に呼び込んでくれると思った。"これが俺たちの世界だ"ってね。"きれいな若い女性を載せなきゃだめだ"とか"かっこいいイメージを使わなきゃだめだ"とか、そんなのまっぴらごめんだ。俺たちはこの実に美しい70歳の男性の写真を(ジャケットを手掛けた)アーティストに渡して、それを核にジャケットを作ってもらったんだ。なかなか最高だと思っている。

-実際、彼は"For Crying Out Loud"とよく言うのですか。

いっつも言ってるよ! アンプを持ち上げようとして重すぎたりとか、誰かにぶつかったときに"For Crying Out Loud!"と叫んでるさ。

-ちなみに「Sixteen Blocks」はあなたのふたりの息子さんがシンセサイザーで参加してるようですね。お子さんはまだ小さいですよね? 参加のいきさつは?

学校から帰ってきたばかりでスタジオにやってきて、隅の方で、置いてあったシンセをいじり出して、ノブをめちゃくちゃに動かして遊んでたときの音が最高だったんで、それをそのまま使うことにしたんだ。

-8月18日、19日にはいよいよ"SONICMANIA 2017""SUMMER SONIC 2017"でのヘッドライナー来日が決まっていますよね。

そうそう。今から待ちきれないよ。

-今作のツアーはどんな内容になりそうですか?

純粋に高揚感と喜びで溢れたものになる。まさにレイヴ。正真正銘のレイヴになるよ。今のセットリストはすべて揃っているから特別なものになると思う。これまで長年積み上げてきたものもある。俺たちのライヴは最強だ。人生最高の夜を期待していてくれ。