Japanese
ReN
2017年07月号掲載
Interviewer:秦 理絵
-自分の中で可能性が広がりましたか?
うん。まぁ......でも、とりあえずいまは「Life Saver」(Track.2)っていう曲をいろいろな人が聴いてくれてることが単純に嬉しいんです。自分が音楽を作るときは、明け方の3時ぐらいにダンボールの上にべニア板を置いて――
-まだテーブルを買ってないんですか?
そうなんです。だから、今回うまくいったらまずテーブルを買おうかなと思ってます(笑)。そこで作ったものがインターネットで広がっていって、自分の知らない人が聴いてるんだなっていう現象を辿っていくと面白いんです。
-夢がありますよね、音楽には。
そう思いますね。これからも何が起こるかわからないから、次も一生懸命良い曲を作っていかなきゃなと思ってます。
-そういう意味で、今作でも何かを起こせればと思いますけど。正直に言うと、今回のアルバム『LIFE SAVER』を聴いたとき、"あれ?"と思ったんですよ。
というのは?
-それこそ「Life Saver」みたいにビートを強調したフロア・ライクなテンションで全体を作ってくるかなと思ってたんです。
そこは僕もすごく悩みました。僕は洋楽が大好きだから、アルバム全部の方向性をそれでいくっていうのもあったんです。でも、僕の中にもともとあるものはちゃんと残さなきゃいけない。そして、ここから先はもっと自分らしいサウンドを固めていかなきゃいけないと思うんです。それで"自分の本質は何だろうな?"っていうのを考えたときに、やっぱり僕はギター1本で歌うシンガー・ソングライターだし、ライヴで表現したい人間でもあるので。「Life Saver」みたいなノリのいい曲もありつつ、アコースティックの世界が匂うような曲をうまく両立したい。どっちに偏っても良くないなと思って作りましたね。
-なるほど。
正直、「Life Saver」は自分の中で意図せずにポンッとできあがったんです。
-前回のインタビュー(※2017年4月号掲載)で詳しく話してくれたのは、Ed Sheeranとの対談があって、実際にライヴを観に行ったことでできた曲っていう。
そうです。で、今回のアルバムで言うと、そこからさらに派生してできあがったものは「What I'm Feeling」(Track.1)だけなんです。「Life Saver」ができたことで自分の音楽の幅は広がったし、もっとこういう曲を増やしていきたいとも思ってるけど、でもやっぱりアコースティックな部分を追求していくっていう両方の表現をしていきたい。"こっちもできるよ、こっちもできるよ"っていう感じですよね。それが本当の意味でのシンガー・ソングライターなんじゃないかと思います。
-楽曲の幅を広げたいというのも、最近意識するようになったんですか?
偶然Ed Sheeranと会うことができたり、ONE OK ROCKと共演させてもらったり、たまたまいろんなことが重なって起きてるんですけど、それがなかったら、たぶん僕はずっと同じような音楽を作ってたと思うんです。自分がいたポイントから離れすぎたところで音楽を作りたくない。でも、いまはしっかりギターを手離さないで作ることが大切で。自分が好きな音楽にもいろんなスタイルがあるから、全部を固めすぎずにとりあえず噛み砕いてみて、それを自分の曲として表現していきたいんです。
-それがReNさんのブレなさですよね。私だったら「Life Saver」がうまくできたら、味をしめちゃうと思うんですよ。"今度からこっちの路線で作ってみるか"みたいな。
(笑)たしかに、またみんなが「Life Saver」を期待してくるだろうなと思ったから、「What I'm Feeling」っていう曲が出てきたんですけど。そこを自分が狙っていくのは好きじゃないんですよ。いままでの曲も何かを意図して作ってきてはいないので。何かを欲しいと思ってもすぐに(曲が)できないから、全然違うことを考えたときにポンッと探してたものが出てきたりして、それを聴いてもらったときに"かっこいいね"って言ってもらえることが多い。たぶん、僕は狙ったらハズす気がするんです。だから、たまたまできたものがもし受け入れてもらえるのであれば、そこに自信をもって作っていった方がいい。そこは僕も悩みやすいので難しいんですけど(笑)。
-悩みながら出した現時点での答えが今作である。
だから僕は、この1枚に納得はしてるんだけど、これだけでは僕の全部は表現しきれてないと思ってるんです。言ってもらったように、1、2曲目に入ってるものと途中の静かなものはまったく違う世界観じゃないですか。それをひとつのライヴで表現しなきゃいけないから、それができたらこの先また面白い作品ができるようになると思います。
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