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INTERVIEW

Japanese

ポタリ

2017年03月号掲載

ポタリ

Member:鈴木 奈津美(Vo) 中西 詠美(Gt) 内田 愛子(Ba) 茄子川(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-ポタリが何かということより、テーマ性を重視した理由は何だったんですか?

中西:やっぱりポタリっていうバンドに自分たちが自信を持てるようになったから、曲で勝負できるようになったんだと思います。常に良い曲を出し続けて、それがきっかけでお客さんを増やしていきたいというか。勢いも大事だけど、曲が本当に良くて胸を打たれるとか、そういう曲を作りたいって思ったんです。

鈴木:曲に自分たちの身を捧げられたよね。いままで譲れなかった部分も譲れたというか。"この曲すごくいいよね。あ、ポタリっていうバンドの曲なんだ"でいいというか。

中西:いままでは自分たちの見てる世界が狭かったなと思うんですよ。例えばYouTubeに曲をアップしたり、ラジオで流れたりしたら、まったく知らない人たちにも聴いてもらえるって思うと、もっと曲に自信を持っていきたいと思ったんです。

-その話を聞くと、いままでのポタリの攻め方とは全然違いますよね。

鈴木:いままでは、ずっと自分たちを模索し続けてきたんだと思います。

内田:「ハルノカゼ」(Track.1)は、ライヴとかでも自然に入れられる曲なんですよね。

鈴木:いままでは"これがいまの私たち心境です"って喋ってから、大事な曲をやったりしてたんですけど、そうやって変に煽らなくても、この曲は大丈夫なんです。

茄子川:こいつの持ち味が最強なんだよね。

-どのあたりが最強だと思いますか?

茄子川:久しぶりにストレートにできた気がするんです。音楽を聴く人って、すごく前のめりに"どんな曲なのかな?"っていうより、もっとなんとなくほわ~って聴くじゃないですか。それでも、どういう曲なのかが伝わるような言葉がいっぱい詰め込まれているなぁと思ってます。ふと聴いてもわかってもらえるから、最強なんです(笑)。

-演奏も歌が引き立つようなシンプルなものになってますよね。

茄子川:楽器も特別なことは何もしてないんですよ。歌を聴いてもらうっていうシンプルな感じは昔から変わってないから。歌詞が一番シュッと入ってくると思います。

鈴木:この曲は歌詞にこだわりがあって、最後まで花は咲かないんですよ。

-たしかに。"ほころぶ蕾たち"で始まるけど......。

鈴木:結局、最後まで咲かないんです。みんな人生の途中じゃないですか。それに対して、どうなるかまでは責任を持って全部言えないなと思ったんです。絶対にみんな花が咲くよとは言えないけど、その過程を大事にしてる曲だと思います。

-だから、この曲は春の曲なんだけど、むしろ冬の終わりであったり、時間の経過の方にも重きを置いた曲になってます。

鈴木:うんうん、そうですね。この曲を聴いてくれる人が、前向きに、明るく、春を迎えられるようにと思ったんです。なるべく、ポジティヴな気持ちで書きました。春って前向きにもなれるけど、必ず不安がある季節だと思うから。そういうところにも心地よく滑り込んでいける歌詞になればいいなって意識しましたね。花は咲かないし、蕾のままだけど、前向きになってもらえたらいいなと思える歌詞です。

-カップリングの「FLY HIGHER」(Track.2)の方はポップでワクワクするような曲調ですけど、これもメッセージ性が強い曲ですよね。

鈴木:実は、この曲はできたのが去年なんですよ。

中西:もともと有楽製菓さんっていう会社の"ブラックサンダー"の曲なんです。

鈴木:社内PR用のタイアップがついてるんですよ。例えば会社に新人社員さんが来たときに見せる資料用のビデオとか、そういうので流れる曲なんです。

-それを今回はリリースすることになったんですか?

鈴木:ちゃんと有楽製菓さんに確認しました(笑)。

茄子川:豊橋にある会社なんです。

鈴木:地元の会社なので、ポタリにお願いしてもらえて。20歳ぐらいのときからあった曲なんですけど、この曲を1年前に改めてリアレンジしたんです。だから、時間はすごく経ってるんですけど、サビの"今 明日へ向かって飛んで行け!"はずっと変わってないです。

内田:ここの歌詞は譲らなかったね。

茄子川:夜中の4時ぐらいにマネージャーとメンバーで話したね。

-どうして、この部分の歌詞で議論が起きたんですか?

鈴木:喋り言葉だし、日常的に使うような普通の言葉だから、サビの頭にしてはインパクトがないって言われたんですよ。

内田:それまでは"ラッシュアワー"とか"ナイショ ナイショ"とか――

鈴木:インパクトのある言葉が多かったから、"これでいいのか?"って話になって。でも、そこは譲れなかったんですよね。こんなにまっすぐ響く言葉はないんじゃないかと思うんですよ。これは"GOOD LUCK!"みたいな決め台詞にも匹敵するぐらいだと思うって朝方まで主張したんです。で、勝ち取りました(笑)! 4人の想いをひとつにして。