Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

LASTGASP

2016年11月号掲載

LASTGASP

Member:岡田 勇希(Vo/Gt) 小野田 稔(Gt/Cho) 高山 晴朗(Ba/Cho) 成瀬 陽介(Dr/Cho)

Interviewer:吉羽 さおり

今年7月にリリースした3rdシングル『GO e.p.』では、LASTGASPの新機軸たるファンキーでワイルドなリズム&ブルース的なビートを響かせて、信じた道を豪快に突き進むバンドの今を刻んだ4人。そこから4ヶ月でリリースとなるニュー・ミニ・アルバム『stair』は、様々な挑戦をしながら目の前の視界を広げ、遠くの人にも呼び掛けるようなパワフルな内容になった。バンド感を磨いたグルーヴの冴える曲や、ポップさを鋭く研ぎ澄ました曲も並び、彼らの持ち味の熱いメロディと新たなハーモニーを奏でている。肝を据えて、大きな一歩を踏み出していこうという思いが透けて見えるアルバムだ。

-昨年8月リリースの2ndシングル『Link』や今年7月にリリースした3rdシングル『GO e.p.』と、バンドとして大きく変化を遂げた作品を経てのミニ・アルバム『stair』が完成しました。現在進行形のバンドと、ここからまたさらに行くんだという勢いのいいエンジンとなる作品だと思いますが、どんなアルバムをイメージしていましたか。

岡田:今まではアレンジとかもすべて自分たちでやった曲がほとんどだったんですけど、今回は初めて、すべての曲にアレンジャーが入ったアルバムになりました。それが一番大きな違いでしたね。その中で自分たちができることも広がったと思うし、曲の幅としても、このアルバムでさらに広がったかなと思います。

-作り方としては、岡田さんとアレンジャーさんとで、まずは曲のデモを作り上げいくんですよね?

岡田:そうですね。今回は結構、スタジオにこもって。"どんな曲を作りたいか"というところから始まったんです。例えば、"洋楽っぽいこういう感じ"とか、そんなふうに作っていったので、今までにない感じになっていますね。

-前作『GO e.p.』はブラック・ミュージックを思わせるビートでバンドにとって新機軸の曲でしたね。今回、新曲として書き下ろしている曲がTrack.3「アンダースタンド」とTrack.5「羽根」です。「アンダースタンド」はこれまであまりなかったヘヴィなサウンドが際立っていますが、曲のイメージはありましたか。

岡田:ちょっと攻撃的な曲も欲しいなというのがあって。そこをテーマに、チューニングを下げたり、リフをメインにして動く進行にしたり、ラウドロック寄りの曲が欲しいなと思って作っていった曲ですね。

-ここまで重心の低い曲っていうのはあまりなかったんですか。

岡田:一応これまでにもあるんですけど、1曲くらいだったので、なかなかライヴでもやってなかったんです。もう1曲くらいあれば、ライヴでもできたりしますしね。

小野田:30分くらいのライヴのセットリストだと、なかなかその中でダウン・チューニングの曲を1曲だけ入れるのは難しいんですよね。

高山:たしかにね。

岡田:なので、今回新しく作りました(笑)。

-こういうアグレッシヴな曲は、バンド・アンサンブルとしても燃えるものが?

小野田:そうですね。スタジオでやっていても楽しいんですよね、リフがテーマになっている曲っていうのは。

高山:ベースとしては、あまりチューニングを下げると鳴らなくなっちゃうんですよね(笑)。

成瀬:自分が音楽を始めたときから聴いてきた音楽にドンズバな曲なので。やってて気持ちいいんですけど、速いんですよね。

高山:速い。LASTGASP史上、一番速い。

-スピード感だけでなく、ドラマチックな展開もある曲で。このヘヴィなサウンドと、迷いや葛藤、思いがせめぎ合っている歌詞の世界観というのはどう結びついていったんですか。

岡田:今までの曲にもこういった葛藤や、ダークな色味も入れていたんですけど。そのときよりもちょっと大人になった葛藤が、今回はありますね。以前の曲では、若く、夢や希望が溢れていて、その中でいろんな悩みがあったんです。言ってみれば、学生の感じ、ティーンエイジのもやもやとした感じがあって。でもそういう感覚とは違った、現実的な痛みや悩みになっているんですよね。そういうちょっとアダルトになった葛藤を、この曲には入れたかったんです。だからリアルなところで書いていたりはしますね。

-自分の行くべき道はわかっている、でもそこでも痛みや迷いはある。そういった内容ですね。

岡田:うん、そうですね。"こうだ"っていう自信は自分の中に持っているんですけど、それでもこういう歌詞になるときもあるというか。気の迷いみたいなことなのかな。

-そのリアリティっていうのは、どの程度自分自身と近いものですか。

岡田:だいぶ近いんじゃないですかね。基本、歌詞を書き溜めて曲に乗せるということをしないんです。曲ができて、そのときのことを歌詞に書くという感じなので。だからそのまんま、今の感じでもあると思います。といっても、今迷っているわけではないんですけどね。そういう日もあるよねっていうか、"あぁ、痛ぇな"って思うときもあるよねっていうのが込められたらなという。

-この1年くらいでも、アレンジャーが入って制作方法が変化したり、あるいはアニメの主題歌に抜擢(※『Link』がアニメ"弱虫ペダル"の主題歌になった)されたりして、バンドとしても大きくなっていくタイミングでもあって、きっとその中ではいろんなせめぎ合いはあったと思うんです。

岡田:まぁ、そうですね。