Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

EARNIE FROGs

2016年11月号掲載

EARNIE FROGs

Member:三木 正明(Gt/Vo) 尾形 悠妃(Ba/Vo) 寺尾 広大(Gt/Cho) 磯貝 祐香(Dr/Cho)

Interviewer:秦 理絵

名古屋を拠点にする男女ツイン・ヴォーカルの4人組ロック・バンド EARNIE FROGsが、今年4月に発表した1stミニ・アルバム『SURVIVE』に続き、約半年ぶりの新音源となるシングル『リアリティ』を11月9日にリリースする。表題曲の「リアリティ」はバンドのセッションを軸に尾形悠妃が作詞作曲を手掛けた、ライヴの起爆剤になりそうなキラー・チューン。一方、三木正明によるカップリングの「FLY」は伝えたい想いをシンプルな音に乗せたミディアム・ナンバー。個性的でクセのあるふたりのソングライターを柱に、どんな場所にもするりと飛び込んでゆく明快なポップ・ロックを鳴らす4人特有のバンド像に迫った。

-約3年半ぶりの全国流通盤となったミニ・アルバム『SURVIVE』を出してから、ライヴもかなり精力的にやってきたと思うんですけど、そのあたりの手応えから聞かせてください。

尾形:アルバム自体は良い評判をいただいて嬉しかったんですけど、ひとつ心残りがあったんです。CDのデザインなんですけど......メインのイラストは画家さんにお願いしたんですけど、デザインは私が自分でやったんですね。そこに曲目を入れ忘れてしまったんです。お世話になった方とか協力していただいた方の名前とかも入れる予定だったんですけど。

三木:チェックのときにも誰も気づかなくてね。曲順もわからないから、そういう(コンセプトの)バンドみたいになってしまったんですよ。キャンペーンに行くぞってなったときに、"あれ? これさぁ、曲名が書いてなくない? どれが何曲目?"って気づいて。

尾形:ラジオでかけていただくときも、"何曲目にしますか?"って聞かれるんですけど、毎回"1、2、3......"って数えなきゃいけなかったんです。

-あはははは、それは今回のシングルから気をつけてもらうとして(笑)。作品、ツアー自体の手応えはどうでしたか?

磯貝:『SURVIVE』は今までとは違った反応がありましたね。みんなが認めてくれるミニ・アルバムが出せたんだなって実感できたんです。ツアーでもいい人たちにたくさん出会えたし、すごく恵まれた環境でした。やっぱり自分たちの中でいいアルバムができたから、自信を持ってやれたのが大きいかもしれないです。

尾形:ライヴに来てくれるお客さんも、"シングルより、曲がいっぱい入ってるアルバムの方が良い"って喜んでくれたのが嬉しかったですね。今までバラード曲がなかったんですけど、それもライヴで初めて投入してみたりして。

三木:最初、バラードは抵抗があったんですよね。シングルだと流行りも意識するから、前回のシングル『MATSURI』(2015年リリース)のツアーではそれを押し出すようなライヴをしてたんです。でも、『SURVIVE』のツアーはアルバム全体のカラーを出すことになるので、そういう意味でライヴの幅を作る作業は難しかったです。

-その抵抗感とか難しさはライヴの中で解決したんですか?

三木:そうですね。『SURVIVE』で言うと、「鯨」がザ・バラードだったし、「drifter」も今までとは違うアプローチで作った曲だったんです。それがより映えるライヴの作り方をしたことで、「鯨」にハマッてくれる人がたくさんいたり、"「drifter」、いいよね"って言って、アルバムを買ってくれるお客さんも結構いたんです。"曲がお客さんに届いた"っていう言い方は、ちょっと一般的すぎるような気がするんですけど、曲の存在を認めてくれたような気がして嬉しかったですね。

-寺尾さんはどうですか?

寺尾:『SURVIVE』は1枚を通してEARNIE FROGsの世界を出すっていう試みで作り上げた作品だったので、ツアーでは基本的にアルバムに入ってる6曲を全部やってたんです。『SURVIVE』を全力で表現するというか。そこで自分たちも気づかなかった曲の良さに気づけたと思いますね。ツアー・ファイナルはツーマンで長尺のライヴだったんですけど、そうなると、今までの僕らの曲と『SURVIVE』の曲たちを交ぜながらライヴをやるじゃないですか。それもツアーの中でこのアルバムの良さも悪さもわかったからこそ、形にすることができた。『SURVIVE』をちゃんとEARNIE FROGsの血肉として表現することができたから、そういう意味では自分たちを知るツアーになったと思います。

-そこで知れた『SURVIVE』の良さや弱点は何だったんですか?

寺尾:良さは、自分たちのカラーや奥ゆかしさが出せたことですね。その代わりパッと見がわかりづらかったなと思ってて。言い方が難しいんですけど、入り口が狭いかもしれないと思ったんですよ。入ってくれたら、気に入ってもらえる自信はあるんですけど。

-そういう意味で言うと、今回リリースされるシングル『リアリティ』は強力なライヴ・チューンで、入り口がとてもわかりやすい作品になったんじゃないですか?

寺尾:そうですね。ライヴでやったときは反応が良かったです。"そっちもいけるの?"みたいな感じで。自分たちが思ってるよりも、お客さんが受け入れてくれました。

-曲を作ったときは良い反応がもらえると思ってなかった?

三木:作ってるときはいつも不安なんですよ。

寺尾:自分たちで作ってるから、やっぱりお客さんの感覚とは違うことも多くて。想像はするんですけど、掴めないところはありますね。我が子はかわいく見えるから(笑)。

三木:それが世間一般的にかわいいかどうかがわからないんです。

-ライヴで盛り上がることを狙って作ったわけではないんですか?

三木:(前回のシングルの)「MATSURI」のときはそうだったんですけど――

磯貝:今回はセッションで遊びながら作っていたらできた曲なんです。「MATSURI」のときみたいに"こういうリズムでやろうね"じゃなくて。本当にたまたま生まれたというか。

三木:僕が"こういうイントロのリフをやりたいんだけど"って持っていって、最初はメロディもないまま合わせながら作ったんです。でも僕はメロディが全然つけられなくて。"この曲、メロディをつけるのにすごく時間がかかる"って言ってたときに、最終的には尾形がメロディと歌詞をつけてきたんです。だから、リフ一発の曲ではありますね。そこからそれぞれの個性を詰め込んだんです。

磯貝:やりたいことをやったっていう感じはありますね。

三木:そうだね。音もすごく詰まってるし。

寺尾:バンドの演奏としては、すごく自然体だと思います。リラックスしたときの方が、普段は絶対に思いつかないようなフレーズが出てくるんですよね。