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INTERVIEW

Japanese

LiSA

2016年09月号掲載

LiSA

Interviewer:沖 さやこ

-それは約1年ぶりとなるアニメのタイアップというのもあるかもしれないですね。『Empty MERMAiD』(2015年9月リリースの9thシングル)から『LUCKY Hi FiVE!』と、LiSA色満載の音楽を届けて、それが自信にもなったから作品ともしっかりと向き合えたのかもしれないですね。

そうですね。やりたいことをやったあとだからかな(笑)。「Brave Freak Out」は、『LUCKY Hi FiVE!』が終わってすぐに取り掛かりました。だから『LUCKY Hi FiVE!』がリリースされる前から作り始めていたんです。

-今作『Brave Freak Out』は初回生産限定盤、期間生産限定盤、通常盤の3形態でのリリースで、合計4つの新曲が収録されていて、作家陣にはLiSAさんお馴染みのメンバーが揃っています。

私のことを理解していて、第三者目線で書いてくださる信頼している方々にお願いをしました。今回の4曲には作家さんそれぞれの"6年目をスタートさせたLiSAに、何を最初に歌ってほしいのか"という希望も含まれていると思うんです。そういう意味では自らいろんなものを(作家陣から)もらって背負って進んでいくぞという気持ちの方が強いですね。高橋浩一郎さんが作曲してくださった「Brave Freak Out」は曲自体が洋楽的だったので、そこに楽しく歌えて耳が気持ちいい感じでうまく言葉を乗せてくれて、しかも、LiSAの気持ちをわかってくれる人に歌詞を書いてもらいたい。そう考えたときに、やっぱり先輩(田淵智也/UNISON SQUARE GARDEN)しかいないなって。日本語が基盤になりながら聴いても歌っても気持ちいい歌詞で、でも改めて歌詞を読みながら聴くと楽曲の印象や味がまた変わってくるというのは、先輩が本当に得意としていることだと思うので。

-たしかにそうですね。今のLiSAさんのモードにもすごく合っている勇敢な歌詞だと思うのですが、"こんなことが歌いたい"という要望は田淵さんにお願いしているんですか?

先輩はデビューのときから私のことを知ってくれていますし、私が歌いたいことと歌いたくないことをわかっていると思うので、何も言ってないです。やっぱり先輩はLiSAを作ってきた人間のひとりなんだと思います。「best day, best way」(2013年リリースの3rdシングル表題曲)もそうですけど、先輩が私の心を読んでLiSAが歌っていきたいことを言葉にして音楽にしてくれている感じがありますね。だから「Brave Freak Out」の歌詞が届いたときも天才だと思いました。"神様、ねえ僕を助けないで"という歌詞は先輩のひねくれてるところが入ってていいなと思うし(笑)。LiSAにこういうことを歌ってほしいという想いも感じるので、楽曲そのものがプレゼントですね。

-そういう想いを受け取って歌うのと、LiSAさん自身が書いた歌詞を歌うのと、感覚は違うのでしょうか。

特に歌詞は信頼できる作家さんにしかお願いしないので、自分のことをわかってくれている人じゃないと、と思っているんです。それは(歌詞で描かれている)心情ももちろんなんですけど、"ここにフックのあるワードが入っててほしい"という音のノリやワードの選び方も関わってくるんですよね。好きなものの感覚が同じじゃないとお願いできないので、そういう意味で先輩と、今作では「AxxxiS」(Track.2)で詞を書いてくださった古屋真さんのふたりは私の中で2トップなんです。私自身が彼らに憧れているのもあるし、歌っているときの感覚の違いはないですね。「ツヨガリ・ファンファーレ」(初回生産限定盤/通常盤:Track.3)や「Empty MERMAiD」(2015年リリースの9thシングル表題曲)のように気持ちが前に前に出てくるようなものは自分で書いた方がいいと思うんですけど、今回はアニメの主題歌なので"音楽を楽しく歌う"ことを優先しました。「Brave Freak Out」は休む場所がないので歌うの大変なんですけどね(笑)。

-「Brave Freak Out」のLiSAさんは"頭で考えずに感覚でキャッチしたまま、思いっきり歌ってるな"と思いました。だから語感の良さなどが際立ってますね。

そうですよね。そういう意味では(自分が歌詞を書いて歌うときよりも)怨念がこもりすぎてないからいつもよりスタイリッシュにかっこよく、余裕を持って歌えてるかな(笑)? 私の書く歌詞はどストレートだから、"好き"ということを書くときも"好き好き好き好きめっちゃ好き!!"だけど、ひねくれたニュアンスを持っている先輩たちが書くといろいろ綴ったあとに"ま、好きだよ?"と言ってくるような(笑)。だから気持ちは一緒なんですよね。

-なるほど! よくわかりました。「Brave Freak Out」は出だしはラウドな曲なのかなと思ったんですけど、ラウドもポップも呑み込んだ目まぐるしい展開を見せる曲だと思いました。だからヴォーカルの思い切りのよさがそのスピード感を増幅させているなと。

だから今回は特に詞の内容よりもどちらかというと音を重視してるんですよね。耳が気持ちいい、単純に聴いていて楽しい――そういうファースト・インパクトを大事にしたんです。この曲はアニメ作品との関わり方や言葉の入れ方が「Rising Hope」(2014年リリースの5thシングル表題曲)の立ち位置に近いけれど、もっとその先の可能性を広げたいなと思ったんですよね。バンド・サウンドの中でバンドのことをやるのはわりと普通だから、そうじゃない表現方法ができないかなと思って。"Brave Freak Out"という言葉には"勇気を持って、変だと思われても別にいいじゃん!"みたいな意味があるので、MVもちょっと変わっていて奇抜なことが表現の中に入っていたらいいなと思いました。

-MVがスクエアだったり、オレンジ色の髪の毛で奇抜なメイクをしていたり、突然ダンスをしだしたり、LiSAさんの仮面をつけたダンサーが出てきたりと、風変わりな演出が多い理由はそういうことだったんですね。

"ん!? なんだこれは"とハッとしてもらいたくて。だから最初は常識はずれでクセがあるものかもしれないけど、いつの間にか好きになっていたり、思わず何回も観ちゃったり。「Brave Freak Out」はそういう曲だし、私自身もそういう人間だし、そういう表現がMVの中でもできたらいいなと思って、奇抜なものをたくさん入れました。曲を聴いただけだとスタイリッシュで楽しいけど、MVを観て"あれ?"と思って、歌詞を読んだら"なるほど!"と思ってもらえたら嬉しいです。

-MVもちゃんと楽曲の世界観を引き立てる表現のひとつになっている。完璧ですね。今日ライヴを拝見していても、「Brave Freak Out」はライヴで歌い込んでいるお馴染みの曲と同じくらいの存在感を発揮していました。

初披露したときから、できあがっていく感じがしてます。ファースト・インパクトでかっこいい曲だと思ってもらいたいという意図も、みんなが無意識のうちに汲んでくれている気がして。まだCDリリースされてないのに今日みんなめっちゃ歌ってくれてましたよね? しかもワンマンじゃなくてイベントなのに(笑)!

-ふふふ、LiSAさんが愛されている証拠ですね。ではあと3曲についてもうかがいたいのですが、まず先ほど話題にも出た古屋さんが作詞、ebaさんが作曲、江口亮さんが編曲されている「AxxxiS」は「Brave Freak Out」に劣らず、アニメにピッタリはまりそうな曲......? と思ったりもして。

あ、そう感じました? ふふふふふ(笑)。「Brave Freak Out」と「AxxxiS」は同じ内容を歌っているんだけど、全然違う曲になったらいいなと思って作った2曲なんです。「AxxxiS」は「oath sign」(2011年リリースの1stシングル表題曲)や「crossing field」(2012年リリースの2ndシングル表題曲)みたいにフラットに歌える。だから「AxxxiS」はどちらかというとメロディや歌詞が入ってくる、それでいて奇抜なものになったらいいなと思って作ってました。