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INTERVIEW

Japanese

黒猫チェルシー

2016年06月号掲載

黒猫チェルシー

Member:渡辺 大知(Vo) 澤 竜次(Gt) 宮田 岳(Ba) 岡本 啓佑(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-"こんなもんじゃ僕らの夏は終わらない"ですからね(笑)。そしてTrack.3「抱きしめさせて~美登里の部屋ver.~」は渡辺さんが出演なさったTVドラマ"毒島ゆり子のせきらら日記"の劇中歌ですね。どういうイメージで曲作りを?

渡辺:作っているときはドラマの設定に寄せるようなことはしなかったんですよ。結局、自分の中から出てくるものでしか作れないので、そこに嘘がないように。僕の描くもので、歌詞はドラマの設定を一部借りて、逸れてたら戻す、という感じで作りました。本当は最初、どうしようもないくらい"ハッピーハッピー"な曲にしようと思って、1番では円満な関係を描いていたんですけど、僕は嘘なく......と言うと嘘っぽくなっちゃうんですけど、より自分っぽいものを作りたいから。そうすると、どんどん別れの曲になっていっちゃって(笑)。ああ、今の俺は少なくともハッピーな曲を作るのは無理だ、こういう曲を書くモードなんだな、と思って別れの曲にしようと。だから1番は回想、2番が現在のイメージなんです。

-バンド・バージョンは"THE HEAD WINDS"(※TVドラマ"毒島ゆり子のせきらら日記"内で渡辺が演じる幅美登里が結成するバンド)として配信限定でリリースされていて、この"美登里の部屋ver."はアコースティック・バージョンで今作に収録していると。

岡本:先にバンド・バージョンを録音して、そのあとにこのアコースティック・バージョンを録りました。アコースティック・ライヴをやるような状態でリハーサルに入ったんですけど......全然面白くなくて。なんかいい感じにでけへんかなと思って打ち込みのリズムの音を入れてみて、それに合わせて僕がタンバリンを叩くという作り方をしました。そこからひとつのリズムにして、さらにみんなのアコースティック編成が入ったら面白いかなと。

澤:ギロの音も人工知能ですね(笑)。

岡本:ギロみたいな音は人間臭い演奏にしたくなくて、"機械的やけど、どっちやろ?"みたいなリズム・セクションになったらいいなあと。自分で叩いたタンバリンは3つくらい重ねてます(笑)。半分遊びながら作りました。

渡辺:本当にそれが正解だったと思うんですよね。4人で"せーの"で合わせてます、という空気が出てしまうと、失恋ソングを歌ってるのに仲間がいっぱいいる、みたいな感じになっちゃう(笑)。機械の無機質な音が一定のリズムをループで刻むことによって、寂しさや孤独な感じを出しているなと。だけど冷たくはなく、あたたかみがある......いいアイディアやなと思いました。

-みんなでアイディアを出し合って、1曲を完成させていく。

渡辺:うん。僕らはバンドですからね(笑)。

-曲の持つ感情がさらに豊かになるように、全員がちゃんと表現を考えて、工夫して。これまで様々な音作りをしていたこともあって、今の黒猫チェルシーは曲のためにどんどん音で遊べるようになっていて、それが自分たちのためになっているんだなと思います。

渡辺:......そうです。そのとおりです(笑)。

澤:そういう楽しみ方をどんどんやっていきたいなと思います。

渡辺:『青のララバイ』は、1日の終わりに部屋の中でひとりで聴くのにいいサイズだと思います。ボリューム感もちゃんとあるし。

-黒猫チェルシーの曲は、どんな曲もひとりでいる人に対して優しいなと思います。「情熱のDancin'」も、ひとりでいる人を"楽しいところに行ってみようよ"と誘うようだし、「抱きしめさせて」はひとりでいるときに寄り添ってくれるような感覚があります。

岡本:みんなでわいわい騒ぐような曲にならないのが僕らなのかな......。結構そういうものを目指したりもするんですけど。

宮田:「情熱のDancin'」も、パーティーでかけられそうでかけられない感じがありますよね。(歌詞の中の主人公は恋が叶わなかったので)"そんなんかけんといてや~!"ってなりそう(笑)。

渡辺:「情熱のDancin'」は、海沿いでひとり車を走らせてるシーンが一番似合うかもね(笑)。

澤:いやいや、ヤンキーのみなさんが車の中でバリバリでかけてくれてもええよ(笑)?

-ははは。最近、渡辺さんが俳優業でお忙しそうですが、バンドとの両立は大変では?

渡辺:忙しそうに見えるかもしれないですけど、ドラマの撮影もだいぶ前に終わりましたし、秋の舞台はまだ稽古も始まっていないし。それほど大変だ~って感じではないんです。今も曲作りをしているので。

-おお。今年の黒猫チェルシーはガンガンいきますね。

渡辺:もうね、止めないですよ。次の東名阪ツアー(※6~7月にかけて開催する"2016「青のララバイ」リリース 東名阪ワンマン ~眠らぬ街に黒猫のララバイを~")で何かしらの発表ができるんじゃないか......と思っているので期待していてほしいし、それができるのを自分たちも楽しみにしています。自分たちが次に見ているものをワンマンで披露できるというのは、今の自分たちの楽しみのひとつでもあるんです。止まっていない、転がり続けるところを......見ていてほしいというよりは、(リスナーと)一緒に転がっていけたらいいなと思っていますね。これからの僕らを見ていたら、絶対にワクワクすると思いますよ。