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INTERVIEW

Japanese

DOES

2016年05月号掲載

DOES

Member:氏原 ワタル(Vo/Gt) 赤塚 ヤスシ(Ba) 森田 ケーサク(Dr)

Interviewer:石角 友香

-そして、過去に「曇天」(2009年リリースの3rdアルバム『The World's Edge』収録曲)があって、今回Track.1「晴天」という曲が収録されて。1曲目にあるので、今回のアルバムはどういう経緯で、こういうアルバムになってますよっていうのが、かなり提示されているような気がして。

ワタル:これ「曇天」のアンサー・ソングというか、ホントに「晴天」を作ろうと思って作り始めたんですね。「曇天」も1曲目なので、これも1曲目に入れようと決めてたんです。今回は「晴天」だからとにかく明るいものに、「曇天」が速いテンポだから今回はミドル・テンポで。さらに明るくてふんわりしてて、広がりがある感じがいいなと。あと、「曇天」は"珈琲屋に寄って一休み極めたら"って歌ってて、"珈琲屋に行って今にも雨が降りそうなのを怯えてる男女、それでも歩いてる"という歌詞なんだけど、「晴天」は珈琲屋に寄って追い出されるんですよね。そのあとのストーリーは、追い出されたんだけど(笑)、外はめっちゃ晴れてるから大丈夫だと。そこで歌った"ロックしたつもりだった"っていう歌詞は、最近のロックの下火具合というか――それは憂うこともたくさんあるんだけど、やっぱりロックが好きって奴はたくさんいるし、そういう奴らに対して"ロックが、ロックが!"って心配する必要ないよ、"だって全然死んでねえからさ"って、"明るいんだよ"っていうことをこの曲では言いたかったんですよね。"明るいんだよ"って。

-そういうこと言わなくても、外に出ていけばいいじゃないかと。

ワタル:そうですね。曇り空な感じに見えちゃったりするけど、"いやいやいや、あんた楽しいでしょ? 今。ロック好きでしょ? それでいいじゃん"って。

-フレッシュですよね。Track.6「銀色の夜空」の孤独の中で"僕は 思ったんだ 勇気なら ここにある"というフレーズも泣けます。きっと少年も元少年もこういう気持ちなんじゃないかなって。

ワタル:言葉的には誰でも書けるんですよね、"大丈夫"とか"勇気が大事"とか"自分を信じろ"とか。でも本当に思えるかどうかは結構変わってくると思うんです。自分を信じることが、なぜ大切なのか。生きるときも死ぬときもひとりだからこそ、自分を信じておかないとどっかで不幸になっちゃうと思うんですよね。人に言われたからやるんじゃなくて、自分で思うからやる。それは全部じゃなくて1~2個でいいんですよね。そういう経験があればものすごい勇気になるし、その経験こそが宝物になっていくと思うんです。そういう気持ちが、ここ1年ぐらいずっとあって。去年もライヴはあんまりやらず、リリースもなかったので、ずっと地下でうごめきながら曲を作ってて。やっぱ嫌になるときもあるし、苦しいときもあったし。、誰も助けてくれないから"大丈夫"って自分で言うしかない。そこらへんが出ましたね。

-そしてラストのTrack.12「ロックンロールが死んで」は確信犯なのかなぁと。

ワタル:これはまぁ、狙ったって言ったらアレだけど、いろんな音楽好きだけど、やっぱロックが大好きなので、さっき言った"ロックが下火"だとか、"虐げられてる"とかあるけど、でも、もともとロックってカウンター・カルチャーから生まれたもので、規模なんか小さかったはずだし。昔なんか"あんな悪い音楽聴いちゃいけませんよ"って時代もあったわけだし、でも、そんなもんじゃんっていう認識ですよね。ちゃんと理解する中で、ロックンロールが死んでも"いや、元気ですけど?"、"全然ここにありますけど、何か?"みたいな歌ですね。

-しかもこの曲調じゃないですか?

ワタル:パンクです(笑)。THE BLUE HEARTSがいなかったら僕はバンドやってないと思うんで、そのTHE BLUE HEARTSに対する感謝というか啓蒙というか、そういった気持ちを込めました。しかもなぜこれをアルバムの最後に入れたかっていうと、やっぱその気持ちがかなり出てるっていうのもあるんですけど、1stシングルの「明日は来るのか」(2006年リリースのシングル表題曲)も、ギター1本だけで、モノラル録音でミックスしたんですよ。で、これ(「ロックンロールが死んで」)もそうしてるんです。10年の中での最初と最後みたいな、そういうでっかい形を作りたかったんですよね。

-「明日は来るのか」ってモノラルだったんですね。2006年にそんなシングルをリリースするだなんてすごいバンドですよね(笑)。

ワタル:ちょっとイかれてるんですよ(笑)。

-(笑)このアルバムができた手応えはいかがですか?

ケーサク:手応えは相当あるんですけど、今回は特に楽しんで素でやれたっていうのが1番の収穫ですね。ホント楽しんだなっていうことが改めてわかって。このアルバムを聴いてくれたら、何かしらどこかで聴いた人も自分たちも楽しもうっていう気持ちになってくれるかなと。だから垣根なくいろんな人に聴いてほしいですね。

ヤス:世の中に対して"こりゃすごいのできたぜ"っていうより、今までの中で1番いいのができたので、そこが1番満足している部分かなぁと思いますね。曲のクオリティも1番いいし、3人のテンションも良かったと思うし。

-すごく"主食"めいたアルバムですよね。毎日食えるぜ!っていう(笑)。

ワタル:いい意味でラクに聴いて、"何なんだ、これ!"という感じになってくれるといいな。