Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

Manhole New World

 

Manhole New World

Member:関根米哉(Dr) オノシンサク(Gt) 有野拓洋(Gt) 細沼章吾(Per) 松田ナオト (Ba)

Interviewer:山元 翔一

-Manhole New World は2010年12月に1度解散し、松田ナオト(Ba)さんのバークリー音楽院への進学を挟んで2013年に再結成されますが、この(解散と再結成の)きっかけはそれぞれ何だったのでしょうか?

オノ:不仲説 (笑)。

松田:いやいや(笑)。解散のきっかけは、自分が渡米するということでしたね。再結成は、今しかないと思った瞬間にパーカッションの章吾に連絡をたまたま取ったところ、何か奇跡みたいなことが起こったんです。その瞬間が、明らかなきっかけだったと思います。

細沼:これはもうホントに奇跡的というかなんというか。そもそも2年後に集まろうみたいなことを言っていたんですよ。2年あるうちにいろいろあって、自分の兄が亡くなったんですね。呆然としてるときに松田から"前の音源直したから聴いて"って突然きて(笑)。そこからいろいろ話しているうちに復活が現実化してきたんです。

オノ:不仲説(笑)。

有野:な(笑)。

-松田さんのバークリー音楽院への進学についてお聞きしたいのですが、動機は何だったのでしょうか? またそこではどのようなことを学びましたか?

松田:単純に世界水準を覗きたかったというのはあります。ルーツに少しでも近づけると思ったらワクワクしました。自分はそこで作曲を学びました。基本的且つ古典的なジャズのアプローチから現代的なもの、それからTHE BEATLESなどのロックやプログレッシブな変則的なものまで。もちろん、技術面も同時に学びました。恩師であるDanny Moには随分お世話になりました。最後の授業で、"お前ら理論なんて使うなよ。持っとくだけだ。忘れるな。音楽があって、理論がある。理論が先行した時点で音楽なんてやめちまえ"と言われたことは今でも忘れません。素晴らしい教育者だったと思っています。セッションでは、黒人が生み出す理論じゃ言い表せないグルーヴやら、まだまだ語り切れない程の素晴らしい経験もさせていただきました。親にも感謝ですね。

-2014年6月に1stミニ・アルバム『なぜ蓋は丸いのか』をリリースされていますが、これはManhole New Worldにとってどのような作品でしたか?

有野:ライヴで吐き出しているものをそのまま焼き付けたような、生々しいアルバムだと思います。
 
松田:再結成のきっかけにもなった曲が入っていたり、それこそ自分がボストンで浴びて来た音楽と、解散前の僕らのエッセンスが共鳴し合ったハイブリッドな作品だと思いますね。

-前作はスタジオ・セッションの動画がアップされている「Phnom Penh」や「DOPPELGANGER」など感情が爆発するかのような、轟音且つ変拍子やキメの多いポスト・ロック調の楽曲が主体となっていたかと思います。前作の楽曲制作においては、どういったことを意識されましたか?

松田:前作は、1番必死に作り込んだのはパーカッションです。正直、がっつり焦点を当てていました。パーカッションのリズム・パターンだけ全体が6拍子に対し4拍子で重ねてみたり、マリンバが主旋律を取ってみたり、自分の中ではパーカッションが最後に命を吹き込んでひとつの作品ができ上がる様なイメージでした。無論、ギターの絡みやドラムとベースの複雑な絡み等もございましたが、シンプルにパーカッションにフォーカスしたかったというのはあります。

-また前作は"怒り"が楽曲制作の原動力となっていたように感じましたが、実際のところはいかがでしょうか?

松田:"怒り"はなかったのですが、"挑戦的"ではあったなと思っています。ベースも歪みは深くかけ、サウンド的には昔のロックな匂いもあったようにおもいます。音色が攻めていたので、"怒り"という感情同等のどデカイパワーを感じ得れたのかもしれません。

-Manhole New Worldの楽曲は、手数の多い畳み掛けるドラムやロック色の強いアグレッシヴなギター、トライバルなパーカッションの音色とビート、そしてそれらをベースが手綱をとるようにまとめ上げていると感じましたが、楽曲制作はどのように進行するのでしょうか? また、制作するうえで前作と今作で違いがあれば教えてください。

松田:作曲は全曲、僕自身が手掛けております。ドラムス、パーカッション、ギター、ベース、すべてかなり細かいフレーズまで作り込んでからスタジオに持って行って、そこでみんなでアレンジして昇華させていくという手法です。制作方法に関しましては前作とほぼ変わりありませんが、強いて言うならドラムから作った曲が今作の方が多いです。

細沼:基本的に松田が全部作るので、なにかいい案があったらその都度だして増やすみたいな感じで。今回は全曲マリンバが入っているので、前作よりソフトに聴きやすいんじゃないかなって。

-今回の楽曲制作でインスパイアされたものはありますか?

松田:僕はGiorgio de Chiricoという作家が大好きですが、ところどころに彼の作品が思い浮かんでしまうので、少なからず影響は受けていると思います。それから、種田山頭火の詩集には相当影響を受けています。僕のヒーローであり、1番尊敬している人かもしれません。