Japanese
Manhole New World
Skream! マガジン 2015年12月号掲載
2015.11.07 @下北沢CLUB251
Writer 山元 翔一
"俺たちがあなたたちと繋がるのに歌や歌詞は必要なかった。ただそれだけのことです"――5人組インストゥルメンタル・バンドManhole New Worldの記念すべき初ワンマン・ライヴの終盤、細沼章吾(Per)が力強くはっきりと言い放ったこの言葉がこの日のすべてを象徴していたように思う。見事ソールド・アウトとなった下北沢CLUB251に集まった大勢の観客を前に、細沼の言葉とこの日のライヴが彼らの音楽の可能性を信じさせるだけの説得力を伴っていたことが痛快だった。
5月にリリースした2ndミニ・アルバム『S,M,L,XL』のオープニング・トラックである「SE」が会場に鳴り渡り、円陣を組んだ5人の気合いのこもった声が舞台袖から聞こえてくる。メンバーがステージに現れると、関根米哉(Dr)の雄叫びを上げ、なだれ込むように「the die is cast」が演奏された。ステージを縦横無尽に動き回りながら繊細なマレット捌きを披露する細沼の器用さに初っ端から舌を巻かれる。荒々しさと繊細さの同居するスリリングなアンサンブルを聴かせた「与謝蕪村と与謝野晶子」では、音源以上のアグレッシヴさで会場を圧倒。トライバルなビートとサンバ・ホイッスルで祝祭感を醸し出した「floating logs」の溢れる喜びを描きながらもどこかノスタルジーを滲ませる演奏は、一筋縄ではいかない心模様を描いているようであった。
ライヴ・ペイントとしてゲスト出演したタナカアズサの紹介を挟み、有野拓洋(Gt)の必殺のギターが炸裂するポスト・ロック・ナンバー「梟」、オノシンサク(Gt)の職人的ギター・ワークと松田ナオト(Ba)の超絶技巧が冴えわたる「Phnom Penh」が披露される。寸分の狂いもなく、アグレッシヴで肉感的なサウンドを放出する松田の姿は、まさに新世代のベース・ヒーローと呼ぶにふさわしい頼もしさがあった。単純なテクニックだけではなく、4本の弦を自在に行き来するフレージング・センスや感情を理性でコントロールするプレイ・スタイルからもその素質を存分に窺わせていた。そして狂騒的なエネルギーが溢れた「smile」、各人のばらばらな演奏の重なりをひとつの楽曲として成立させる構成力を見せつけた「DUST」など、ソングライターとしての松田のマッドな趣向に末恐ろしさを覚えたのもまた事実。叙情やメランコリアを纏ったゆるやかなグルーヴでフロアを高揚させた「透明」では、単純な二元論では片づかない世の中に生きる我々のややこしい実情の裏が透けて見えたような気がした。ここで2人目のゲストを紹介。nameshopなどで活動する柳澤澄人がポエトリー・リーディングとして加わった「Centaurus」では、生きるという行為に内在する孤独や憂いを勇壮且つロマンティックに昇華した一篇の物語によって、シアトリカルな楽曲世界がより鮮明に描き出される。熱さを内に秘めた2組のコラボレーションは、この日のハイライトと言える好演だった。
MCで過酷なツアーを振り返り、この日を無事迎えられたことに感謝すると、1stミニ・アルバム『なぜ蓋は丸いのか』より彼らの楽曲中随一とも言えるキラー・チューン「DOPPELGANGER」、松田の燃え上がるようなベース・プレイに思わず唸ったカオティック・ファンク「本能寺」が畳みかけられた。ひとつの山場を越えて緊張から解き放たれたためであろうか、人間味のあるバンドらしいサウンドが顔を覗かせ始めていた。続く、有野の泣きのギターを効かせ、荒々しいグルーヴが渦巻いた「歌舞伎ロック」では関根のドラム・ソロも披露。合間にカットインされた細沼の情熱的なコンガとジャンベとのセッションにより、この日1番の熱量を放出し、フロアを熱く滾らせた。特に紹介はなかったが、新曲「el Nino」をプレイし、ここで実は大事な告知を忘れていたことを告白。来年2月から3月にかけて2マン企画"いっつぁすもーるにゅーわーるど"を開催することを発表し、本編はゆるめのMCの雰囲気そのまま、無邪気に音楽と戯れる5人の姿を印象づけた「Folklore」で幕を下ろした。
アンコールでステージに戻ってきた後、冒頭の発言がなされたわけだが、ここまで2時間弱を共にしたそれぞれがそれぞれの形でManhole New Worldと繋がり合っていたことは言うに及ばないだろう。アンコールの1曲目は、シンプルな構造でギター2本とベースのユニゾンが印象的な新曲「Mountaineers」。プログレッシヴ・ロックやジャズ、フュージョン、ボサノヴァ、果てはゲーム音楽までを通過したうえで、あくまでJ-POPの延長線を行く彼らの変わらない姿勢が汲み取れる楽曲であった。そして先の告知に加え、なんと1年後の11月13日に渋谷CLUB QUATTROにてワンマン・ライヴを開催することが発表される。メンバー曰くフロアのリアクションは、"若干引いている"様子だったようだが、この日集まった観客は1年後に控える大舞台に祝福の声援と拍手を送っていた。この日を締め括ったのはMVでもコラボレーションを果たしているダンサーの松本ユキ子を招き入れた「Gecko」。ころころと転がるように展開する三拍子の楽曲を表現した優雅なワルツによって、徐々に熱を帯びていくストーリーが情感豊かに展開していく光景は、まさにクライマックスに相応しいものであった。
音楽によって、自然と身体が動いてしまうこと、胸の内にある感情が増幅されることというプリミティヴな作用を"歌"や"歌詞"を介さずに実現する――Manhole New Worldの音楽が志向するのはそういうことだと思う。そしてこの日、ライヴペイントやポエトリー・リーディング、ダンスといった他の表現と交わり表情を変えた楽曲が結果的に示した懐の深さも、彼らの今後の活動におけるひとつの重要な要素となっていくのだろうと考えさせられた。等身大のManhole New Worldの姿を刻みつけると共に、未来への大いなる可能性を感じさせた一夜は熱気を残したまま幕を下ろした。
- 1
LIVE INFO
- 2025.10.13
-
WtB
阿部真央
I Don't Like Mondays.
Awesome City Club
ExWHYZ
Appare!
The Biscats
brainchild's
Rei
OKAMOTO'S
秋山黄色
Age Factory
トンボコープ
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
"WESSION FESTIVAL 2025"
岡崎体育
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
シド
SCANDAL
cinema staff
Cody・Lee(李)
コレサワ
ネクライトーキー×ポップしなないで
リュックと添い寝ごはん
eastern youth
hockrockb
Omoinotake
Kroi
PIGGS
清 竜人25
Plastic Tree
ぜんぶ君のせいだ。
LiSA
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.14
-
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
ドミコ
THE ORAL CIGARETTES
Hump Back
Survive Said The Prophet × NEE
MONOEYES
ぜんぶ君のせいだ。
超☆社会的サンダル
go!go!vanillas
武瑠 × MAQIA
- 2025.10.15
-
ドミコ
LONGMAN
PEDRO
キュウソネコカミ
MONOEYES
打首獄門同好会
アカシック
HY × マカロニえんぴつ
ポルカドットスティングレイ
藤巻亮太
- 2025.10.16
-
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
YOASOBI
PEDRO
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
"Shimokitazawa SOUND CRUISING presents. サウクルラボ vol.1"
SCANDAL
SIX LOUNGE
brainchild's
- 2025.10.17
-
挫・人間
キュウソネコカミ
打首獄門同好会
アイナ・ジ・エンド
YOASOBI
a flood of circle
ズーカラデル
LONGMAN
chilldspot
otsumami feat.mikan
リュックと添い寝ごはん
コレサワ
神聖かまってちゃん
終活クラブ
NOMELON NOLEMON
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
フラワーカンパニーズ
SUPER BEAVER
東京スカパラダイスオーケストラ
BIGMAMA
Bimi
- 2025.10.18
-
TOKYOてふてふ
伊東歌詞太郎
挫・人間
シド
OKAMOTO'S
YONA YONA WEEKENDERS
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
アイナ・ジ・エンド
moon drop
RADWIMPS
キュウソネコカミ
ぜんぶ君のせいだ。
bokula.
the cabs
SWANKY DOGS
amazarashi
INORAN
WtB
osage
"LIVE AZUMA 2025"
カミナリグモ
Cody・Lee(李)
阿部真央
Newspeak
センチミリメンタル
東京スカパラダイスオーケストラ
Keishi Tanaka × 村松 拓
"ASAGIRI JAM'25"
ズーカラデル
I Don't Like Mondays.
Victoria(MÅNESKIN) ※振替公演
ロザリーナ
the paddles
神聖かまってちゃん
LACCO TOWER
星野源
- 2025.10.19
-
DYGL
リュックと添い寝ごはん
OKAMOTO'S
Age Factory
bokula.
ぜんぶ君のせいだ。
moon drop
コレサワ
TOKYOてふてふ
RADWIMPS
SIX LOUNGE
リリカル / みじんこらっく / とにもかくにも / ティプシーズ / 台所きっちん
SUPER BEAVER
Laura day romance
WtB
Omoinotake
"LIVE AZUMA 2025"
Cody・Lee(李)
ビレッジマンズストア
SPRISE
伊東歌詞太郎
浪漫革命
LUCKY TAPES
ハンブレッダーズ / KANA-BOON / キュウソネコカミ / マカロニえんぴつ ほか
ネクライトーキー×ポップしなないで
Keishi Tanaka × 村松 拓
ナナヲアカリ
"ASAGIRI JAM'25"
高岩 遼
Sou
森 翼
SCANDAL
パピプペポは難しい
osage
星野源
PIGGS
- 2025.10.20
-
打首獄門同好会
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
TOKYOてふてふ
TenTwenty
- 2025.10.21
-
The fin.
神聖かまってちゃん
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
- 2025.10.22
-
ザ・シスターズハイ
打首獄門同好会
キュウソネコカミ
ハク。× YONLAPA
ザ・ダービーズ
MONOEYES
挫・人間
VOI SQUARE CAT
kiki vivi lily
- 2025.10.23
-
DYGL
RADWIMPS
キュウソネコカミ
終活クラブ×ザ・シスターズハイ
MONOEYES
挫・人間
cakebox(シノダ/ヒトリエ)
RAY
古墳シスターズ
トンボコープ
go!go!vanillas
- 2025.10.24
-
LUCKY TAPES
ExWHYZ
RADWIMPS
amazarashi
YOASOBI
YONA YONA WEEKENDERS
TenTwenty
DYGL
アイナ・ジ・エンド
THE BACK HORN
すなお
ポルカドットスティングレイ
OKAMOTO'S
藤巻亮太
キタニタツヤ
FIVE NEW OLD / 浪漫革命 / MONONOKE(O.A.)
WHISPER OUT LOUD
Cody・Lee(李)
BIGMAMA
僕には通じない
NOMELON NOLEMON
PEDRO
アーバンギャルド
- 2025.10.25
-
フラワーカンパニーズ
秋山黄色
センチミリメンタル
東京スカパラダイスオーケストラ
コレサワ
超☆社会的サンダル
eastern youth
打首獄門同好会 / ガガガSP / 片平里菜 / AMEFURASSHI ほか
chilldspot
TOKYOてふてふ
brainchild's
フレデリック
LACCO TOWER
YOASOBI
森 翼
Appare!
Rei
Age Factory
DeNeel
osage
優里
Lucky Kilimanjaro
KANA-BOON
ASH DA HERO
the paddles
シド
cinema staff
SUPER BEAVER
Mrs. GREEN APPLE
ズーカラデル
bokula.
橋本 薫(Helsinki Lambda Club)
toe
ザ・ダービーズ
山内総一郎
INORAN
藤巻亮太
Omoinotake
OASIS
- 2025.10.26
-
フラワーカンパニーズ
DOES
センチミリメンタル
THE BACK HORN
Lucky Kilimanjaro
東京スカパラダイスオーケストラ
崎山蒼志
PIGGS
KANA-BOON
eastern youth
渡會将士
森 翼
超能力戦士ドリアン
優里
bokula.
モーモールルギャバン×ザ・シスターズハイ
オレンジスパイニクラブ
Appare!
ポルカドットスティングレイ
Age Factory
古墳シスターズ
Cody・Lee(李)
DeNeel
Mrs. GREEN APPLE
osage
阿部真央
moon drop
jizue
DYGL
INORAN
OASIS
ACIDMAN
9mm Parabellum Bullet
I Don't Like Mondays.
- 2025.10.27
-
YOASOBI
錯乱前戦
Damiano David(MÅNESKIN)
RELEASE INFO
- 2025.10.13
- 2025.10.14
- 2025.10.15
- 2025.10.16
- 2025.10.17
- 2025.10.19
- 2025.10.22
- 2025.10.24
- 2025.10.26
- 2025.10.29
- 2025.10.30
- 2025.10.31
- 2025.11.05
- 2025.11.07
- 2025.11.09
- 2025.11.11
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
暴動クラブ
Skream! 2025年10月号